どんな事情でマグロが芸者に
買って帰ってしげしげ眺める。“芸者”という言葉、“GEISHA”とローマ字表記にすると一気にインチキ日本な匂いが漂う。明らかにメイドインジャパンではない雰囲気。
上部のステッカーには日本語で「ホワイトミート まぐろ水煮(野菜スープ、サラダ油入り)」とあって、原材料からまぐろはびん長まぐろを使用していることが分かる。が、原産国が書いてない。一体どこで作られているんだろう。販売者として書かれていた川鉄商事さんに確認してみた。
--あの、“GEISHA”という缶詰を購入したのですが、原産国が書いてなかったものですから、気になりまして
「それでしたら、日本製です。原産国内で販売する場合は原産国は特に表示する必要はないものですから」
--えっ?! 日本製なんですか?
「はい。基本的には輸出用に生産してます。輸出分には“日本製”の文字がプリントされます」
--なんでまた今、芸者という名前を?
「輸出製品なのでご存じないかも知れませんが、“GEISHA”は昔からある缶詰のブランドなんですよ。それこそ第二次大戦前からあります。何で芸者にしたかというとちょっと分かりませんが、芸者という日本語が海外でもメジャーだったので、日本製をアピールするのに分かりやすかったんじゃないでしょうか」
……なんと!「GEISHA」は日本製であった。当たり前っちゃあ、当たり前だが、「明らかにメイドインジャパンでない雰囲気。」と前述してしまう私の気持ち、分かっていただけますよね?! だって、このラベルのテンションで本当に日本製とは…。
整頓しよう。結局、“芸者の缶詰”は、
「日本で生産され、基本的には海外(以前はアメリカが多かったが、現在は中東への輸出が増えているとのこと)へ輸出されており、日本でも一部輸入系スーパーなどで販売されているマグロの水煮の缶詰」
というのが、その正体であった。
なお、日本で販売されているのは現在はマグロの水煮だけだが(本当は油漬の方が美味しいのだが、健康意識の高まりのためか売れないのだと担当の方は残念そうだった)、輸出用としてはマグロ以外の商品も“GEISHA”ブランドで生産されているとのこと。
あ、そうだ。味ですが、薄味で上品さあふれておりました。さすが芸者。 |