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コネタ


コネタ226
 
緑色のお米、炊いてみました

(text by 大塚 幸代

ベトナム・ホーチミン市のスーパーに行った時、緑の米があったので、買ってきた。




ヒいてしまうくらい、美しい緑。

実はベトナム渡航前、「旅行博」という観光促進イベントに行って、ベトナム観光総局というところが出している、「ベトナムの食文化」という小さなパンフレットをもらっていた。



このパンフレット、「本当に国営の観光総局が作ったのか……?」というくらい、日本語があやしい。
これにはフォーや春巻きなど、メジャーな料理のほかに、日本のベトナム料理屋には無いような、変わった料理がたくさん載っていた。「ランソン地方の丸焼き豚肉」「ウオクレー村のソーセージ」「フォン川のコムヘン」「ホイアン旧市街のカオラウ」……。
「緑の米」の紹介も、その中にあった。

本文をそのまま引用しよう。




「ポン村の青いお米コム」

青いお米はベトナム農村部の風味を持っているものである。この特産品はわかいもち米から作られた物である。そのコムは、青色を持ち、柔らかくて、その香りは特別である。その香りと柔らかさを守るためには、人は蓮の葉を使って、そのコムを包む。ハノイで、コムを作ることがたくさんありますが、最も有名なのは、ジクボン村である。このコムから人々は又、コムサオ、チェコム、バィンコムなど多くの種類のお菓子を作る。コムから作られたお菓子はベトナム人の結婚式に欠かせない物である。


……要するに、お菓子に使うお米らしい。
なぜ緑色なのかは分からない。日本でも、稲が若いうちに米を刈ってしまうと、緑色の米になるらしいが……。
この緑は、やはり自然のものとは思えない。


すごい色。

ひと粒ひと粒はペラペラだ。

パンフの説明によれが「蓮の葉で蒸して調理」するらしいが、蓮の葉はないので、とりあえず炊飯器で炊いてみた。


水は普通の米と同じ分量で……。

炊く最中、不思議な匂いがした。ちょっと焦げたゴムのような、かいだことのない匂い……。日本の料理には、ない匂い。




無事、炊きあがった。炊けた時点では匂いはかなりおさまっていた。
しかし、お米がまるで原形をとどめていない。完全にモチ状態。

カレーをかけて食べようと用意していたのだが、無理そうであった。
急きょ予定を変更して、砂糖をまぜて、「すあま」風にして食べてみた。もともと「お菓子用」の米なのだから、そっちのほうが正しい食べ方だ。

はむはむ。

うーん。

変わった風味の「すあま」だ。
特に美味しくもなく、まずくもなく。
いや、風味の独特さが、やはりちょっと苦手かもしれない。

……あ、ひょっとしてこれは、旅行中にベトナム料理バイキングで食べた、お菓子と同じものかしら? ということに、食べてる途中で気づいた。




この緑色の菓子も、どこまでもうす甘い、ハッキリしない味であった。

考えてみれば、日本の「すあま」も、意味もなくピンク色だ。

ただ、お米の時点から着色はしない。白いお米を炊いてから、赤い色素を入れる。
日本人だったら、最初っから赤くしたお米を炊くのは、生理的にイヤであろう。
これはもう、国による感覚の違いなんだろうなあと思う。

米の食べられている地域には、各国に、こういうお菓子があるんだろうか?
世界中の「すあま」……食べてみたい。
そう思いつつも、大量に残っている「緑の米」をどう処理しようかしら、と悩んじゃっているのでした……。

 

 

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