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コネタ


コネタ034
 
開かずの踏切は今どうなっているか

あの「開かずの踏切」を皆さん覚えているだろうか。中央線三鷹−国分寺間で、工事で広がった線路のため踏切を渡る距離が伸び、途中で渡りきれなくなった人が続出、しかも通勤時間帯はほとんど踏切が開かない。

今あの踏切はどうなっているのか、ふと思い出したのでふらっと見てきました。

乙幡啓子



あの有名な「渡りきれなくなった時の逃げ場所」もまだあった。
タクシー運転手、車を降りて時間をつぶす。
やたら長い歩道橋。
警備員は常時10人以上。降りかかった遮断機を止めて待つ係。

今年初めまで近辺に住んではいたが、自分は電車に乗っている側の人間であった。なので、実際そういう踏切の被害を体感したことはない。車窓から「はぁ、ここがあの踏切ねーぇ」と、マリーアントワネットのように民衆を見下ろしていた。

武蔵小金井で降りて、まずはすぐ脇の踏切へ。看板には「7時から10時まではほとんど開きません。」の文字が。もう「開きません」と宣言されているのがすごいと思う。

と、たまたまそのとき踏切が開いていたので思わず渡ってみた。あれ?渡れたな。

と思うまもなく、「カンカンカン」と鳴り出し、閉まったきり20分過ぎた・・・。

まさに運が良かった、間一髪だったのだ。といっても向こう側に用のない私としては無駄に運を使ってしまったが。

あれからどうなっているのかを、踏切のそばのタクシー乗り場で、運転手さんに聞いてみた。

「ここは前話題になったときと状況はあまりかわってませんか」
「そうだねー、あのまんまだね」
「ここは車がずっと踏切開くの待ってつながってるから、タクシー出られませんね。大変ですね」
「まあ、でもそのうち出られるし、踏切越えて、っていうお客さんもいないですからなんとかやってます」

住民も慣れたものだ。脇の歩道橋を使うなど、そもそもこの踏切自体を使わないようにしているらしい。でも「この線路の向こう側にはたどりつけない」という抑圧を日常で体験していると思うと、なんだかくらくらする。

というわけで、状況はあまり変化なし。

 




歩道橋の上から観察。遮断機が下りて10分、20分、30分・・・膨れ上がっていく待ち人。




そして・・・遮断機上がってダッシュ!実際その数秒後にもう警報音が。

しかし、駅に張ってある告知ポスターを見て、お!と思った。というのは、翌日に線路をまた付け替える工事があり、線路数が減る、ということなのだ。どのくらい元の状態に近くなるのか、駅員さんに聞いてみると、

「え、まあ、明日のうちに工事が終われば、明日には元に戻るということになりますが、はい、元の長さくらいになりますが、まあ、前もあったように、その日のうちに終わらない、ということになりますと、一部を残して工事を切り上げますと、まあ、ちょっと短くなる、くらいに・・・」

歯切れが悪い。そうとう今回の「開かずの踏切」関連でクレームを受けてきたのか、恐縮しどおしだった。




うつむいて説明しながら、遅延証明書を意味なくいじり回し、並べたりしていた駅員さん。攻めているわけではないので、顔を上げてください。

そして、翌日、再度あの地を訪ねてみたら・・・


マウスオーバーして確かめてみてください。

おお、5車線→3車線になっている!劇的に短くなった距離。手前の2車線分は踏切の上で待つのでちょっと違和感は残るが。ラッシュ時の開かなさはあまり変わらないかもしれないが、線路に取り残されることは減るだろう。

しかしこうやって見ると、向こう岸までの今までの距離、尋常ではない。

※三鷹−立川立体交差事業は、2008年までに国分寺まで、2010年までに立川までの区間を立体交差化し、18箇所の「開かずの踏切」を解消することとなっている―。


 

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