「実はこれ、出来合いの籠盛りとかを入れておく冷蔵庫なんですよ。今日は作り置きがないので、からっぽで・・すみません」
そう言いながら店員さんは籠盛りの花を一つびっくり箱に入れて見せてくれた。本来開けたらこうなっているはずなのだ。
店内にはいつの間にか「なぜびっくり箱なんですか」と直には聞けない空気が漂っていた。逃げてしまいたかった。しかし花屋さんをここまで追い込んだのも筆者だ。申し訳ないとは思ったがあえて聞いてみた。
「びっくり箱、ですか」
「ええ、なんとなく。ここから出てくるとは思わないから、びっくりするでしょう。」
「・・まあ」
「ええ・・」 |