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コネタ


コネタ491
 
ポカリスエットで豆腐作り

授業で元素記号を習っても、「こんなの実社会のどこで使うっていうのよ!」という友達は多かった。
確かにそう思うかもしれない。でも日常のそこここに化学反応や元素記号は転がっているのだ。

例えばにがりの成分は塩化マグネシウム。
にがりといえば豆腐。
では、塩化マグネシウムを含む物質で、豆腐が作れちゃうんじゃないの?

というわけで、塩化マグネシウムが原料の一つであるポカリスエットで豆腐作りに挑戦です。

佐倉 美穂


豆汁作りに四苦八苦

豆腐の原料、大豆を一晩水につける。
あんなにころころと丸く硬い豆が、翌朝にはジェリービーンズのような円筒になっている。
静かに伸長する彼らを定点カメラで観測し、早送りしてその課程を見てみたい。教育テレビでよく見たようなやつだ。


節分の豆のような硬い球が
一晩で「これぞ豆」という形に。

その豆をミキサーでペースト状にする。
何年前に使ったのが最後かわからないミキサーを食器棚の奥底から出すが、正直使い方もおぼつかない。使えるんか?こいつ…。
まあ、単純な機械なのでなんとか運転開始。いっぺんにかけるには大豆の量が多いので、前半後半に分けて粉々になってもらおう。

扇風機のように単純な仕組みだったので、難なく運転。ぐいいーん、という機械音とともに豆がみるみる液状になってゆく。


これで毎朝野菜ジュース作ってる人いるんだろうな

と、あれ…。機械が「グオッグオッ」と変な音がしだしたと思ったら止まってしまった。
「なんですとー!」と内心叫びながら、いじろうとしたらビリッときた。やばい、漏電している。

とりあえずコンセントを抜き、もうペースト状になった前半の豆をボウルに移す。
その際ミキサーの違うところから外してしまい、飛び散る大豆ペースト。悲惨な台所。立ちつくす私。
かろうじてボウルに収まった大豆は最初よりもかなり少なくなってしまった。


ボウルにも飛び散った痕跡が残っている

ミキサーは手入れをしてスイッチを入れるが、うんともすんとも言わず、結果、使える豆は計算の半分以下ということに。


豆腐作りも中盤

少量だが、できた大豆ペースト。これを豆汁(ごじる)という。
お湯を沸かした鍋に豆汁を入れ、しばらく煮てから布で漉す。

通常使うのはこし布。でもそんなの用意してないよ。面倒なので何か代用できるものがないかと探したら、ちょうどいいのがあった。三角巾だ。腕をつるやつ。


なぜか引き出しの奥にあった

新品の薬品くさい布を洗剤で洗い、干してから使用することにした。

煮えてきた豆汁は、あんたカプチーノ気取りかい、と言いたいくらいの泡。文字が書けそうなくらいにクリーミィ。


もっさりと、泡。

それを先ほどの三角巾で漉してできたのが豆乳とおからだ。


豆乳。そのまま舐めても美味しかった。毎日飲みたい。
山盛りのおから。やはりミキサーが足りなかったか。

 

とうとう山場へ

その豆乳が熱いうちに、ポカリスエットを垂らす。


ポカリスエットも温めておいた

…変化がみられない。量が少ないのか?
ではもう少し入れてみるか。どば。どうだ。ん〜、まだか?
どぼどぼ。おっ、豆乳がもろもろと凝固し始めた!


固体っぽくなってきましたぞ

これをまた先ほどの三角巾を洗ったもので漉す。
すると布に少量残ったのは、見事豆腐だ。


少ないよね、豆腐。

豆腐だけに一丁あがり

できた豆腐の見た目は生クリームのようになめらかだが、口に入れると絹ごし豆腐よりざらざらした粒子っぽい感じが舌に残る。これは木綿豆腐の荒々しさとも違う。やはり普通の豆腐とは比べてはいけない。
しかもポカリスエットの爽やかな香りが残っている。これは甘いものを期待させる香りだろう。それが豆腐だなんて。湯豆腐なんて論外だ。

いっそ甘くし、豆腐ジェラートにしたらかなり美味しいものができるのではないかと閃いた。粒が粗いのもジェラートでは喜ばれる食感の一つだ。しかし今回はそこまで試すには量が足りない。

今度ミキサーが完全復活した暁には、そこまでやってコーンに乗せて食べてみたいものだ。

今回、市販のにがりを使って普通の豆腐も作ってみた。重しを乗せないおぼろ豆腐だ。
できたてのあたたかい豆腐はまろみがあってとても美味しい。もちろん香りも大豆フレーバーで邪魔するものもなく。やはり専用のものを使うのが一番正当だということを改めて実感した。

でも意外なものを使うと発見もあるということで、これからもオカシな実験をしてゆきたいと思います。

故意ではなくハート型になった。

 

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