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コネタ


コネタ077
 
軍艦島に迫る
軍艦島
長崎は、日本で最も島の数が多い県。
大小さまざまの島が美しい景観を成しているが、そんな中、ひとつだけ異彩を放っている島がある。

軍艦島である。

この軍艦島を船で巡る「軍艦島クルーズ」の定期便が今年の7月から始まった。

ということで、行ってみました。

T・斎藤

野母崎から見た軍艦島

無限に広がる想像力

私が軍艦島を初めて見たのは、長崎半島の南端・野母崎をドライブしていた時のこと。

あたかも軍艦のような島影が見えた。
緑が一切ない、鉄の塊。

噂に聞いた軍艦島だった。
しかもこの島、無人島だという。

即座に、さまざまな想像が私の脳を巡った。

マジンガーZの秘密基地、ウルトラセブンのアイアンロックス、銀河鉄道999の機械の体をくれる星、etc…

こんな人工的な無人島が他にあるだろうか?

軍艦島とは

正式には、高島町端島。
ここはかつて炭鉱で栄えた島で、幅160m、長さ480mという小さな面積に最盛期には5000人以上の人が住み、世界一の人口密度を誇った。日本で最初の高層住宅が建てられたのもここだという。

昭和49年に炭鉱を閉山してから無人島となり、
それから30年、現在のような廃墟の島となった。

軍艦島に行ってみたい

軍艦島への渡航は現在禁止されている。

ちょっと前までは地元の漁師と交渉すると、漁船で連れて行ってくれるという話もあったが、現在上陸はNG。

代わりに、船で軍艦島の周りをグルッと巡る「軍艦島クルーズ」というものがある。

去年までは不定期便で、10名以上の予約がないと船が出なかったが、今年の7月からは土日に限り定期便が就航され気軽に行けるようになった。

これで行こう。

軍艦島グルーズに使われるマルベージャ号。
わりと小さい。
デッキより。
こんな感じで船は長崎湾を進む。

長崎港発・マルベージャ号というのに乗り込む。
思ったより小さい。

片道70分、1980円。 (長崎港→軍艦島→野母崎まで)
往復だと2980円。

写真のような感じで、遊覧船気分で長崎湾を進む。

途中、いくつもの島々を通過。なかなか美しい光景。
三菱の巨大な造船所なども通過する。

途中いくつもの島々を通過する。
巨大な三菱の造船所。
娘の梢(0歳)

ちなみに今回、私は
←こんな感じで
赤ん坊を抱っこしながらの取材だった。

娘は軍艦島には関心がなく、指で手すりをさわって遊んでいたが、しばらくしたらスヤスヤと寝てしまった。

ま、この時間帯はいつもおやすみタイムだから眠かったんだろうね。

結局、岸に着くまで一度も起きなかった。

手すりをいじるのに夢中。
寝た!

そして到着

やがて船が長崎湾を抜け、高島という島を通過した頃、前方に目指す軍艦島が見えてきた。

それまで1階の船室で座っていた人々も、デッキに上がって来てカメラを構える。

場の雰囲気が盛り上がってきた。

いよいよ目指す軍艦島が近づいてきた!
軍艦島

………。

思わず言葉を失う。

初めて間近で見た軍艦島は、無言の迫力があった。

間近で見る軍艦島の廃墟群
海岸沿いに立ち並ぶ住居跡
損壊が著しい

軍艦島の廃墟群を間近に見て感じるのは、これらは単なる廃墟ではなく、 かつてここに住んでいた人々にとっての「思い出深い故郷」でもあるということ。

実際、自分の故郷がこのような特殊な島で、現在立ち入ることができない場所であるというのは、一体どんな気分なのだろうか?

そこに歴史やドラマを感じた私は、またしても
無限に想像力を掻き立てられたのであった…。

けっこう近くまで寄って見ることができる。
接近後は速度を落として一周するため、落ち着いて見ることができた。
(日によっては波が荒い時もあるようだが)

その後、船は野母崎でいったん寄港。
片道だけの人はここで降りる。

我々は片道切符を買ったのでここで降り(赤ん坊もついに起きる)、野母崎の温泉に入って、それからバスで帰路に着いた。

 

軍艦島クルーズは3/1〜10/31まで。
定期便があるのは土日のみ。
平日は予約制で10名以上で出航。
くわしくはこちら⇒やまさ海運

最後に、トリビアをひとつ。

軍艦島は、本当に軍艦と間違えられて
魚雷を打ち込まれたことがある。

へー!へー!へー!

(高島町の軍艦島資料集にそういう記述がありました。)

この角度からみた姿が
旧日本軍の軍艦「土佐」に似ているらしい。
 

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