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コネタ


コネタ081
 
ドラゴンフルーツという名の果物
のびのびと育ってくれた細菌さん

子どものころ、食事の前に「ちゃんと手を洗ってからよ」と注意された人は多いことだろう。

「ばい菌がたくさん付いてるのよ!」

ただ、ばい菌たちは肉眼で見えないだけに、心のどこかで納得できないモヤモヤを抱えていた。ホントにばい菌なんているのかよ? と。

そこで今回は、身のまわりにどれだけばい菌がいるのか、寒天培養の手法を用いて確認してみました。

方法はいたって簡単。店で購入した「滅菌寒天培地」にいろんなモノを付着させ、室温にて経過を観察するだけです。

さあ、身近な細菌たちの成長ぶりを目で確かめてください!!

ステッグマイヤー名倉




帰宅してすぐ、洗ってない手を培地に付着させる。電車の吊り革とか握りまくってきた成果やいかに!?

◆洗ってない手

まずは子どもの頃からの疑問、「洗ってない手には雑菌がたくさんいるのか?」を検証してみる。

思えば幼少の時分、腹ペコなのに「手を洗ってからよ!」と親に言われては立腹していた。もしこれで菌が出なかったら、いまこそ親に盾突いてやろうじゃないか。

…というわけで培養してみたところ。ご覧のように、みごとな細菌コロニーが出現しました。手のひらの細菌、あなどるべからず。

「洗ってない手」 24時間後。
左上にポツリと、雑菌が繁殖してる兆しが。
「洗ってない手」 1週間後。
こんなことになってしまいました。あー。


「ああ、こんなにたくさん出ちゃったね…」なんてな邪念を振りはらいながら。

◆洗った手

では、ちゃんと手を洗えば大丈夫なのか!?

今回は「ハンドソープで洗った手」と「水洗いだけ」の両方を確かめてみました。

結果はご覧のとおり。ハンドソープで洗った手は大丈夫だったものの、水洗いだけの場合は24時間後にさっそくコロニーが出現したのでした。

不潔恐怖症になってしまいそうな予感。

「洗った手」 24時間後。
水洗いだけの手には小さなコロニーが出現。
「洗った手」 1週間後。
水洗いの手から進撃した菌が全面制覇。


鴨川で水を採取する。周囲に座っているカップルから怪訝な視線を向けられながら。

◆鴨川の水

自然界の細菌事情はどうなんだろう?

そこで、近所を流れる鴨川の水を採取して培養してみることにした。思い返せば学生時代、泥酔して飛び込んだこともあったっけ。

すると…。24時間後にしてさっそく大量のコロニーが発生。一週間後には色とりどりの細菌が培地一面に繁殖してしまった。恐るべし大自然。

こんな川に飛び込んでいたのかと改めて愕然。そういや鴨川には、生活排水も流れ込んでいたのでした。

「鴨川の水」 24時間後。
すでに大量のブツブツが繁殖しております。
「鴨川の水」 1週間後。
黄色に緑に白濁…。えらいことになりました。


綿棒を鼻の穴につっこんで菌を採取。思わず鼻の下が伸びるのはなぜだろう。

◆鼻の中と鼻の横

寒天培養していることを知人に話したら、興味深い答えが返ってきた。

「鼻の横には黄色ブドウ球菌がいるらしいよ」

こう言われちゃあ、やらないワケにはいきません。綿棒で鼻の横と鼻の中をごしごしこすり、寒天培地になすりつけてみる。ブドウ球菌、楽しみだなあ。

結果はご覧のとおり。ただの白いコロニーで、手から繁殖した菌との違いがいまひとつ分からず。でも鼻の中は意外とキレイでした。

「鼻の中と鼻の横」 24時間後。
鼻の横には小さなコロニーが出現。
「鼻の中と鼻の横」 1週間後。
意外にも鼻の横のほうが汚いことが判明。


そういや最近、風呂掃除さぼってるなァ…。あまりにも頼もしい赤カビに気が滅入りながら。

◆浴室の排水溝

我が家の細菌…と考えると、否が応でも頭に浮かぶのが「浴室の排水溝」であります。

風呂掃除をサボりがちなこともあって、どうしても赤カビのようなものが出てしまうのだ。これって何なのだろう。ただの垢ならいいんだけど…。

結果的には恐ろしいことになってしまいました。うげー。ぼくはこんな邪悪な連中と混浴していたんですか!? 世の中には愛妻と一緒に入浴してる人もいるというのに……。

さっそくカビキラーを購入しました。

「浴室の赤カビ」 24時間後。
急速に表面が盛り上がってくる。うわわ。
「浴室の赤カビ」 1週間後。うげーっ!
ぼくの浴室にはこんなものが棲んでるのか!?


スーパーの特売で買ってきたヨーグルトと納豆。もちろん残りは食べました。

◆乳酸菌 VS 納豆菌

浴室の赤カビにはすっかり圧倒されてしまった。ここはひとつ口直しに、健康的な菌を育ててみることにします。

用意したのはおなじみ、ヨーグルトと納豆であります。乳酸菌と納豆菌。どちらも体にいいと評判だけに心が和む。

てなわけで両者を一つの培地で育ててみたところ。異なる菌がぶつかると拮抗するようで、一週間後にはキレイな「勢力地図」が出現したのでありました。

「ヨーグルト&納豆」 24時間後。
納豆は急速に勢力拡大。ヨーグルトは沈黙してるように見えますが…。
「ヨーグルト&納豆」 1週間後。
実はヨーグルトも健闘していたのでした!!


同じくスーパーの特売品「SUPERやまびこしめじ」。なにがどうSUPERなのか。

◆しめじ

食べられる菌といえば、キノコの存在も無視できない。というか菌そのもの。

そこで最後に、しめじを寒天培養してみることにした。あわよくば大きなしめじが生えてきて家計を助けてくれたらいいなァ、などと考えながら。

結果的には、菌糸っぽいものは出現したものの、きのこが生えるには至りませんでした。残念です。

そういや以前、エノキダケを冷蔵庫で一ヶ月くらい放置したら、異様に成長したのを思い出した。

「しめじ」 24時間後。
カサの部分から菌糸っぽいものが。
「しめじ」 1週間後。
雑菌なのかしめじ菌なのか判然とせず。



◆終わりに

今回は対照実験として、「寒天培地のふたを開けたまま部屋で一時間放置したもの」も同様に培養していたのでした。

「部屋で1時間放置した培地」 1週間後

結果は上の写真のとおり。ごく小さなコロニーは点在しているものの、細菌数の違いは明らか。手のひらや鼻の横、風呂の排水溝などにはやはり、すごい数の細菌が存在していたのだ。

でもまァ、だからどうなんだって話でもあるんですが。人間の身体には免疫があるから、少々の細菌は大丈夫なのも事実でありまして。

逆に生後すぐ無菌室で育てられた動物は、免疫ネットワークや腸内細菌の発達不全から全身的な機能障害を起こし、ずっと無菌室で過ごしていても短命に終わるらしいですし。

人類の友もあり敵でもある細菌たち。大切なのは彼らを排除することではなく、うまく付きあっていくことなのだと思います。

…と、無理やり常識的にまとめたところで、今回の報告とさせていただきます。


 

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