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コネタ


コネタ459
 
私のまちは、木に侵略されやしないか
この木なんの木 気になる木

近所の小学校に、『象のあし』と呼ばれる木がある。

そう呼んでいたのは私だけかもしれないけれど、とにかく象の足だ。

その木は、左右のコンクリート塀を完全に食っていて、ふしぎなオーラを放っていた。

そう見えていたのは私だけかもしれないけれど、とにかく放っていた。

カメラに収めようと思っていたのだが、50歩も歩けば着くほどの近所。いつでも撮れる気がしてそのままにしておいた。

そう思っていたのは私だけかもしれないけれど、けれどではなくて確実に私だけだったようで、とにかくもう二度と見事な足を見ることは出来なくなってしまった。あの食い込み部分が伐採されたのだ。

ゆっくりと時を経て、数十年後にはまた復活するかもしれないが、私が生きている間にあの勇姿を見ることは不可能に近いのではないか。

「今日できることは今日のうちにやれ」

死んだ祖父の言葉をいまさら胸にきざみながら、半径3km圏内、大あわてて食い込む木を探しに行ってきました。

(text by 土屋 遊

肉付きのよい象さんの足が……(土屋作)

やせすぎの象さんに。(本物)

コンクリ跡

さらば、象のあし

ああ、今日ほど私が、念写ができる体質でないことを悔やんだことはない。
みなさんに、あの『象のあし』をご紹介することは完全に不可能になってしまったのだ。

あまりにもくやしいので、まずは『象のあしを偲ぶ会』に一人で行ってくることにした。

なにかの"まじない"なのか、土嚢(どのう)が積んであった。もしかしたらこの土嚢で私のような『象のあし鑑賞家』の目をあざむこうとしているのかもしれなかった。
「そうはいくもんか」
と思いながら うっすら『あし』の面影がのこる場所に立つ。しばし眺めること2分。

『コンクリが先か。木が先か』

どうやってこの木は、コンクリを侵略していったんだろう、いったい内部はどうなってるんだ?とずっとふしぎだった。

この場所を通るたびに浮かんでいた疑問は、その切り口を見てやっと判明した。
伐採されるまでは、木の左右のコンクリ塀がつながっていると私は思っていたのだ。バカか。

よく観察してみると、木だけではない、コンクリートもバッツリとカットされている。相討ちか。いやちがう。

まず最初に木、ありき。
のちに左右にブ厚い塀が作られたようだ。
長い年月を経て、そりゃあ木が食い込むのはむりもない。なにしろ侵略していったのは木ではなくて、コンクリだったのだ。

 

街は食い尽くされる、のか

『象のあし』から環七方面へ歩き、侵略木を探してみることにした。

そんなにカンタンには見つけられないだろうなあと思っていたのだが、どうもみなさん食欲旺盛なようだ。
ガードレールや柵、ブロック塀などをうまそうに食っている。いや不味そうだ。すごい、まずそう。


セクシー唇タイプ
スライム系
Tバックの食い込みよりすごいことになってます
木戸と真っ向から勝負を挑む

 

かけだし中の侵略樹木たち

なにかを企んでるようなパワーを感じる木々を一挙放出。


せつなくなってきました。

 
わービックリしたー

木とともに生きる家

虎視眈々としずかに侵略を謀る木々たちを尻目に、

「おらおら、どけどけー」

と、なんだか妙にいばっているオーラを放つ木も存在している。

「はいはいちょっとすいませんよ、塀を作らせていただきますよ」

といった人間の謙虚なきもちがあらわれていて実に和やかな気分だ。

木と人間の共存。今年の花見は、これに限る。


下段はすべて同じお宅。都会の雑草の中、いきなり森のような佇まいの森林浴ハウス。

みんなこうして大きくなった

友人宅に立ち寄り、いっしょに近所の川のカモを冷やかしに出かけてみると、とちゅう、母校のグランド裏に妙な木が立っていた。見事な共存木だ。

私はこれを見て、あの『象のあし』を思い出していた。

ああそうだ、あの足もこれだったんだ。こうして木の成長を気づかいながら、コンクリ塀を作ったんだ。
あの土嚢だって、いきなり木が倒れてしまわないように、配慮したのかもしれないのだ。

「それにしてもナナメだよね」

「うん、ナナメにまっすぐ育ってるね」

「そうだね、生徒たちもこうして育ったんだね」

「うん、ナナメにね」

それにしても先生、これはちょっと、あまりにもギリギリすぎやしませんか?

 

我が母校も共存中。

木に対する、母校の、母校ならではのアホな心遣いに、うれしいような情けないような気分にひたっていたのですが、近所にある神社の境内で、有効活用なツリーを発見しました。

ご神木を侵略する、そうじ道具一覧

まあこれも共存の一種ではあります。


 

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