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コネタ


コネタ060
 
野菜をとことんむく

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 タマネギ・レタス・白菜……野菜の中でも、葉っぱが球状に重なり合って成り立っているものがある。ぎゅうぎゅうに折り重なっている様子を見るにつけても、一体なにがあったんだと思わされる密集度だ。

 ああ、こうして書いただけでどんどんむきたくなってくる。無限にも思えるむくという作業。

 今回はキャベツにスポットを当て、とにかくどんどんむいてみたい。そして、普段はちゃんと相手にしてもらえない最後の方のちっちゃい葉っぱとしっかり向き合ってみたい。(text by 法師丸)

法師丸



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むきごたえ満点の風格
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やったるでー!

●むいた果てに何があるのか求めて

 とにかく野菜をむくということだけに焦点を合わせた今回の企画。ぼけているのかしぼり過ぎなのかわからない焦点だ。

 食べるとか調理とかという目的は脇に置き、ただ純粋にむいていきたい。そういう意味でも、むきがいのある立派なキャベツの選別には力が入る。売り場でも一番立派なのを選んできたつもりだ。どうだろう、このどっしりとした風格。

 さあ、早速むく作業に入っていく。いつもなら食べる量を気にしながらちまちまとむいていくのだが、今回はそういう心配はない。

 葉っぱ尽きるまでひたすらむけばいいのだ。

 後先など考えることなく、どんどんむいていこう。むき終わったその先には、一体何が待ち受けているというのだろうか。

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少しむかれて恥らいを見せはじめるキャベツ
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楽しくって仕方ない

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このくしゅくしゅ感がたまらない
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こじんまりとしたお前が好きだ

●どんどん高ぶってくる気持ち

 しばらくむいていくと、始めのうちは濃い緑色だったキャベツもだんだん色が薄らぎ、さっきまでの風格とはまた別の趣きが漂いはじめる。

 なんだか恥ずかしがっているようにも見えるキャベツ。

 堂々としていた青い葉の面影はすでになく、つるんとした光沢のある葉っぱがかわいらしく光沢を放っている。

 特に葉がくしゅくしゅに折れ曲がっているところなんか、もうなんだかたまらない感じだ。じっと見つめていると、見ている自分の方が恥ずかしくなってくる感じもするくらいだ。

 さて、しばらくむいていくとだいぶこじんまりしてきた。最初はずっしりと重かったキャベツも、今ではすっかり手中に収まる。

 色味もどんどん薄くなってきて、もはや緑とは言えない。それでも葉脈の具合や丸さはやっぱりキャベツとしてのあり方を物語っていることがよくわかる。

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手のひらサイズのお前が好きだ
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指先くらいのお前が好きだ

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先輩、もう限界っす
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まずはこの葉を電子レンジでしんなりさせる

●きみはキャベツの中心を見たか

 さらにむいていって小さくなっても、やはりキャベツとしてのたたずまいを崩すことはないキャベツ。小さくなってもキャベツはキャベツだとしっかり主張している。

 手のひらサイズ、指先サイズ、さらに米粒のようになり、もうむくのも限界だ。これがキャベツのはじまりである。

 ああ、気が済んだ。

 いつもはうやむやになっているキャベツの核心と、しっかり向き合うことができた。

 

●キャベツをむく旅路の果て

 ひたすらむくことに主眼を置いた今回の試みだが、むいた葉を前にするとやはり創作意欲が湧いてきた。

 さすがに最後に出てきた米粒大の葉っぱで何かをつくるというのは無理だろう。しかし、その直前の指先くらいの大きさの葉ならなんとかなるのではないだろうか。

 そうだ、ミニロールキャベツというのは見たことはあるが、この葉っぱを使ってさらに小さなロールキャベツを作れないだろうか。

 不毛だとも思われたキャベツをむく旅。そんな旅の終着駅を、マイクロミニロールキャベツにしてみようと思う。

 

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しっかりと具を詰めて…
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つまようじで留める

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人類初のマイクロミニロールキャベツ
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どうするんだ、これ

●充実感ないなあ

 作り方は普通のロールキャベツと同様だ。まずはキャベツの葉を電子レンジでしんなりさせ、ひき肉で作った具を巻いて、スープで煮る。

 小さいからか火の通りもやたらに早く、あっという間にマイクロミニロールキャベツの完成だ。

 改めて見てもちっちゃい。どうかしてる。

 ロールキャベツを食べるとき、つまようじで留めてあるのに気づかずに噛んでびっくりすることがあるが、これならそういうことはない。つまようじがあからさまによくわかる。

 というより、それがロールキャベツであると認識してもらえるかの方に課題がある。

 実際に食べてみると、確かにロールキャベツの味がする。そこには小さくてもしっかり自分を主張するキャベツの姿がある。

 ただし食べごたえはびっくりするほどない。

 そして無益に積み重なったキャベツに、家族は「どうすんのよ、これ!」と怒り始めた。いや、そういうことは考えずに始めたことだったんだ…。




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ほぼ元通りの大きさを再現

 そして、もめごとの原因に

 キャベツをむきまくって満足した私だが、その果てに残ったのは一体どうするんだという量のキャベツだ。しっかり丸まっているときはよかったのだが、むいてバラバラにするとかさばって邪魔なことこの上ない。

 家族が「あーあ、どうすんのよ!」と怒り出すのも無理はない。

 反論できず、なす術もなく立ち尽くす私をよそに、母や妻がぶつぶつ言いながらキャベツを片付け出した。

 作業をはじめてしばらく、あんなにモリモリと積み重なっていたキャベツは、それなりの大きさの袋にすっぽり収まっているではないか。なんだ、やればできるんじゃないか!

 いや、やったのは私ではないのですが。

 家族に余分な迷惑をかけないようにするためにも、もうむやみにキャベツをむきまくるなんてしないようにしようと思う。



 

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