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チャレンジの日曜日
 
リコーダー禁煙生活
箱のクオリティが低すぎるので文中では無視

大人の休憩のお供、煙草。 私もお世話になってきたが、税金の高さや健康への意識から、 煙草は廃れゆく文化のようだ。
その代わりを見つけなければならない。

そこで最強の禁煙グッズ、リコーダーの出番である。 煙の代わりに音楽を吐き出せば健康にもよくて人気者にもなれる。 そしてプロにでもなれば絶対モテる。モテたい。 さっそく、リコーダー禁煙生活を実践してみよう。

金岡亮
(かねおかりょう)
金岡亮(かねおかりょう) 92年生まれ就活中の大学生。 アメリカ映画とブラックミュージックと純文学がすき。
> ツイッター @nyannyankaneoka
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煙草がやめられない

私は大学に入っていつの間にか煙草を吸いはじめていた。 ヘビースモーカーというわけではないけど、毎日必ず吸う。 眠いとき、疲れたとき、一仕事終えたとき、煙草はいつも私を癒してくれた。 煙草がないととても落ち着かない。


それにしても疲労感の漂う写真である

しかし世間の風当たりは冷たい。 同級生で喫煙者は私ぐらいであるし、評判もすこぶる悪い。飲み会の時に灰皿に手を伸ばそうものなら大ブーイングである。 喫煙はもう廃れゆく文化なのかもしれない。 私は現在就職活動中だが、なんとか社会に出る前に禁煙したいものだ。

煙草を吸わずにリコーダーを吹こう

そこで、リコーダーである。
もう一度言う、リコーダーである。
私が小学生の頃『まほうのりゅうパフ』が吹けなくて居残りさせられたアレである。

リコーダーは煙も出ないし服に匂いもつかない。おまけに音楽が奏でられる(合奏では吹かないでごまかしていた)。
素晴らしい。口さびしいときにはリコーダーを咥えればいいのである。


というわけで塗る

禁煙グッズは星の数ほどあるが、どれも物足りない。
どれもただ咥えたり、キャンディのようになめたりするだけの退屈な代物である。
しかしリコーダーは違う。
なにせ音楽が奏でられるのだ(きっと今は吹ける)。


作業日はクリスマスイヴ。外界との隔絶

完成である。
もう見た目は完全に煙草である。万が一煙草が吸いたくなっても見た目から自分をだますことができる(塗るための見本として出した煙草は吸っちゃった)。

まったく吹けないので練習

とりあえずドレミファソラシドから基本を確認する。
…きれいな音が出ない!!
運指表の通りに穴をおさえても、ファックスの発信音みたいな音しか出ないのである。


ピョロロロロ〜と聞き苦しい音。顔も赤い

しかし焦ることはない。これから喫煙時間が全て練習に充てられるのだ。 ここで改めて一日のうちどれぐらい煙草を吸うか考えてみる。 寝起き、昼食後、授業が終わった後、バイト後などなど、休憩には欠かせない。 そして飲み会に行けばエンドレスで吸っている。 1本につき15分くらいだとすれば、1日1時間は確実に煙草を吸っているのだ。 これが全て練習時間になると思えばプロも夢ではない。 プロになればモテるし、就職できなくても食っていける。 リコーダー禁煙生活の向こう側には、酒池肉林が見える。

リコーダー禁煙生活の1日

いよいよリコーダー禁煙生活の始まりである。 私の1日を追ってみよう。 起床。


朝はとても弱い

爽やかな冬の朝に、凛としたドレミファが響き渡る。
寝癖を直す前、歯を磨く前の目覚ましの一服である
今日は某企業の説明会のため、気合を入れていく。


爽やかな目覚めの表情

午後、説明会後である。


怖いお兄さんの視線を避けている

私は大学3年生で現在は就職活動中。当然スーツを着て説明会に行く。
あの緊張は説明しようがないほど疲れてしまう。
そんな帰りの駅で吸う煙草ほどうまいものはないのだ。
しかし音楽の快楽は煙草のうまさなんてものではない。
駅の喫煙所で、私は恍惚とした。

家に帰って私服に着替え、夜は飲み会である。


メガネがずり落ちている

飲み会の席では、煙草は必需品である。
煙草を片手に、ハイボールを痛飲するのがいつものスタイル。
しかし今夜の私は一味違う。
いつもは煙草に文句を言う女子が、私の方を見ている。
心なしか頬を赤らめているようだ。
リコーダーをクールに構える私に気があるのか。
リコーダー禁煙生活の向こう側には、やはり酒池肉林が見える。

肝心の演奏

さて、この生活を続けた私だが、おそらく健康になり、リコーダーの腕もプロ並みになっているはずである。そしてモテモテになり、企業からも引く手あまた。一代で財を築いてこれからは酒池肉林が待っている。
それでは私の演奏をお届けしよう。


           

リコーダーは禁煙グッズではない

申し訳ないという言葉しか浮かんでこないが、逆に言わせてほしい。
安らぎの場である喫煙所で突然ピーヒャラやりだしたらどうだろうか。
冬のオホーツク海に沈められても文句は言えない。
そもそも小指で2つの穴を押さえるとか正気の沙汰ではない。
上の演奏も40分ぐらい繰り返し演奏したうちの一番ましな音源なのだ。
よく頑張った、自分。

正直に言えば記事を書きだして3日目ぐらいで禁煙は失敗したのだけれど
今回リコーダーを練習したら大切なことに気付いた気がする。
そう、それは努力の大切さ。
どんなこともくじけずに続ければ成し遂げられるのだ(「きらきらぼし」はしばらく聴きたくない)。
禁煙も努力すればできる気がしてきた。いやする。絶対禁煙する。本当にすると思う。
多分。

煙草をリコーダーに持ち替えて

 

 
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