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コネタ265
 
国東半島に昭和の町がある
大正8年建築のお菓子屋はアイスキャンデーが自慢

国東半島は豊後高田市をドライブしていたら「昭和の町」という看板を見つけました。
昭和の町…?
ナンジャタウンみたいなテーマパークがあるのかな?
何しろ豊後高田に行ったのは生まれて初めて。
しかもただの通りすがりなので何の情報もありません。
でもなんかおもしろそうなのでちょっと寄り道してみました。
すると、そこにはほんとうにほんものの「昭和の町」があったのでした。

(text by 神田ぱん

昭和の町は蔵から始まる。

とりあえず蔵に入ってみる

とりあえず車を停めて、駐車場から見える大きな蔵に入ってみました。
入場は無料。太っ腹です。
案内看板によれば、ここは昭和10年頃に野村財閥が建てた旧高田農業倉庫だとのこと。
「野村財閥は小作米だけでも1年に1万俵を誇った」と書いてありますが、その情報から具体的な金持ちぶりは想像できませんでした。
中に入ってみると複数の蔵があり、ちょうど市場みたいなスペースになっていました。
蔵のひとつには「駄菓子屋博物館」というのもありましたが、レトロ風に演出された(エイジング加工というやつ)ナンジャタウン系だし、有料なので入らズ。


蔵は大きな軒がついた市場風。

やっぱりナンジャタウンなのかなー…。
昭和の雰囲気は大好きですが、疑似レトロはいささか食傷気味です。
もういいや〜。
すると蔵の向こうに、ちょっとくすんだ町並みが見えました。
もしかして寂れた商店街があるのかも!?
期待に胸はずませながら蔵の広場を出て通りに入り込んでみました。


蔵の中に教室。懐かしい雰囲気。
でも竹馬は大人の方には無理です。

見事な銅張りファサードの銀行建築。

見捨てられた商店街をみんなで再生

「昭和の町」は、蔵の裏手に広がる古ぼけた商店街が本体だったのです。中央通り、新町一丁目、新町二丁目など市の中心地にある各商店街が、どばーっと昭和の町化していました。

 地方の多くの商店街同様、ここもかつてはバイパス沿いの大型店に食われてほとんど死にかけていましたが、建物の7割が高度成長期時代のままという状況を逆手にとり、商工会議所を中心として「昭和30年代」をテーマに再生したそうです。近隣ではすでに名所になっているらしく、かなりたくさんの観光客が訪れていました。

 といっても各店舗は大金をかけてリニューアル(というかエイジング)しているわけではなく、それぞれが「レトロてどげんするとかね?」と手探りでやってるようです。そういう安普請で中途ハンパなところが、むしろリアルに昭和30年代を再現していると思いました。


空き地に土管は欠かせません。
古い食堂も少しおめかし。

リヤカー市場にリヤカーは売ってない。

店の宝を自慢していた

昭和の町では「一店一宝」運動というのをやっていて、それぞれの店の自慢の品物を展示します。
ふつうブランド品などを自慢されると「ケッ」とツバを吐きたくなりますが、ここでは「毒薬天秤」(ウエガキ薬局)や「肉切り機」(肉のかなおか)といった面白い物がいろいろ見られます。


リヤカー市場では野菜を売っていた。
リヤカーはこの店の「宝」なのです。

「ベーターマックス」が宝のお店もあれば…
後藤散の円右人形が宝の店もある。

「さあ〜昆虫くじはいかが?」

昭和の町は昆虫好き

日曜なせいか、通りではワゴン販売をしています。新町一丁目商店街には、「昆虫くじ」をやってるお店がありました。昆虫のつかみ取りか何かをするのかと思ったら、くじを引いて昆虫を当てるというもの。もしハズレても、1500円相当という高価な昆虫キーホルダーが貰えてお得です。
さらに蜂蜜の原液を売る店では、蜂の巣を試飲(ていうか試食?)させていました。豊後高田には昆虫好きな人が多いのかもしれません。


「1等はヘラクレスオオカブトだよ」
昆虫くじ、アタイもやりたいナ!

蜂蜜専門店。またしても昆虫系。
蜂がたかっていた蜂の巣。「なめると口内炎が治りますヨ」と言われた。

昭和の町

大分県豊後高田市商店街

商店街が学園祭のように一生懸命くふうしているのがとても面白く、しかも町の人たちが楽しそうで、本当に良いところでした。
機会があればまた行ってみたいなあ。


◆公式サイト◆
・豊後高田市観光協会
・駄菓子屋の夢博物館


おかみさん市も詩情豊かに開催中。

 

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