青森県・八戸の郊外にある「蕪島」という場所をご存知だろうか?
ウミネコの繁殖地として天然記念物に指定されており、毎年春になると数万羽のウミネコが飛来して大変なことになるのだという。
そこで今回は青森まで出向き、蕪島(通称ウミネコ島)の実態を調べてきました。
ヒッチコック監督の『鳥』を彷彿とさせる、恐怖の世界を是非ご覧あれ。
(text by ステッグマイヤー名倉)
蕪島の最寄り駅である鮫駅(JR八戸線)で下車して歩くことに。
このあたりは鮫町と呼ばれているようで、いたるところ鮫の文字だらけだった。
「うみねこの街、鮫」 「ふれ合いと笑顔でつくる鮫の町」
さらに鮫小学校、鮫交番etc...。まさに鮫づくしの街である。
鮫駅から海岸沿いに歩くこと十数分、蕪島の姿が目に飛び込んできた。
遠くからなのでよく見えないが、島全体に白いブツブツがゆらめいている。これが全部ウミネコなのか!?
ウミネコとの対峙に怯えつつ、足を進める。
蕪島の手前に売店を発見。「ウミネコのエサあります」と書かれていたので覗いてみたらところ。
カルビーかっぱえびせんが「うみねこのエサ」と銘打ってそのまま売られていた。えっつ!?
カルビーの社員がこれを見たら気を悪くするんじゃなかろうか。「弊社が作ってるのはウミネコのエサではありません!」って。
でも、せっかくなので一袋購入した。自分でも食べられるからね。
晴天なのに傘!?
蕪島に到着するなり驚いた。晴天なのに見物客がみな傘を差しているのだ。
なにごとかと思って様子をうかがっていたら事情が分かった。大量のウミネコが飛び回っているものだから、上空からフンが降り注いでくるんである。
うわー、傘なんて持ってきてないよ。どうしよう!?
…と焦っていたら、「ご自由にお使い下さい」と書かれた傘立てを発見。助かった!!
てなわけで傘を差しつつ、蕪島の内部に足を進めてみると…。
そこはもう、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥、鳥!!!!
おまけに人に慣れきっているので、いくら近づいてもビクともしない。
なにしろ敵は数万羽なのだ。生身の人間一人で立ち向かえるはずがない。変な真似をして全羽が一斉に襲ってきたら…うわああー。
こんな恐怖に怯えながら撮った彼らのスナップショットを、ひとまずご覧いただきましょう。
どこを見回しても、島全体がウミネコで埋め尽くされているありさまで。
タバコを吸おうとしても、灰皿の上にウミネコさまが。
さしもの狛犬も降り注ぐフンには太刀打ちできず、ぶっかけプレイのような体たらく。
そして島の裏側は……。
ウミネコに乗っ取られたとしか思えない迫力に茫然として、エサをやるのをずっとためらっていた。
しかし、せっかく購入したかっぱえびせんである。そのまま持ち帰るのも馬鹿らしい。
で、とりあえず袋の封を開けてみた途端、ウミネコたちの襲来を受け、あわててエサを地面に差し出したのでした。
早く撒かなきゃ、自分が襲われる!!
エサがなくなったら彼らに見向きもされなくなったので、寂しく帰途につくことにした。
鳥に囲まれるのも怖いが、鳥に無視されるのもなんだか腹が立つことよ。…と、これはこれで身勝手なことを考えながら。
でも、いずれにしても。
一匹なら可愛いものでも、大量になると可愛さなど吹き飛んでしまいますな。
というわけで蕪島の様子、いかがだったでしょうか。
今回この地を取材して痛感したのは、ひとつの種が異常繁殖してるのって、単純に気色悪いなァということ。
でも考えてみりゃ、今の地球、我々人類が異常繁殖の最たるものであるのも事実でありまして。
まァ、私もあなたも気持ち悪いってことでひとつ。
命は何よりも尊いのです。