デイリーポータルZロゴ
このサイトについて

コネタ


コネタ453
 
冬山のアイスモンスターに対面。

アイスモンスターとはウルトラマンに出てくるような怪獣ではなくて、樹氷の別名。樹氷だと焼酎を真っ先に連想する人もいるかもしれませんが、私の中ではキラキラした白銀の世界にたたずむ北国のロマン。

樹氷は東北の一部にしかいなく、世界的にも稀でそれをみた外国人たちがアイスモンスターと命名したらしい。なんとも愛嬌がある別名である。東北に行く機会があったので、樹氷で有名な山形の蔵王に行って冬のいましか見られないアイスモンスターに対面してきました。

(text by 藤井 季美

■第一日目 吹雪の中

樹氷を見たいのであればロープウェイで蔵王の山頂まで行くことが出来るが、本当に近くで見るのであれば蔵王のゲレンデを滑るのが一番いいとのことで、スノボーの装備をして行ってみる・・・が、吹雪いてる。天気予報では曇りだったはずなのに・・。

聞いてみたら荒天のため運休しているリフトが多く頂上まで行けないとのこと。それでもなんとか少しでも見られないかと思い、動いてるロープウェイに乗ろうとチケットを買ったら『あとで払い戻し出来ないけどいいです?』と売り場のお姉さんに念を押された。私はそんなに無謀なことをしようとしてるのかしら?と不安になってしまった。でもそんなに危なかったら誰も乗せない筈。大丈夫だろうと思ってロープウェイに乗ってみた。

高速ロープウェイは速いし揺れも大して感じなく快適だったけど、降りた途端に後悔した。


見えない。 これがホワイトアウト。

吹雪でゴーグルも凍りついて視界がせまくなり地面も見えない。真っ白な粉の中でなんとか前の人が歩いてる所を見て「あれが地面なのか」と確認する。自分の吐く息でゴーグルも曇りはじめてしまう。
私の冬の間の憧れグッズ "目出し帽" でも被っていたら違ったのだろけど、隠し切れていない顔の微妙な隙間に雪があたって痛い。顔は痛いし寒いし何も見えないしで「こうやって人は雪山で遭難するんだろうな」と思ったらじわじわと恐怖感が込みあがってきた。そもそも私はスノーボードの達人ではない。初心者ではないけど、中級とも言えないレベル。そんな私がこんな中をスノーボードで移動したら谷底に落ちてはまってしまうだろう。チケット売り場のお姉さんの言葉の意味をもっと考えればよかった。

 

怖いです。


どうにもならないので、退散。


室内に入ったら雪が溶けてびしょびしょ。

 

樹氷を見るのがこんなに困難なことだったとは予想してなかった。次の日の天気を調べてみたらまずまずだったので明日に期待をかけてこの日は近くの宿に泊まることにした。宿で温泉につかってお酒を飲んで寝る。

 

■第二日目 天気回復

一日目は山の天気にやられてしまったので早起きをしてみる。天気はいい。山頂の小屋も下からちゃんと見える。今なら大丈夫に違いない。行ってみたらロープウェイも山頂までちゃんと運転している。


山小屋がみえてる。 見晴らしいい。

ロープウェイがどんどん頂上に近づいてくる。


おっ!


おおっー!!!


やった。樹氷だ。眩しすぎて目が焼けそうだ。昨日のあの苦労はなんだんたったんだろうと思うほどの晴天。ねばったかいがあった。


うにょうにょ。


こう見るとたしかにモコモコしててマシュマロマンみたい。外国の人がアイスモンスターと名づけたのも分かる。でも襲ってきそうには見えないけど。

感想:モコモコした樹氷だらけのゲレンデをスノーボードで滑って北国のロマンを感じるひと時でした。初心者でも頂上から滑って降りてこれるくらい緩やかな斜面だし、ロープウェイでから見るだけでも充分だと思うので気が向いたら来年にでも。

ひゃっほう。

DATA: 山形蔵王温泉スキー場

 

▲トップに戻る コネタバックナンバーへ
 
 


個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.