僕の住んでいる街は埼玉県の川口市といって、かつては鋳物で有名だったところだ。
「キューポラのある街」なんて映画も撮られたこともあるほど、以前は鋳物産業が盛んだったのだが、現在は衰退して、代わりにベットタウン化が進んでいる(訊くところによるとマンションの数が世界一だそうだ)。
しかし、そんな昔の名残か、川口には銅像が多い。しかも、なぜだかやたらと恐いものが多いのだ。
今回はそんな銅像たちを林氏との対談形式で紹介したいと思います。
(text by 宮崎晋平)
恐怖!の老人像
宮崎:この a なんか、普通に可愛いんですけど。 林: 眼がぞんざいですね。 宮崎:で、 まずはbを観てもらいたいんですけど。 林: これはちょっと辛くてみてられないですね。 宮崎: これ、公園のベンチに座ってるんですよ。隣に座れるんですけど、あんまり座りたくないという。この思い詰めた表情がまた……。 林: このおばあさん、きっと間違ったもの買っちゃったんだよ。息子はフレンチクルーラー買ってこいっていったのに、オールドファッション買ってしまったとか。 もちろん息子は家庭内暴力で。 宮崎:すごい想像力ですね。でもダークな想像を掻き立てる銅像ではありますね。 林: 「ババァちげえよ!」と言われた後の様子です。展也も昔は優しかったのに……。 宮崎:悲しいですね。 林: 自分で言ってて泣けてきました。 宮崎:僕はお母さんには優しくしようと思いました。 林: 僕もです。お母さんにこんな表情をさせたらダメですよ。 宮崎:では次はCなんかどうでしょうか? 林: さっきの暴力息子の小さい頃ですかね。 手に持ってるのは櫛? 宮崎:鼈甲柄の櫛みたいですね。 林: 「苦」で「死」ってことかな。 宮崎:……さすがにそれは深読みでは? 林: 僕は母に櫛だけは絶対に拾うなと教えられました。「苦」と「死」を拾うことになるからと(本当)。 櫛なんてまず落ちてないですけどね。 宮崎:それをこの子が拾っていると。恐さが増しますね。
謎!の家族像
宮崎:続いてDなんですが、これ、どういう意味なんですかね? 林: これは訳分かんないね。下半身と子ども。 宮崎:これらの銅像って高層マンション群に隣接した公園の中にあるので、無個性化の象徴なのかなーとか深読みしたんですけど。 林: そんな、住民にケンカ売るような作品置かないでしょう。 宮崎:「顔なき群衆」みたいな感じなのかと思ってたんですけど。 林: そんなのだったら近所の人が怒りますよ。 この銅像、裸ではなく全身タイツを着ているみたいですね。 宮崎:でも子どもはフルチンですけどね。しかも光り輝いている。でもこれで住民が怒るんだったら、老婆の像も充分怒りを買いそうじゃないですか。川口って毎日のように(痴呆老人と思われる)迷い人の放送してるんですから。 林: そうなんだ。でもあの銅像は素で恐いよね。これ、タイトルが「フルチン、しかも光ってる」だったらいいよね! 宮崎:いいッスね!!
スカトロジック!な女性像
宮崎:で、まあ女性の像があるのはいいんですけど。 林: あ、これは結構好きかも。下の像とか、細身でアートとか好きそうな感じじゃん。 宮崎:でもハトのフンまみれですよ。 林: アート好きでスカトロ趣味があるんだよ。 宮崎:そういう女性っていそうですよね。「スカトロ=過激=エッジ立ってる」みたいな。 林: 表層のエッジを求めている女性ね。谷崎潤一郎を「谷崎ってさぁ」って知り合いみたいに言う奴。あれ? 好きっていってたのにいつのまにか悪口になってるな。 宮崎:まあ、それはおいといて。 林: よく見るとおでこが出てるね。 宮崎:チャームポイントですね。作った人がおでこフェチだったんじゃないですか? 林: お笑いマンガ道場のアシスタントの人がモデルだったりしてね。 宮崎:……それ覚えてないです。 林:そんなところにジェネレーションギャップを感じます。
奇妙!な軍手像
宮崎:続いてはコレなんですが、 巨大な立方体なんですけど、よくみると軍手が沢山張り付いてるんですよ、しかも片方だけ。 林:あははは。声に出して笑っちゃいました。 宮崎:これ、なんなんでしょうね? 林: 「労働」とかってことなのかなあ? 宮崎:本来なら道路に落ちているはずの軍手を貼り付けることにより…… 林: ボードリヤール的空間が出現したと。 宮崎:適当なこと言わないでくださいよ! 林: ばれたか。腕を上げたな。 宮崎:それくらいは分かりますよ。でも訳分かんないですよね。 林: わからなすぎてボケにくい。 宮崎:……ですよね。 林:でも軍手って道路に落ちてるよなあ。 宮崎:落ちてるのと同じようにみんな片方だけですからね。 林:縦横を入れ替えたってことなのかなあ? 宮崎:いったい何のために!? って感じですけどね。
ニートにショック!な労働像
宮崎:最後は駅前にある銅像なんですが、「働く歓び」っていうタイトルなんですよ。 林: 顔が阿部晋三に似てるな。 宮崎:銅像の方が情けない顔してますけど、ちょっと似てますね。 林:タカ派の二世議員なんだから、もっと働けばいいと思います。 宮崎:川口市民の僕としては、 この銅像を観るたびにイヤな気分になるんですよ。 林:ダメっぽい発言だね。 宮崎:ほら、僕ろくに働いてないじゃないですか。 林: そうだよ。宮崎君はもっと働いた方が良いよ。 宮崎:じゃあ僕も働いてマッチョになります。 林: ライターは働いてもマッチョにならんぞ。コネタ道場の石原さんも「押忍!」とかいってても痩せてるし。 宮崎:清掃員のバイトしようと思ってるんですよ、今。 林: 宮崎君は和民で働きなよ。そこにいって安くしてもらうから。 宮崎: そしたら借金チャラにしてくださいよ。 ってなんで僕のバイト相談になってるんですか! で、今回の結論なんですが、やっぱり川口には恐い像が沢山あると。 林: それタイトルで全部言ってるじゃん。 宮崎:じゃあ林さんがまとめてくださいよ。 林: スチャダラアニみたいだな君は。じゃあ川口にはハトがいっぱいいると。 宮崎:全然関係ないじゃないですか! 林: ポッポー 宮崎:ポッポーじゃないですよ!!
(股間だけに)マタ来週!! チャオ!!!!