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コネタ


コネタ436
 
似顔絵ロボットの可能性と限界
このロボットに似顔絵を描いてもらいました

近年、ロボット工学が花ざかりである。

アイボやアシモが注目を集めているのは周知の通りであるし、さまざまな産業ロボットの開発も日進月歩だと聞く。

ただ、昨今のロボットは仕組みが複雑すぎて、中身が全然分からない。もう少しプリミティブなロボットのほうが興味を持てるんだけどなァ。

…などと考えていたら、ふと思い出した。一昔前、「似顔絵ロボット」が一世を風靡したことがあったのを。

さっそく検索してみたところ、似顔絵ロボットは和歌山・白浜エネルギーランドにて、今も活躍しているとのことだった。おおっ。

そこで今回は白浜エネルギーランドに足を運び、似顔絵ロボットに自分の顔を描いてもらってきました。

(text by ステッグマイヤー名倉

エネルギーランド入口

いざ白浜エネルギーランドへ

JR白浜駅から10分少々バスに乗ると、エネルギーランドに到着である。

名称から察するに、もう少しハイテクな感じの建物を想像していたのだが…。入場する前から、一抹の不安が頭をよぎる。

いやまァ、似顔絵ロボットには、こういう「ゆるさ」が相応しいのかもしれませんが。
 

チビッ子だらけの雰囲気に戸惑いながら
明らかに場違いな雰囲気

各種あるアトラクションには目もくれず、似顔絵ロボットのコーナーに直行する。

…と、そこはチビッ子だらけの空間だった。親子連ればかりで、ぼくのような単身成人の姿はまったく見当たらない。

でも、こういうのは慣れているので気にしない(ことにしている)。受付で似顔絵の申込を手早く済ます。

ちなみに料金は500円なり。
 

チビッ子と入れ替わりで着席
情けない表情にチャレンジ!!

順番はすぐに回ってきた。

係員の案内にしたがって所定のイスに座ると、ビデオカメラの位置が手動で調節される。

自分の顔がモニターに映し出され、好きな表情を似顔絵にできるとのことだった。

せっかくなので今回は、「情けない表情」を描いてもらうことにした。
 

客席から見守られながら
大写しになる「情けない顔」
 
自分の顔に思わず吹き出してしまう。最悪の展開。
思わず自分でウケてしまい

…というわけで、情けない表情をいろいろ作っておったわけですが。

そうこうするうち、自分の顔にウケて思わず吹き出してしまう体たらく。

いかんいかん、このままじゃ「満面の笑み」で似顔絵を描かれてしまう!!

笑っちゃいけないと思うと、ますます笑いを押さえられなくなってしまい、最後は一人でゲラゲラ大笑いしてしまい。
 

一人で大笑いしてるぼく。冷ややかな客席。
客席は静まり返ったまま

すみません。自分だけ笑ってるのって一番みっともないですね。

案の定というべきか、一人でゲラゲラ笑ってるぼくを尻目に、客席の親やチビッ子は静まり返ったままだった。

「この人、いったい何なの!?」という怪訝な、そして冷ややかな視線。

部屋全体がなんとも寒々しい雰囲気になっていることに気付き、ようやく笑いがおさまってきた。
 

気を取り直して、情けない顔を作りなおす

情けない顔ふたたび

そして再び、「情けない顔」作りに専念する。

どういうのが情けない顔だろう? …と試行錯誤しながらも、いつロボットに描かれてもいいよう気を引き締めて表情を作り続ける。

ようし、だんだんコツが分かってきたぞ! 「情けない顔」を作るためのポイントが!!

自分なりに体得したそのコツとは…
 

これが「情けない顔」だっ!!  
ロボットよ、いまオレを描け!!

 1.微妙に首をかしげる
 2.目元を弛緩させる
 3.そして鼻の下をグッと伸ばす

そして完成した「逆キメ顔」が左の写真であります。緩みきってスキだらけの、この表情。

ロボットよ、いまオレを描くんだ!!

ええとほら、知らない間に写真を撮られてたときなんかにありませんか? 

自分がこんな表情で写っていて、「なんちゅう顔してんだオレ!?」と打ちのめされるような。
 

メガネを外して再挑戦。いままでの恥と苦労はなんだったのだ…。
 
突然「メガネは不可」と言われ

…というわけで、一心不乱に「逆キメ顔」を維持し続けていたところ。

突然、係員が口を開いた。

「お客様、メガネを外してください!」
「光が反射して画像認識できません!」

ええーっ、そんなのアリ!?

いままでの恥と苦労はなんだったのだ。ダメならダメと初めから言ってくれ。

観客席からクスクス漏れる失笑。
 

ロボットのアームが突然動き始める
突然描き始めたロボットさん

やむなく、メガネを外しての仕切り直しとなる。

さて心機一転、表情を…。と思った矢先、ロボットのアームが突然動き始めた。

ま、まずい! 早く情けない表情を作らなければっ!! …大急ぎで目元を緩め、鼻の下をだらーんと伸ばす。

しかし。ふとロボットを見ると、画像はすでに取り込まれていたのでした。心底どうでもいい表情で。

そしてアームはこの画像を再現してるのみ。
 

なかなか上手いなと思っていたら…
 
画像はすでに取り込まれていたのでした。
 
できあがりましたー!」と係員
似顔絵の出来上がり

アームが地味に動き続けること数分、ロボットの動きが止まった。ついに似顔絵の完成である。

完成作品を目の当たりにして思わず言葉を失う。…えっ、ロボットを駆使してこんなショボい出来映えなの!? 

これだったら、取り込んだ画像の輪郭をトレースして印刷したほうがずっとキレイなんじゃなかろうか。ロボットが筆を使って描くところがミソなんだろうけれど、それにしても。

いやまァ、これを言えば最新のロボットだって同じかもしれませんが。「手のひらに垂直に立てた棒を倒さずにキープする」のが画期的と言われてるらしいですし。

「オレがやったほうが早いじゃん」とか言わず、何億円もかけてロボットにさせるのが、科学の進歩なんでありましょう。
 

けっきょく捨てました
で、この似顔絵。どうするよ?

当然のことながら、完成した似顔絵はもらうことができる。

ただ、もらったところで用途がない。こんなもん部屋に飾りたくないし、誰かにプレゼントなどしようものなら、確実に嫌がらせだと思われるだろう。いや、とうとう気が触れたと思われるかもしれない。

持って帰っても気が滅入るだけだと判断したので、ロボットには申し訳ないけれど、帰宅する前に捨ててしまいました。
 

結論:メガネの人は描けない


似顔絵ロボットの可能性と限界。

それは「メガネの人は描けない」という意外な結末だった。「メガネのモデルは描かん!」だなんて、まるで頑固な画家みたいな話である。全然違うけど。

よく「ロボットには芸術ができない」と言われるが、今回、その意味がよく分かった気がする。我々は似顔絵に「正確な輪郭線」を求めているわけじゃないし、だったら写真で撮りますがなという話なのだ。

ただ、こういった無駄な技術こそ、考えてみれば真の「芸術」なのかなあとも思う。赤瀬川原平氏の「全自動ガム噛み機」に通じるような。いやァ、心が和みますねえ。

この似顔絵ロボットの技術が、今後も、なんの実用性もないまま経過してくれることを祈りつつ。  


 

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