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コネタ


コネタ092
 
商店街でタダでくれるもの

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月末である。明日が給料日の方も多かろうが、私はほうぼうからのお金が末日払いなので、今週末まるまるをこのまま乗り切らねばならない。

生きるのは大変なことだ。すかすかの冷蔵庫の中を見回し荘厳な気持ちになる。

でもたまには誰かの手助けが欲しい。ただで分けてもらえるものを探しに、商店街をふらついてみました。

乙幡 啓子



個人商店の集まるところなら、と思い、有名な商店街に来た。さあ、今日はお持ち帰り用の簡易バッグも持ってきたし、鍋ができるくらい何かもらって帰るぞ。



有名な商店街

だがしかし、最初の一言がなかなか出てこない。いちおう怪しまれないよう、きれいな服を着ていったのだが、初対面で「ただでなにかください」とは、いいにくいことはなはだしい。なんとか「取材で・・・」と糸口を見つけて、八百屋さん、魚屋さん、いろいろな商店に飛び込む。しかし・・・

「なにか、ハギレというか、捨てるようなものをただでいただいたりできませんか?」
「いやー、うちはないわー。今はどこもそんな、『ただ』っていうことはないんじゃない?」というお惣菜屋のおかみさん。「うちは中落ちは100円でこうしてパックして売るんだよね」と魚屋のお兄さん。「常連さんに、おまけってことで残りをあげたりしますけどねぇ」なるほど。

がっくり。現代社会はそういうものなのか?都会だからか?人から聞いた話では、八百屋さんでペット用にと菜っ葉くずをもらえたり、魚屋さんで中落ちもらえたりということがあるそうだが、それらを使って鍋を囲むことはできないのだろうか。


やっと・・・

閉店間際のパン屋さんへ入った。それまでも、初めからただで何かもらうのは悪い気がしたので、何か買ってからたずねるようにしていた。このときもスコーンを買って、会計が終わってから切り出してみた。

「そうですねぇ、まとめていくらで売ってるお店もあるみたいですけど、うちはまあ、くださいという方にはあげてますよ」主人は微妙な返事をして、奥から食パンの端っこを出してきてくれた。
「油で揚げて砂糖をかけて食べるといいですよ」と言ってくれた。ありがとうございます、なんとかオケラにならずにすんだ。


粉を直接袋に

雨も降ってきた。商店街もだいたいまわった。そろそろ帰ろう・・・そのときお米屋さんが目に入った。「そうだ、米ぬか!」

精米後の米ぬかなら、もしかしてもらえる店もあるかも・・・。飛び込んで「米ぬか、ありますか?」

「ああ・・・、何に使うの?」と聞かれるとは思わなかった。がとっさに「パ、パックです、顔のほら、パック」そうだ、考えてなかったが、これでパックでもしよう。店主さんはゆっくり粉を袋に入れてくれた。

やった、なんとか2品目ゲット。しかも2つとも穀物に関係ある。何か意味を感じるなあ、とほっとしていたら、店主が

「はい、50円でいいや」

ただじゃなかったんですねー。
想像以上に厳しい結果となった。もっと商店街とのコミュニケーションを積みあげてから出直すべきだろうか。あるいは地域差もあるのだろうか。
そのままでもじゅうぶんうまいパンの耳をかじりながら、荘厳な気持ちになったのだった。皆さんの地元ではどうでしょうか。


結局ふつうに買い物して終わる



 

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