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コネタ


コネタ432
 
都庁の中に居酒屋があった!
新宿の夜景をみながら1杯。

新宿副都心に燦然と建ちそびえる二つの塔。
石原慎太郎都知事が鎮座する東京都庁の事である。その中になんとたった2時間だけオープンしている幻の“居酒屋”があると知った。

都庁で酒を飲んでみたい。その欲求にかられた僕はさっそく場違い感も顧みず、その食堂に向かう事にした。

梅田カズヒコ


都庁ラーメン。煮玉子がおでん風でうまい。

そもそもなぜ……。

そもそもなぜこのことを知ったかと言うと、別件の用事で都庁の資料室に資料を探しに行ったついでに何か面白いものはないかとネタを探していると職員食堂にたどり着いた。
おなかも減っていたので都庁ラーメン(460円)を食べ店をあとにするそのとき……。

およそ僕の想像する都庁にあるべきものとは違うものを見つけた。それが下の写真だ。




こ、これは、新宿は新宿でも東口でよく目にする光景、まんま居酒屋のポスター(しかもチェーン店っぽい)やないですか。
月曜日はサワーがALL200円。(安い!)この写真には写ってないですが「ホッピー置いてます」の貼り紙もあった。
ちなみにこの日は「まぐろ祭り」。まさかまぐろも都庁の中で祭られているとは思いも巡らないだろう。

で、なぜこんなポスターがあるかというと、職員食堂が夕方5時から一部居酒屋として営業するという寸法なのだ。なるほど、さすがに昼間から都庁で酒売っちゃいろいろとまずいですもんね。

 

生ビールの看板。
やった! 生ビール半額だ!
5時過ぎだったので店はまだガラガラ。
特別メニュー。小笠原島から直送のメニューだ。沖縄とかじゃなくて小笠原ってのが都庁っぽい。なんか“島しょ部”見捨ててない感が漂ってます。

なんとしてでも都庁の居酒屋に行きたい。

結局この日は昼間だったので居酒屋は体験できなかったんですが、どうしても都庁の中で酒を飲みたかった僕は後日、夕方5時にもう一度あの場所へ向かう事にした。(今度は友達を無理矢理誘い出して)

都庁の無機質なリノリウムの床に突如現れる生ビール一番搾りの看板。わりとシュールな状況だ。そしてそこに私服で闊歩する僕と友達。これまたシュールである。ちょっと中に入るのが少し怖くなってきたが、タイムサービスで生ビールが半額だと知り、多少テンションを取り戻し、勇気を持って踏み込んでみることにした。

ドキドキしながらのれんをくぐり抜けた瞬間 店員一同に「いらっしゃいませ!」と大声で言われる。 時間が早く、客が少なかったおかげで店員の目線が僕らに集中しいらっしゃいませの大合唱になってしまったのだ。

どぎまぎしてる僕らに近づくダンディな店員
店員(ダンディ)「いらっしゃいませ、何名様ですか?」

僕は彼のオールバックヘアーのポマードでかためてるあたりを眺めながらつぶやいた。

僕「に、2名です」
店員(ダンディ)「窓側の席が空いているのでそちらにしますか?」
僕「はい」

高層ビルの窓際というわかりやすい魅力に浮かれながらにこにこしていると店員(ダンディ)もにこにことほほえみかえしてくれた。
昼間は食堂だった場所を居酒屋チックにしているだけなので内装は社員食堂そのものだがのれんで居酒屋感を演出しているところがかわいらしい。
また、よほど大事な話をする職員がいるのかついたてが結構深くて、個室のように隣の会話はまったく聞こえない。まわりの職員は何か重大な話をしているのかもしれない。ひととおり店内を見回していると白髪の藤村俊二さん似のこれまたダンディな店員さんがやってきた。

店員(おひょいさん)「何にいたしましょう? 本日はビールが半額ですが」 僕「じゃあビールで」 友達「じゃあ僕もビールで」

“じゃあ”って枕詞をつけているけど、最初っからビールを頼む腹だった。人間は時に些細な抵抗を試みたくなるものだ。

 

落ち着かないのでとりあえず飲む。


まわりを気にしながらも飲みだす。
関係ないけど後ろの花が“恋のから騒ぎ”のセットみたいです。

それにしてもなんだか落ち着かない。という事でビール(1杯250円)をさっそく飲みだす事に。これで少し場違い感も解消されるに違いない(自分の中で)。
後で写真をチェックしてみたんですが、ビール飲んでる僕、どう見ても部外者ですね。世が世なら撃たれているかもしれません。東京都の職員でもなければなんらかの理由で都庁に用があった人でもなさそうです。
まさしく「都庁」で飲んでる雰囲気がでるような写真を撮りたかったのですが、なんだか状況がよくわからない写真になってしまってます。右端に写っている高層ビルで少しだけ感じ取っていただきたいと思います。

 

食事、ぞくぞくと。


やきとり。安かった。でもってうまい、普通に。
でもってこれは寿司5貫。食品サンプルみたいだ、見た目も、味も。
冷や奴。なんと150円! 安い!
夜景もきれい。だって、都庁だもん。

隣のテーブルがすごいメニューを頼んでました。(ちなみに後ろ姿の彼が文中のダンディです)

一杯飲んだら場違い感も気にならなくなり、普通に飲みに来たかのようにくっちゃべってました。気がつくと就職の内定が決まらない友達に「だから内定決まらないんだよ」とか偉そうな事を言っていました。友達、ごめん。

で、二人で食べて飲んで合計は2680円でした。安い! 


領収書を見て驚く。安い!
酔っぱらっていい感じになってます。顔が赤いし目がうつろ。この辺りあまり覚えてません。

酒に弱い僕はすぐに酔っぱらいます。都庁の廊下をふらふらと歩きながら
石原都知事は発言の内容より目の充血具合が気になる。目薬差したほうがいいよ。
というような主旨の事を言っていました。


あまり本文と関係のないまとめです。

帰り道。都庁を見上げたらガスで頂上が見えませんでした。新宿副都心を歩いているといつもどこか地球以外の星に迷い込んだ気持ちになります。この日は雨上がりでガスがでていて夜空が紫色っぽい雰囲気で街並みがよりシュールに見えました。

紫色の夜空と高層ビルを見ているとこの世がもうすぐ終わってしまうような錯覚を受けます。でも、酔っていただけなのかもしれません。
変な街ですね、東京は。(でも大好きです)


 

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