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コネタ


コネタ206
 
ビールの空き缶で建てられた家がある

 季節はすっかり秋ですが、大人のみなさんビール飲んでますか。僕は飲んでます。沖縄は年中暑いのできっとおそろしくビールの消費量が多いことだろう。そんなビール好き沖縄県民の聖地とも呼べるようなスポットを発見した。なんとオリオンビールの空き缶で建てられた家だ。筆者も新入りオリオン教徒としてきっちり聖地を巡礼してきました。

安藤 昌教

沖縄でビールといえばオリオン。定説です

霧が晴れるように目の前に出現した聖地
導かれるように

 オリオンビールの空き缶で建てられた家があるとの情報を得た筆者は、すぐに地図を見て場所を確認した。住所からして友達の家の近くだ。もしかしたら知っているかもしれないと思いメールしてみた。

筆者:ビールの缶でできた家があるって聞いたんだけど、知ってる?
友達:うん知ってる。有名だよ、オリオン御殿

オリオン御殿。それです。はやる気持ちを抑えつつも確信を持ってその住所の辺りを車でぐるぐると回ってみた。

しかしどうも見つからない。そんな建物、遠くからでも目立つに違いないと高をくくっていたのだが、周辺はところどころに茂みがあり見晴らしが悪い。もういいや今度友達に頼んで連れて行ってもらおう、と思いUターンするため細い道に一度それた。

そしたらあった。

突然目の前に銀色に輝くオリオン御殿が姿を現した。僕は導かれているのだ、と思った。オリオンビールが好きなことビールの神様も知っているのだ。


荘厳華麗な門構え

これぞ聖地の風格

オリオン御殿の門。本当だ、全部ビールの空き缶でできている。門の屋根や植物の鉢植えまでみっしりとビールの缶。写真では確認し辛いが実は玄関の向こうの母屋の外装も同じくビールの缶でできていた。

門壁のビール缶はきちんとコンクリートで固められ、ひとつひとつ丁寧に壁に埋め込まれていた。空き缶の家と聞いて、ぺこぺこしたイメージを持って見に行ったのだがとんでもない。しっかりと建てられた家の外装にあえて空き缶を使っている、という感じだった。とにかく台風の多い沖縄の夏をすでに何度も乗り越えてきているとい事実からも、いかに丈夫な建物かということがわかる。


近くで見ると大迫力です

通りに面した塀は高く、そのすべてがビールの缶で埋め尽くされている。一つでは捨てられてしまう空き缶も、これだけ集まると立派な壁になるのだ。そしてこの中の一つでも抜けたら壁としての均衡は成り立たない。君は一人じゃない、きっと気付かないうちに何かの役に立っているのさ。よくわからないが、まあそういうことだ。

それにしても派手な塀だ。ビール缶の集合体は少し離れて見ると太陽の光を反射してスパンコールみたいにきらきらと輝いて見えた。考えようによってはこれって沖縄の強烈な日差しをはねのける良い建築方法なのかもしれないぞ。


全部オリオンビール

オリオン御殿というだけあって

近づいて見ると確かに缶はすべてオリオンビールの空き缶。ざっと見たところ他のメーカーのビール缶は一つも見つからなかった。それにしてもいったい何本のビールを飲んだのだろう。もしかしてこのお宅の冷蔵庫は憧れの見開き一面ビール缶状態なのかもしれない。それこそビール好きの桃源郷だ。下宿とか募集していないだろうか。いかん、興奮してきた。


シーサーは空き缶ではなかった。だけど鎖でつながれていた

またいつか伺います

 筆者もオリオン教信者の一人として、この家を作ったご主人にどうしても会ってお話を伺いたかった。しかしこの銀色に輝く門の前で「こんにちはー、すみませーん」と何度呼びかけてみても誰も出てきてくれない。申し訳ないとは思ったのだが門をくぐらせてもらい玄関のドアをたたいてみた。しかしやはり反応なし。

あきらめきれない筆者は、次の週末の午前中にもう一度聖地巡礼を試みた。普通のサラリーマンなら家にいるであろう時間帯だ。

こんにちはー、すみませーん、誰かいませんかー

・・・(いませーん)

やはり筆者のようなオリオン教新入り信者には少し敷居が高すぎたのだろうか。いつかもっともっと修行を積んで(たくさんビールを飲んで)、もう一度聖地巡礼を試みたい。

 

 

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