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コネタ


コネタ487
 
調理例を忠実に再現する
 

ずっと前から気になっていた。それは「調理例」。
よくインスタント食品とかのジャケットにあるアレです。だいたいインスタント食材を選択した時点で、「例」のごとく華やかに食事を彩る気力はありません。

だから一生に1回ぐらい、調理例を忠実に再現してみようと思いました。

(text by 神田ぱん

同期のなんちゅうか本中華は最近見ない

めん類は調理例の王道

まずはラーメン。これは「調理の一例」だ。袋の裏側に、「一例」トッピングの作り方も書いてあった。
「下味をつけたエビとホタテをグリルし、ルッコラとバルサミコ酢をかける」
……ルッコラもバルサミもない。
しょうがないから、ルッコラ→キャベツ、バルサミ→黒酢で代用する。

まずそうだけどいっただっきま〜す♪

なにコレ…
“黒い人”もガッカリです。ヨシナガさんのコネタ面白かったなあ。
閑話休題。
見た目通り、あまりおいしくなかった。敗因は黒酢かもしれません。

のれん越しにカレーうどんをチラ見

今度はカレーうどんにしようかな。
これは「鴨カレーうどん」でしょうか。「召しあがり方参考写真」とある。“召しあがる”だなんて。や、そんなイイもんじゃないですよォ〜。丁寧すぎる言い回しにヤヤ照。

真ん中に載っかってんのはトリ肉っぽい。赤いなにかと緑のなにかは正体不明。

ま、トリ肉入ればなんとかなんでしょ。と、トリをゆでてのっけてみました。

これは「けんちん汁」ですな

特においしくもまずくもなかったです。トリに味ついてないし。

ていうか、この写真だとめんが見えなくて、あまりうどんに見えない。
しかもさっきから別においしくなってない!
見た目が派手なだけじゃん!
全然“忠実に”再現できてない!
もー、めんはやめだやめ。

自己啓発本の表紙みたいです

本気出しますから!

よ〜し、次なるターゲットはみそ汁だ!
フリーズドライのスープ類は、朝食用の常備品です。

これだけ野菜が入ってれば、特に調理なんかする必要もないみたい。
みそを入れて、乾燥野菜を入れて、お湯をそそぐだけで良いんですよ。簡単ですよ簡単簡単。

てな気持ちで、お湯をドボドボとそそいでみたら……

またもやけんちん汁のルック&フィール

またもやけんちん汁状態に。

ここへ来て、ようやく写真のヘタさが致命傷だということに気付きました。

しかし私とて、仕事であまたのグルメ取材をしてきた身。ライター始めて20キロ太った身。
プロの意地を見せた方が良いのではないか。ちょっと、今むりやりだったかもしれない。プロの意地とか。

まず、器を上げ底にして〜

プロのごまかしかた

プロとかいっても、コツはただひとつ。
野菜が見えるように上げ底するということです。

ってそれはプロじゃなくても思いつきますよね。
すいません。
味は、味は、味は……プロなので味についてはコメントを控えさせていただきます(プロの処世術)。みそ汁はおいしかったです。

溶かしたみそ汁を適当に流し
野菜を適当に並べて上げ底かくし…

ハイできあがり! おいしいかもヨ!

タイカレーって大っ好き

エスニックな調理例に挑戦

調理例はレトルト食品にも潜んでいます。カレーなんて、レトルトに加えて「調理」したりするんだろうか。調理する時間がないような時に食べるものではないのか。

でもメーカーはけっこう調理してくれるのを期待してるっぽいですね。
このタイカレーもあたためて器に出してみたら、具材の様子が違い過ぎます。
つうかジャケ写の芋(?)はぜったい生だろ!

どうすればいいのかと思ってたら

くろいひとがひらめいた!

具の量とかは同じなんだが

文字通りレア(生)な食材を使ってしまおうという試みです。
見た目は成功だけど、実際は食べられませんでした、固くて。

元に戻して、つまりレトルト即開け状態で食べたら、もーのすごくおいしかったです!

生じゃがいれちゃいました!
見た目はジャケ写そっくりです

もしかして「調理例」の通りにはやんない方がいいのか?

チョットそういう疑念がよぎってきました。
調理例は、別に調理をすすめてるわけではないのかもしれない。
毎日毎日同じ製品を作り続けてる食品メーカーの人が、仕事にちょっとしたアクセントを求めて“調理”してみただけなのかもしれない。
ならばなおさら、調理例を探ってみたい。

というわけで、今度は缶詰をチェックしてみました。


すごい盛り付けです

さんま水煮缶の場合

そしたら缶詰の場合は“盛り付け例”が主流でした。

なんかそれ潔いな。
パカッと開けてパッと食べられるんだよ便利でしょ、という自身の存在意義をわかってる。
加工食品の先達として、見極めちゃった感じ。

しっぽ側オンリー。うまいけど

だからといってこんなアバンギャルドな盛り付けをしたさんま水煮は、いささかもてあますというものです。

盛り付け例があずきに埋もれてる

あずき缶の場合

もう“例”っていうか、ただお椀に盛ってるだけです。

なんか可愛くなった

あまりにもそのまま。そんな素直なキミが好き。

いかは“皿盛り例”だ

いか味付缶の場合

これはもうイカにも飲み屋のつまみなので、メーカーさんもやる気出してます。皿に盛れという容器の指定まで。

立ち飲み屋っぽい

とってもおいしそう!
やっぱり皿盛りしてよかったと思う瞬間でした。

わざわざ入れ替える必然性は…

あさり水煮缶の場合

あさり水煮をチョクで食べることはそうそうない…と思ったけど、お好み焼き屋とかならこんなふうに“盛り付け”て出てくるかもしれないな。

やっぱり必然性はないような…

でも、写真の壺みたいな容器がないので、このままで失礼致します。

たのしいかい〜♪

ほたて味付缶の場合

こうなってくると「盛り付けとは何か?」という気持ちになってきます。

ま、缶詰ツマミに酒飲んでるような時はだいたいヒマなんで、盛り付けの概念について深く考察するのもまた一興かと。

盛り付け例に忠実な盛り付け

さて、そんじゃあ私も一杯いきますか!

オツカレ〜♪

カップめんに“調理例”はなかった     

食品業界もPL法とかで大変なのだろうが、別に「調理例」とか断るまでもないんじゃないかと思う「例」も多い。
でもいちばん驚いたのは、ほとんどのカップめんに“調理例”の表記がなかったことだ。つまり、カップめんは「例もなにも、ウチのカップはマジでこんだけ豪華ッスから!」という堂々たる態度で販売されているのであります。
カップめんをちゃんと豪華に撮るのはそうとう大変だろうな〜。

というわけで、調理例を再現してみた結果、調理例に頼らないカップめん業界の潔さを思い知ったわけであります。

こんな“盛り付け”不可能ですから

 

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