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コネタ


コネタ300
 
一日地蔵めぐり
恐れ入谷の鬼子母神 VS 猫 地蔵じゃないので本編には出て来ません

なんの目的もなく地図を見るのが好きで、どんな種類の地図でも、つい長時間しげしげと眺めてしまう。

先日「歩く東京下町マップ」なる地図を見ていて気がついたのだが、東京の下町には地蔵が多い。

「東京には、いや世の中には、こんなにいろんな種類の地蔵があったのか」と驚きながら、晩秋の休日、地図を片手に歩いてみることにしました。

高瀬 克子

●しばられ地蔵(葛飾区・南蔵院

なんでも、縄でぐるぐる巻きにされた地蔵があると聞いて、葛飾区金町にやってきた。


初めて降りる駅というのはドキドキしますね
バス停もこのとおり

金町駅から京成バスに乗り「しばられ地蔵」というバス停で降りる。
大きな看板が出ていたこともあり、迷わずに辿りつけた。


噂にたがわぬ縛られっぷり

「え、お地蔵様にこんなことしていいの?」と思ってしまうくらいに縛られまくっている。遠くから見ると、ほとんど簀巻きだ。


大晦日には裸にされてしまうそうです
こんな服かとさえ思う

えーと、この縄が100本あるとして1万円か
「宝くじが当たりますように(3億円)」

ここで、パンフレットに書かれた地蔵の由来を、出来るだけ手短かに説明してみよう。

呉服問屋の手代が、仕事中だというのに寺(地蔵)の前で居眠りをしてしまった。目覚めてみると、荷車ごと反物がない! 青くなって番所に駆け込むと、大岡越前は「寺の前で泥棒を見逃すとは地蔵も同罪。縄打って召し捕れぃ!」と地蔵相手にまさかのお裁き。地蔵は縄でぐるぐる巻きにされ、お白洲へ。いろいろあって(ここ大幅に端折ります)泥棒は捕まり、大岡越前は「ごめんごめん」と盛大に縄解きの供養をした…。

えー、大体このような経緯があった模様です。つい「加藤剛も無茶いうなー」と思いましたが、違いますね。

以来、願いごとをする時は地蔵に縄を巻き、願いが叶うと縄を解くという風習が生まれ、大晦日には盛大な縄解き供養が行われるそうです。


水子供養のこの可愛さはなんだ
他にもドラ焼きや煎餅もありました

 

●たこ地蔵(台東区・法昌寺)

もはや地蔵の概念がわからない。
金町から電車を乗り継ぎ、台東区入谷にある、故たこ八郎さんの地蔵のあるお寺にやってきた。


とても綺麗なお地蔵様でした

ボクシングの日本チャンピオンで、後にコメディアンになったたこさんが、真鶴の海岸で亡くなったのは昭和60年。あれからもう19年も経ちますか。赤塚不二夫、山本晋也、由利徹といった錚々たるメンバーと交流があったことはよく知られているが、彼らは「東京でお参りできるところが欲しい」と、この地に、たこさんの地蔵を建てたのだそうだ。


「めいわくかけて ありがとう」
右の耳と前髪の特徴はそのまま

なんというか、多くの人に愛されたという、たこさんの人柄が滲み出てくるような、穏やかな顔のお地蔵さまだった。
「こないだまで生きてた人が地蔵…?」と、訪れる前は思わないでもなかったが、いざ目の前にすると、つい自然に手を合わせてしまう。


きみは番犬か?

お寺の境内に犬がいた。この犬、大変おとなしいのだが、どんどん私の方に近寄って来たかと思うと、なんと足を踏んでいった。目が白く濁っていたので、よく見えなかったのかもしれない。「ああ、目が悪いことろが、たこさんと一緒だな」と思った。


これは入谷駅付近で寝ていたブランド犬

 

●禁酒地蔵(台東区・円光寺

次に訪れたのは、たこ地蔵から歩いて数分のところにある禁酒地蔵だ。禁酒をするつもりは毛頭ないのだが、名前の面白さから立ち寄ってみる。


あまりにデカイ盃。禁酒の誓いに来た人には目に毒だろう。しかも酒樽の上に座ってるし
上からは徳利ぶら下がってるし
でも確かに禁酒の文字だ
茂みの中にいた、たぶん一代前の地蔵。目が座ってるようですが、もしや悪い酒ですか

で、この地蔵の由来は何も分かりませんでした。家に帰って調べてみても分からずじまい。…どなたか教えてください。

それにしても、この辺りは猫が多い。


おまえに禁酒は無理だニャー

迷ってて、偶然見つけた地域密着型地蔵。大事にされてました

すみません以上です

見事に道に迷いまして、一日に回れた地蔵はこれだけです。地蔵は小さな寺にひっそりと佇んでいることが多く、その寺を発見するのが大変なのです。ちなみに、たこ地蔵と禁酒地蔵は歩いて数分の距離ですが、辿り着くのに1時間ほどかかっております。そりゃ日も暮れます。泣きます。

…断言しよう。地蔵めぐり最大の敵は、方向音痴だ。

ちなみに他に回りたかったのは、塩、お化け、とうがらし、豆腐、いぼとり等々。もちろん、これ全部地蔵。方向音痴を克服して、そのうち行ってみたいです。



 

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