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コネタ


コネタ440
 
つまようじの頭の世界

いきなりだが、「つまようじ」だ。

コンビニで弁当など買うと割り箸がついてくるが、中に必ずつまようじ(以下「楊枝」)が入っている。ふだんあまり楊枝は使わないのだが、その割り箸を使うと楊枝も使わないといけない気がして、袋から取り出す。しげしげ眺める。

あの頭の彫り物、ちょっと気になりませんか。気になる、ということにして、コンビニや合羽橋で楊枝を集めてみた。ミニマムな芸術、ということにして。

乙幡 啓子

今度みんなもコンビニで確かめてみよう

コンビニ各店などをまわり、無理やり春雨ヌードルなどちょこちょこ買って割り箸を集めてきた。am/pm、ローソン、ファミリーマート、サンクス、そしてオリジン弁当も入れてみる。


おなじみのコンビニ箸。

実はこの企画、Webマスターからは疑問視されていた。「楊枝の頭ですか・・・違いがはっきりあるんですかねえ」と。

「いやー、どうですかね」とお茶を濁しつつ、ひそかに闘志を燃やしていたのだ。そこに美はあるに違いない、と。

結果、コンビニ系だけでもこのような違いがあることがわかった。


イースター島ではない。左からオリジン、ファミマ、ローソン、サンクス。am/pm。軸に店名を書いていくのが地味に大変だ。

どうですか。なんだか野球漫画「キャプテン」のナイン(9人じゃないけど)みたいなたたずまいではないか。(左から)ノッポ、チビ、主人公、気弱、ニヒル、と性格まで決まっているように見えてきた。

それぞれ肩(?)とか腰(?)の位置、頭の形など微妙に変化はあるものの、この彫りの「こけし」のようなフォルムはだいたい共通のようである。

 

楊枝だけを求めて道具街をゆく

私は何の業者であろうか。夕方、料理道具街で有名な浅草・合羽橋を、楊枝だけを求めてさまよう。大規模立食パーティーを企画しているのか。チーズやフライに刺しまくるのか。


こんなに種類があるとは。

楊枝は意外に安い。多く入っているものでも80円とか、あるいは99円で4パック入り、などという中国製のものもあり、結果大量に仕入れてしまった。一生分の楊枝だ。いや、一生以上かもしれず、子供らに代々受け継ぐ可能性も出てきた。

それはさておき、市販の楊枝についても、微細な鑑賞を試みたい。

おとめ楊枝。
わりとスタンダードなタイプといえる。肩から足元まで一直線の削り。
竹楊枝。唯一、竹素材だ。
頭が長い。そして三角に尖っている。
特撰・つくしようじ。
その名の通り、つくしっぽい。頭も丸い。こけしよりハニワに近い。
やなぎ楊枝。柳ジョージ、みたい。
彫りが細かく、一番美しく見えた。
かわいらしいが社名などはまったく記載ナシ。
他の楊枝で足になるでっぱり部分が、胸の位置に来ていた。原始のデザインっぽい。マタニティを連想。
楊枝界のネクストステージ、フレーバー付き楊枝。
でも彫り物はいたってふつう。

4個入り99円の中国製の中でも、このような違いがあった。セントルイス。

お!とうもろこしのでんぷんでできた、韓国製の楊枝。うわさにはきくが初めて見た。
しかし彫り物は、なかった。

はー目が痛い。

それぞれ単体で鑑賞してもよいが、いっせいに並べてみるとこんなにバリエーションがあるのかと、はっとする。「はっとする」というほどでもないかもしれないが、とにかく皆それぞれ違うので、見ていただこう。


真ん中2つが形式としては他と異なっていて、「足」のかわりに「胸」がある。

 

楊枝メーカーにまでききに行く

ここまでくると次のような疑問が浮かぶ。このような彫り物の形式、「頭」「肩」「足」といった形は、特に決まりはあるのか?また、この彫り物自体の目的は何か?昔からうわさで聞いているように、クビレでぺキッと折って箸置きのように使うのか?

上記の「やなぎ楊枝」の製造元、やなぎプロダクツさんにうかがってお話を聞いた。ちなみにこちらでは、上記「フレーバー付き楊枝」も製造されている、ユニークなメーカーさんだ。

「まず由来ですが、とある楊枝会社の社長さんがデザインした、と聞いてます。モデルはやはり『こけし』だとかで、それがずっと採用されてきてるんですね。楊枝の会社は大阪の河内長野が本場で、5件あって5件とも微妙に模様が違ってたので、見る人が見ればどこの会社の楊枝か判断できたもんです。」


イタリア輸出用「SAYONARA」。いきなり楊枝で別れの挨拶。
SAMURAI。これもイタリア向け。イタリアの人も歯に挟まりやすいのか。

やなぎさんの製品の彫りを褒めた。あの彫りは、どうやって彫ってるんですか?と聞いたら「まさか人がひとつひとつ彫ったりはしてないですよ。」と釘を刺されてしまった。そうだったら面白いのに、とは思っていたんだが、まあ、当然機械でしょうな。

現在は中国で量産されているとのこと。模様が「中国で他の会社にどんどん真似されてしまっている」んだそうだ。


中国の工場の量産風景。各機械ごとに1mくらいの円盤型ヤスリがまわっており、自動で彫っていくという。
彫りの入る前の、ヒゴ状の原木。

最後、伝説の「箸置き」説について聞いた。「あれは柳家金吾楼さんでしたっけ?落語家の方がね、ネタでね。はは。」

ということで、そういう用途はないそうだ。

最後に微小な知識。頭頂部が茶色いのは、わざと「焦がして」いるんだそうである。デザイン上。なんて芸が細かいんだ。機械で量産とはいえ、そこまで凝るか日本人、とあきれるやら尊敬するやら。

ご協力:やなぎプロダクツ株式会社


 

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