そして感動の到着
ついにふもとまでやってきた。
すごい迫力だ。しかし実際に手の届くところまでやってきたのに巨大すぎて逆に現実味がない。最近ではどの映画を見ても「ああこれもきっとCGなんだろうな」とか冷めて見てしまうのだが、この風車の場合も目の前にあるのに巨大すぎて現実のものとして受け入れられない。ここだけ日常を突き抜けてしまっている。
真下から見上げると大木のような支柱のてっぺんに白く鋭い三枚のプロペラがいくつものボルトで固定されているのが見えた。巨大な風車はフュンフュンと鋭い音を立てて回転している。去年の台風ではどこかの島でこの風車の羽が強風で吹っ飛んだという話をきいたが、こんな巨大でするどい羽が吹っ飛んできたらはっきりいってただではすまないだろう。
真っ白な雲を切り裂くようにして風車は粛々と回転する。そしてそのたびに羽から伸びる巨大な影がグラウンドを横切る。風車は風を受けて回転しその力で電気を起こしているわけだが、それは逆に町中に風を起こす巨大な扇風機のようにも見えた。僕達が町から風車を見ているように、風車もここから僕達を見下ろしていたのだ。
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