足立区に開店した理由
このお店のオーナーは、松崎順一氏(42歳)。今からちょうど一年程前にこのお店をスタートさせたのだという。それまでは22年間もの間、ある企業でハウスデザイナーとして働いていたのだが、「40歳も過ぎたんで、いまのうちに好きなことをやっておかないとカラダが動かなくなると思って(笑)」開店を決意したという。しかし、なんでまた足立区なんだろう。
「店舗を足立区にしたのは基本的には深い理由はないんです。足立区が地元なんで、地元を盛り上げたいなっていうのがひとつあって。この辺って、面 白いところが少ないんで、村興しというより街興しみたいな(笑)。
高円寺とか下北沢のトレンドに強いところでやるのもあんまり面白くないっていうか、逆になにもないところから立ち上げて、そこを軸にして色々と盛り上がっていけばいいかなって。」
70's家電の魅力とは
氏は、元々7〜80年代の家電の持つ「機能美ではない、それぞれのデザイナーが非常にこだわったデザイン」が大好きで、個人的に収集もしていたそうだ。その趣味が高じて、このお店を開店するに至ったのだという。
「僕が求めているのは、“いかに無駄なデザインをしているか”っていうことなんです。」
そういって笑いながら、氏はその頃に造られた家電の持つ、デザインの魅力について蕩々と語ってくれた。
「例えば“2000年にはこうなっているだろう”とか、未来をその人なりに予想して、これが格好いいデザインなんだ!! って主張したりして。そういうのが随所にみられたりとか、余計なモノがついていたり装飾が派手だったり、オリジナリティがすごくあるんです。」
「世間から見捨てられたものを、うちで再生して復活して世の中にもう一度アプローチしていけたら面 白いかなあと思って、そういう想いもあって始めたっていうのもありますね。」
採算度外視の経営方針
置いてあるラジカセの価格は平均して5千〜1万円が主流。相場のおよそ半額くらいで販売しているが、実際にラジカセの中をあけて必要な場合は部品を交換するなど、可能な限り手入れをしているので、儲けはあまりでないんだそうだ。
「ちゃんとレストアして売ってるところって、他ではあまりないと思います。動くモノってもうほとんど残ってないんで、うちで直してから売ってるんで。だから、あんまり儲からないんですけどね(笑)」。
それでよく経営が成り立っていると思うが、その評判は評判を呼び、中には静岡から新幹線で来店した人もいるという。
「うちは広告は一切打たないことにしてるんです。結局こういうのが好きな人って、自分で探してくるんで。」
現在のメイン商品はラジカセだが、それ以外にも「プロダクト的、デザイン的に面白いモノならなんでも扱う」という店内をよくみると、本当に様々なものが目につく。
そんな中でも一番の目をひいたのが、下に挙げる写真の商品である。 |