最初にこの企画をやろうとしたときに、 「くさやを買ってきて、それを塩水に漬けてスタートさせる」 という方法を考えていた。
糠床を始めるときだって、まずは誰かから少し糠味噌をもらうと、 菌が繁殖しやすくなるのだから、くさやの漬け汁だって同じだろう。
くさやの漬け汁自体をもらうことは無理だけど、 用意した塩水にくさやを漬けてあげれば、 くさやに染みていた漬け汁が少しはでてくるはずだ。
でもやっぱりせっかくだから、純粋培養をしてみたくて、 いろいろと試した結果が、ご存じこのあり様である。
もう十分に手は尽くしたということで、原点回帰。 本物のくさやと開いたアジを、新しい塩水で一緒に漬けてみた。
果たして出来上がった干物には、きっちりとくさや臭がしみ込んでいた。 当然漬け汁も、一回しか使っていないのに、すでにしっかりくさや臭。
匂いが抜けてマイルドになった本物のくさやと、 匂いが付いてワイルドになった偽物のくさやの出来上がり。
もし自宅でくさやを作ってみたいとお考えならば、 この方法を繰り返すといいのではないでしょうか。
でも、くさやほど自作するメリットのない料理も 他になかないということがよくわかったので、 くさやが食べたくなったら買うといいと思います。
そういうことじゃないんだ。
やる前から薄々と結果がわかっていたことを実際にやってみて 「やっぱり!」と確認する作業を繰り返す中で、 本当の驚きとか発見が生まれるのだと思う。 そうやって人間はここまで進化してきた。
今僕は、なるべく大きなことをいいだして、 このたためないほどの大風呂敷を、うやむやにしまおうとしている。
でもやっぱり、くさやは買うといいと思います。 ( 2010/02/19 23:30:00 )
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