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コネタ


コネタ326
 
暗黒のお米「古代米」を食べてみる〜古代人バーチャル体験

先日食材店を冷やかしていたら、真っ黒の米を見つけた。

なんでも大和朝廷時代から平安時代にかけて食されていた記録のある「古代米」らしく、収穫量が少なく貴重な代物なんだとか。ふうーん。

アントシアニンやビタミンBが豊富で健康にいいといったメリットもあるようだったが、そんなことはどうでもよくて。

興味はただひとつ。古代の人たちは一体、どんな米を食べていたんだろう?

そこで今回は、古代米を炊いて食べてみることにしました。

(text by ステッグマイヤー名倉

どうやって選り分けるよ!?

古代米だけを食いたいのだ!

実は購入時から気になっていたのだが、この製品、古代米に緑豆が混ざっていたのだった。

古代米だけを純粋に食したい身としては、まったく余計なことをしてくれたもんである。米と豆を手作業で選り分ける手間を考えると気が遠くなってくる。

そこで家にある道具をいろいろ試してみたところ、シェーカーの上部分を使うとうまく選り分けられることが分かった(シェーカーの穴は「米は通すが豆は通さない」大きさなのだ)。

やっているうちに腕が上達してくるのを実感する。結局、15分ほどで選り分け作業を完了。

せっかく上がった腕前だけど、役に立つのは今回が最初で最後だろう。ちょっと悲しい。


食器棚に眠っていたシェーカーが日の目を見る。使うの何年ぶりだろう。
米と豆を選り分けた充実感!

深夜12時半から水に浸しました。

ぬかりなく下準備

「お召し上がり方」の欄には「白米に対して10%〜20%の古代米を混ぜて炊いてください」と書かれている。

しかし今回は、古代人が食べていた米を、そのままの味で体験したいのだ。現代米を混ぜるなんて邪道の極み、迷わずオール古代米で炊くことに。

「炊き方」の欄には、「5〜6時間程度水に浸してから炊いてください」と書かれていた。こんなに長時間かかるなら…というわけで、前夜から水に浸しておいたわけですが。

翌日思い切り寝坊して、目が覚めたら午後3時になっていた。14時間以上も浸してしまったが大丈夫だろうか。

ちなみにこの古代米、水を入れるとアントシアニンが溶け出して紫色になる。ぶどうやブルーベリーにも入っている色素で、血液サラサラ効果があるとのこと。

美味しそうなのでちょっと飲んでみたけれど、何の味もせずガッカリしました。

翌朝。思い切り寝坊して午後3時。
炊き込むため土鍋に移す。指で水加減を見てみるも、水が澄んでないので判然とせず。

<野外に持ち出したモノ一覧>
 ・古代米の入った土鍋
 ・しゃもじ
 ・ウッディーチョップスティック
 ・塩
 ・ガスコンロ
 ・シーツ
 ・三脚(自分撮りの必需品)
 

いざ野外へ!!

ここにきて、ふと思い至る。

古代米の味を経験するというなら、なるべく当時のライフスタイルに近い状況下で食べるべきではないだろうか? 自宅で炊いてハイおしまい、では感動も半減してしまうのではないか?

そこで今回は、土鍋やガスコンロを野外に持ち出して、古代に近い環境で調理&試食することにした。

目指すは近所の公園である。本当は山や草原に出向きたいところだが、既に午後3時半を回っているので、ここはひとつ妥協することに。

妥協こそが人生であります。


土鍋抱えて街をゆく。
前方を歩く見知らぬオバサン。背後に土鍋が迫っていることなど露知らず。

なにより大切な調理場選び。

公園に到着

土鍋を抱えて歩くこと10分。近所の公園に到着である。

さっそく調理場選びにとりかかる。なるべく風が入らない安定した場所で、なおかつ細々した小物類を置く場所があるところ…。

と考えた末、大きなカエデの木のふもとを調理場と定め、ご飯を炊く準備を着々と進める。

公園に遊びに来ていた家族連れから怪訝な視線をチラチラ浴びながら。


はじめチョロチョロ、なかパッパ。赤子泣いても蓋とるな。

土鍋に火をつける

いよいよガスコンロに着火して調理スタートである。

ほんとは落ち葉でたき火したいところなのだが、警察に通報されると厄介なのでガスコンロにて妥協することに。

ガスで米を炊く。考えてみれば家で調理してるのと何も変わらない気もするが、料理は心と言われるとおり(今ぼくが言った)。

メンタルな部分が味にも影響するのだ、と何度も自分に言い聞かせる。


さあお母さん、このシーソーを思いっきり踏み込むんだ! 「宇宙の果てまで飛んでいけー!」

炊き上がるまでヒマを持て余す

コンロに火をつけてしまえば、あとはじっと待つのみである。およそ30分くらいだろうか。

その間ヒマで仕方ないので、一人で公園をぐるぐる歩き回って、利用客から一層不気味がられてきました。

シーソー遊びをしている母子、ずっと直立不動のまま動かぬサラリーマン。

犬だけは無邪気に近づいてきたけれど、飼い主から「そっちに行っちゃダメ!」と露骨に警戒されて。

なぜか直立不動のサラリーマン。
無邪気に寄ってくる犬。「そっちに行っちゃダメ!」と警戒心を露わにする飼い主。

おお、噴きこぼしが!!

土鍋が噴きこぼれた!

土鍋で米を煮ること20分あまり。ついに煮汁が噴きこぼれてきた。

噴きだしてきたのはもちろん紫色。これを見て米を炊いてると思う人はよもやいないだろう。気分はさながら毒スープ作りである。

火を止めてしばらく蒸らした後、おそるおそる鍋蓋を開けてみると……。

濃い紫色のツブツブがふっくらいい感じに炊き上がっていた。パッと見ると大量のキャビアの様相。

なるべく古代っぽくしようと思い、地面に落ちていたカエデの葉に飯を盛り付けてみた。

いい具合に炊き上がってます。
ええと、「古代」を何か勘違いしてるでしょうか?

公園にて生着替え。シーツの下はTシャツとトランクスのみ。

いただきまーす…のその前に

今回の企画はそもそも、「古代人の雰囲気で古代米を食べてみる」という趣旨だった。だったら服装も、なるべく当時に近いものにしたいところである。

そういや子どものころ読んだ歴史マンガでは、大和朝廷時代の人たちは白い布に身を包んでいた。これなら簡単ではないか。

…と、このように考えて、家を出るときにシーツを持参してきたのだ。

ガバッとシーツを羽織って、シャツとジーンズを脱ぎ捨てる。ようし、これで古代人だ!!


これが古代人だ!!

古代人気分で米をほおばる

冷たい冬風と視線が肌に突き刺さるなか、シーツにくるまって古代米をほおばる。ムシャムシャ。

せっかくなので三脚立てて自分撮り。

写真を確認して思わずのけぞりそうになった。古代人は、こんなにもみすぼらしく情けない存在だったのか!?

ただただ唖然として取材終了。

古代の暗さ」再現写真

ちなみにお味のほうでありますが。

簡単に言えば「ものすごくパサパサで、やや臭みのあるご飯」。これを寿司のシャリにしたら、どんなネタでもまずくなるだろうという代物だった。

やはり白米に混ぜて喰らうのがいいようです。

取材を終えて後片付けをしていたら、気がつけばすっかり日が暮れていた。街灯ひとつない公園をノーフラッシュで撮影してみる。

古代の夕暮れはこんな感じだったに違いありません。そして、古代はもうこりごりです。


 

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