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コネタ


コネタ134
 
コンコルドのガラスをギリギリで落札した人々

2000年7月、エールフランスのコンコルドがパリのシャルル・ド・ゴール空港を離陸直後、炎に包まれ墜落した大事故を覚えておいでだろうか。

カリブへのバカンスという団体客の目的と事故の悲惨さが対比せられ、今もって忘れられない映像だ。

そんなきっかけで申し訳ないのだが、それまでは「ああ、あの超音速の旅客機ね」くらいの認識しか持ち合わせていなかったコンコルドが、以来なんとなく、私は気になりだしていた。

とうとう昨年運行をやめてしまったコンコルド。だが、今年ある博物館でコンコルド展をやるという。しかも、学芸員が「あるもの」を自力で、予算ギリギリで競り落としてきたというではないか。

「夢の超音速旅客機コンコルド」と「予算ギリギリ」。その対比は、なんだ。これは、見に行って話を聞かねば。

乙幡 啓子

航空科学博物館。15年前に開館。

航空科学博物館まで、バスは1時間に1本

日暮里から京成特急で1時間の、成田空港。そこからバスで15分。バスは本数がないからご注意を。

そんな航空科学博物館は、休日、予想したより(すみません)親子連れで盛況。出入り口には焼きそばや、現地で取れた野菜がなぜか売られていた。

では早速、競り落とした本人、学芸員の金田さんの案内で、コンコルド(長いので以下「コン氏」)の「ある展示」を見てみよう。


ドーン。
もひとつ、ドーン。

これは何か?ただの窓ガラスに見えるが、ただの窓ガラスではない。超音速機ならではの仕様の「バイザー(左写真)」と「ウィンドシールド(右写真)」の一部なのだ。


ああ、確かに着陸時はこうなってた気がする。
特別に触らせていただき、厚みを計る。

解説しよう。バイザーは飛行時には高速性能を出し切るため上にせり上がり(左写真の左上囲みの中)、着陸時には前方の視界を確保するため下がる(左写真中央)という仕組みになっている。コン氏ならではの工夫と言えよう。

しかもこのガラスは、ふつうの旅客機が寒い上空を飛ぶのに対し、超音速のコン氏は180℃もの摩擦熱が加わる。それに耐えられるようできているという。ウィンドシールドにいたっては、5センチもの厚みがあった(写真右に指で示すとおり)。

他にも、魅力的な展示があったので紹介しよう。飛行機周りのデザインって、コン氏のじゃなくても結構好きな私だ。


コン氏搭乗員のコスチュームの、バービー風人形。意外と地味だが、欲しい。
「飛行機の遅れに関するお詫び状」。遅れるといちいち手紙をくれるのだ。まあ通常の何倍も飛行機代払ってんだから当然ともいえる。

あらためて、学芸員の金田さんにお話を聞く。

直接買い付けたのは金田さんですか?
「ええ、私ともう一人がフランスで昨年行われたクリスティーズのコンコルドオークションに行って競り落としました。東洋人は私らくらいで珍しかったんで、取材されましたよ」
オークションってどんな感じですか?テレビでたまに絵画のを見かけますが・・・
「あんな感じですね。ただ、かなりの人数が参加してきたので、会場を3つに分けて衛星放送でつないでました。午後2時から8時くらいまでかかりましたよ」


金田さんから提供いただいた、オークションの写真。ご存知、オークション進行役。 しかし台の脚が細い。
こちらもご提供いただいた、下見会での写真。先っちょ! 手数料20%込みで、470,250ユーロ=約5972マンエン!!
クリスティーズのカタログ!そして金田さんたちの番号札!初めて見るものに興奮。
「FB」というのは、コン氏の腹についているナンバープレートのようなもの。これが手数料20%込みで61,000ユーロ=約774万円!!!何に使うんだ!!

で、なんとか予算内で競り落とした、と。
「事前に出品物のカタログを買うと、Estimationといって想定落札額が載ってるんです。でも実際はそんなところからは始まらなくて、議事の人がその時のオークションの流れを読んで値をつけ始めるんで、もっと高額から始まってしまったり。だから、結構大半の人は途中からは雰囲気を見学するだけ、って感じですね。で、うちはまあ、あの2枚のガラスを4000ユーロ(当時1ユーロは約127円)、つまり約50万で、その品にかける予算ぎりぎりで落としました・・・」



あとで聞くと、実は予算をちょっとオーバーしていたらしい。

金田さん他、館員方の熱意あっての展示だ。オーバーが何だ。他にも飛行機に関するお話を熱く聞かせていただいたが、全部紹介できず申し訳ないです。

続きは自分の目で。わかりやすい展示なので、また行ってゆっくり見てみたい。バスの時間を事前に調べるか、あるいは自家用車で。飛行機の発着が一日中見られる展望室もなかなかです。

嬉々として当時を語るコン氏・・・じゃなくて金田氏。




「コンコルド展」
超音速旅客機「コンコルド」の魅力に迫る

開催期間:8月1日〜10月24日

航空科学博物館
http://www.aeromuseum.or.jp/



 

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