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コネタ


コネタ161
 
唐八景と、甘ずっぱい思い出
唐八景の展望台

先日、読者の方からメールを頂いた。

その方(女性)は大学時代を長崎で過ごし、その間、関東に住む彼氏と約3年間におよぶ遠距離恋愛を続けた。やがて結婚に至り、現在は二人で茨城に住んでいるという。そんな彼女の長崎でのお気に入りの場所は、中島川周辺と、唐八景だったそうな。

「今のダンナと行くとこのネタがなくなると、よくぶらぶらしてました。」

そうそう。付き合いが長くなるとデートも行く場所がなくなったりするんだよね。
そういう時によく訪れた場所かぁ…。

行ってみたくなったので、行って来ました。

T・斎藤


唐八景(とうはっけい)とは

唐八景とは、見晴らしの良い、長崎の小さな山。
唐の八つのすぐれた景色と書いて「唐八景」。
中国のような眺めなんだろうか?

長崎で青春時代を過ごした作家の島尾敏雄氏も、「春の日のかげり」という作品の中で、唐八景での思い出について語っていた。女の子に向かってみんなで突進していったはずが、いつの間にか自分ひとりだけが突進していたことに気付き、バツの悪い思いをした。でも勢い余ってつかんでしまった少女の肩は柔らかくて気持ちがよかった、というなんとも微妙な話。

唐八景とは、そんな甘酸っぱい思い出を喚起させる場所なのだろうか?


唐八景

ここがその唐八景。
長崎特有の狭い坂道を車で登っていくと、さほど時間もかからず、ほどなく到着。

山頂部はだだっ広い平地になっており、これは周囲を海と山に囲まれた坂の街・長崎では、なかなか珍しい光景。

毎年4月あたりになると、ここでハタ揚げ大会が行われる。 (長崎では凧のことを「ハタ」という。)

展望台からの眺め

展望台からの眺めはとてもいい。
夜になれば、日本三大夜景とか一千万ドルの夜景とか称される長崎の夜景もきっとよく見えるに違いない。

遠くを眺めて、ほっと一息。


眺めいい。

アスレチックで遊ぶ子供たち

意外に充実した公園アイテム

単に眺めがいいだけの場所ではなく、公園らしいアイテムもあった。それも意外に充実している。

まずはアスレチック。
写真を見てもわかるように、意外と凝った作り。

私も遊びたかったが、先客がいたので遠くから見るだけにした。今度誰もいない時にもう一度来てみよう。


なんとトランポリン

「あれはなんだ?!」

珍しいものがあったので、近づいてみると、
なんとトランポリンだった。
トランポリンの公園アイテムなんて初めて見た。

さっそくやってみる。

が、まったく弾まない…。
とても安全性の高いトランポリンだった。


まったく弾まない
(マウスを乗せると微妙に動きます)

なぜか三段構えの砂場
(説明は一切なかった)

こ、これ何…?

ベンチだそうです。

深まる謎

謎の公園アイテムは続々と出てくる。

← これは一体なんだろうか?

「腹筋を鍛える台?」
とは、かみさんの弁。
黄色い部分に足をひっかけて腹筋すると思ったらしい。しかしそれが正解だとすれば、3人くらい並んでできるし、だいいち縦に長すぎる。

「ジャンプ台?」

が、何に向かってジャンプ?

なんて、いろいろ考えていたら説明があった。
ベンチらしい。

しかし、それで本当に納得のいく説明と言えるのだろうか?
説明する側もワケがわからなくなり、投げやりに「ベンチ」って書いてみただけ、ということはないだろうか…?


原爆慰霊碑もあった。

原爆慰霊碑も

原爆慰霊碑もあった。

が、ここは爆心地からはかなりの距離があり、いくら見晴らしがよく遮蔽物がないとは言え、直接原爆の被害を被ったとは考えにくい。

ここは戦争中、軍の駐在地として使われていたらしく、そんな関係からここに慰霊碑が建てられたんだとかなんとか。



というわけで、唐八景。

なんだか後半はすっかり法師丸さんの公園レポを読んでるような気分で歩いていた私。

冒頭に述べていた「恋人と行く場所がなくなった時に訪れた場所」とか、「少女の肩をつかんで微妙な気持ちになった場所」とか、そういうイメージは完全にどこかへ消えていた。

恋人と二人であのトランポリン? いや、まさか。

で、とりあえず「行って来ましたよ」ということを返信しておこうと思い、メールを読み返してみると、そこで私の勘違いが発覚。(以下、原文)

私のお気に入りは、
長崎市内は中島川周辺と、唐八景です!
中島川は橋がかっこいい!私も今のダンナと行くとこのネタがなくなるとよくぶらぶらしてました。

よく読めば、ダンナとよく訪れたのは中島川の方と書いてあるではないか。(中島川とは、眼鏡橋などがあるところ)

どおりで、脱力スポットなわけだ!
(最初からよく読めよ、自分)

でも、見晴らしがよくて、なかなかいい場所でした。

キツネっぽいネコもいた。


 

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