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コネタ


コネタ492
 
小型車で作ったリムジンやトラック〜ヘンテコ改造車大集合
ええっ? 日産マーチにリムジンモデルが!?

前回の記事で紹介した 日産自動車の自動車整備専門学校。

この学校では卓抜した技術を生かして、生徒さんたちが数々の「特殊改造車」を作っていたのだった。

そこで今回は、彼らが製作した、ヘンテコ自動車たちを紹介してみたいと思います。

技術の粋を集めた「迫力ある遊び心」をとくとご覧ください。

(text by ステッグマイヤー名倉

用意するもの: マーチの事故車2台
◆2台を1台に〜「マーチ・リムジン」

冒頭に載せた写真が「マーチ・リムジン」であります。

リムジンといえば普通、キャデラックやリンカーンを連想するが、今回製作されるのは国産小型車マーチのリムジンである。

こんな「庶民のリムジン」がどうやって作られるのか、順を追って紹介していきたいと思います。

前部分3分の2と、後部分3分の2をつなげて1台にする。
正確にセッティングされた2台のマーチ。
2台の「つなぎ目」をしっかりと溶接
天板もご覧のようにしっかり固定。
2台の隙間に金属板をはめこんで溶接する。

原理は単純明快で、2台の車の前半分と後半分をつなげるだけでありますが。

考えてみたら、トランスミッションなどの動力系からブレーキ、電気系統にいたるまで、全てつなぎ直さなければならないのだ。

こんな気が遠くなるような作業を、いとも容易くこなしてしまう職人技。いやはや感服です。

仕上げの美しさには、ただ唖然とするばかり。

しっかりと板金加工され、研磨される金属板。もはやボディの一部となっている。
前バンパーは自前で作ってしまう豪快さ。

最後に塗装を施して完成!!
すばらしい出来映えですねえ。  

後部座席はこんなに広々と。
余裕で足を伸ばせます。  

それにしても、「マーチ」+「リムジン」という取り合わせのギャップがなんとも楽しい。小泉首相がこのリムジンから降りてくる図を想像して、一人でほくそ笑んでしまいました。

 

マーチの後部を削って荷台にしたトラック。
◆後部を削って「マーチ・トラック」

さて、お次は「マーチ・トラック」であります。

トラックといえばいかつい車体を連想するけれど、マーチをベースに作ると、トラックもこんなに可愛くなる。

一体どうやって作られたんでしょうか?

マーチ・トラック作成の手順。
まずは、改造のおおまかな手順を説明します。
  1. ハッチバック型になっている後部の上半分を切除する。
  2. 切除した部分をさらに切り詰めて短くする。
  3. それを再びボディに溶接し、余った後部スペースを荷台に改造する。

いやー、ぼくのようなシロウトには、こういう発想自体が出てきません。

切り詰めた後部をボディに溶接し終えたところ。
それでは実際の製作現場に。

工程の前半(切断するところ等)は写真を入手できなかったので、切り詰めた後部をボディに溶接し終えた時点からの紹介になってます。

しかしこうして見ると、整備士って車の医者みたいなもんだなァと痛感しますねえ。こんな「手術」を敢行するあたり、さしずめ形成外科といったところか。

満身創痍のマーチ。後部の窓ガラス部分には金属板が溶接されている。
板金して形を整えたうえで研磨する。
みるみるうちに自然なシルエットへと変貌していく。すげー。
前から見たところ。

 

 
そして完成、マーチ・トラック!!
こういうモデルがあるかのような出来映え。  

展示後は屋外に保管される。
ただ、荷台部分に妙な板が乗せてあった

ぼく:「なんですかこれ?」
係員:「屋外に駐車してると雨水がね…」
ぼく:「えっ?」
係員:「荷台に雨がどんどんたまっちゃうんです」
ぼく:「はァ…」
係員:「だから雨が入らないよう板を乗せてます」

クルマ作りの難しさを垣間見た気がします。

 

寝テーピングした中央部分を切断、摘出して再びつなげる。
◆中央を取り除いて「マーチ・チョロQ」

さて、最後は「マーチ・チョロQ」であります。

左の写真、マーチの中央部がテーピングされているのがお分かりでしょう。で、この中央部分を摘出して、車体を短くしたのがマーチ・チョロQ。

こちらのほうは残念ながら工程写真がないのですが、いやはや感服。

いつの日か、キャデラックのチョロQ改造車を見てみたいものですな。

完成車。かわいいねえ。
運転席もこんなにコンパクト。

マーチ・チョロQに乗ると体が大きく見える

今回ご紹介した特殊自動車たちは「改造車」なので、一般公道は走れないそうですが。

学校内での移動や荷物の運搬に、今でも重宝して使っているそうです。

それにしても、身につけた技術を真正面からぶつけるだけでなく、こういう「遊び」にも全力投球できる余裕が、なんだかとてもカッコイイなと思った。本気の冗談というか、実用のナンセンスというか。

こんな学校で学んだ皆さん、きっと素晴らしい整備士として世に出ていかれることと思います。これからのご活躍を陰ながら応援しております。

取材協力:日産学園京都自動車工業専門学校


 

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