連休を海外で過ごされた方も多いかと存じます。う〜ら〜や〜ま〜しい。私は海外、一回も行ったことない。びんぼうだから。 私だってアメリカとか行ってみたい。
そんなある日、三鷹駅前に「ニューヨーク」というパチンコ屋があることに気づきました。考えてみりゃアメリカの地名がついたお店って、東京にもいっぱいあるじゃん! アメリカみせに行けば、旅行気分が満喫できんじゃん! いーじゃんいーじゃん♪ というわけで私、ちょいとアメリカ旅行へ行って参ります。
(text by 神田ぱん)
ところで私、アメリカといえばニューヨークぐらいしか場所がわからない。そこでまずは世界地図と『地球の歩き方』(ダイヤモンド社)を購入。 えっ、「サンタフェ」「アスペン」て地名。「ハンニバル」や「エルパソ」も地名だったのか。テキサスはもっと真ん中にあると思ってた。等々、小学生レベルの気づきを連発しながらルートを検討し、南部回りで出発することにした。
JRで行くカリフォルニア
カリフォルニア州は全米一の人口を誇り、ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドやディズニーランドリゾートやレゴランドがぜーんぶ揃った観光地だ。日本より広いんだから当たり前かもしれないけど、やっぱ豪勢! さあJRに乗って、カリフォルニアから出発だ。
私がイメージするカリフォルニアは、フィットネスでビタミンでハイレグ。 昭和50年代にはやってた「サーファーカット」や「レイヤーカット」も、たぶんそんなイメージ。 ダウンジャケットやスケートボードが大流行してたし、軽やかな髪が風になびくみたいな、健康的なスタイルが支持されたのだろう。雑誌「POPEYE」の創刊は昭和51年、西海岸ブームの仕掛け人かも。
ハリウッドは映画の都。 ハリウッドに映画スタジオが多いのは、雨が少ないから。そしてハリウッドがあるロサンゼルス市で音楽がさかんなのは、映画音楽制作のためにレコード会社が集まっていたから。だそうだ。
池袋ハリウッドはキャバレー太郎こと福富太郎氏の都。 入り口に福富さんのコレクションが飾ってあったり、『カフェー・タイガー』のようにレトロな“荷風シート”がある、かっこいいお店だ。
イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」がヒットしたのは昭和51年。 You can checkout any time you like,but you can never leave. ノンキだと思ってたカリフォルニアの暗黒面に驚いた。 浅草のホテル・カリフォルニアは一泊5800円。安い。 昭和50年代築なのかもしれない。
ラスベガスでゲーミング
ネバダ州にやってきた! という盛り上がりにはやや欠ける阿佐ヶ谷ラスベガスだが気にしない。 米ラスベガスには「ストリップトロリー」というレトロなバスが走ってるそうだ。乗りてえ〜。フハッ!とするネーミングだが、もちろんフハッ!とすることはやってない。
ラスベガスではカジノで遊ぶことをギャンブルとか言わないで“gaming”と呼ぶらしいので、渋谷ラスベガスは本場流の表記ということになります。
カジノには「メガバックス」という全米ネットワークのスロットがあり、1ドルが34,959,458ドルになったこともあるそうだ。 え?
ケタ多すぎてぱっと見ても金額が把握できませんよ。いち、じゅう、ひゃく、……約3500万ドルか。1ドル107円として37億4500万円。え?
気を取り直して、テキサスで焼き肉食べ放題だ。90分で女性2180円。3500万ドル当たれば170万回ぐらい食べられるリーズナブルなお値段です。
今回ぜひやってみたかったのが、ニューオリンズからミシシッピ川をさかのぼるブルースの旅だ。 ルート61を北上してクラークスデールでクロスロードに立ち、メンフィス、そしてシカゴへ。Sheena & The Rockets@HEARTの“Blues QUEST”というページを見てから、行きたくてたまりませんでした。なのに……
出だしのニューオリンズからいきなり休業だった。 吉祥寺にあるはずの「ミシシッピ」へ。ハモニカ横丁にありそうなんだが見つからない。 それじゃあ高円寺の「メンフィス」だ。
……まだ開店前でした。
ならば阿佐ヶ谷へ行こう。ブルースライン中央線の中でも、とりわけ血中ブルース率が高い飲ん兵衛タウン。 阿佐ヶ谷にあるのは「シカゴ」だ。
シカゴ・ブルースは大雑把に言えばエレキバンドで演奏するブルース。ロックに与えた影響も大きいそうで、代表格はマディ・ウォーターズ。日本語なら泥水。なんちゅう名前や。 店内ではブルースのビデオ放映中。私は大麻ビール700円を飲みつつ、隣りのお姉さんとロックフェスの情報交換。
お姉さんはフジロック好きで第一回から欠かさず通ってるフジベテラン。駐車券が売り切れてしまったら「金六イレブン」の駐車場が近いヨと教えてもらう。目玉はやっぱ土曜のダイナソーJr.だけど、私は日曜のあふりらんぽが見たいなあ。エゾも行きたいッスよね〜。休みが取れればねえ。 そんな話で盛り上がり、泥水ならぬ泥酔、沈没……。
リゾート地フロリダに寄り道
フロリダというと「マイアミ」を連想していたが、今は大規模テーマパークがずらり揃ったオーランドが人気スポットらしい。 といっても山手線内より広い(!)ウォルト・ディズニー・ワールドが開園するまでは、ただのあったかい田舎町。東京の「フロリダ」は、きっとその頃のフロリダ。
ああ幻のワシントンDC……
州に属さない、連邦政府直轄の首都・ワシントンDC。博物館と官庁の街、アメリカ大統領も住んでいる。 わーい、とうとう東海岸に到達したぞ!
と思ったのですが、アメリカの地図を良くみると北西部に「ワシントン州」というのがあるんですよ! シアトルがある州。
なんでもそっちのワシントンと混同しないように、“DC(District of Columbia=コロンビア特別行政区)”がついてるらしい。 うっそ。 これじゃ「振り出しに戻る」じゃんよー!
しかも、中野の「ワシントン洋菓子店」で「どうしてワシントンて名前なんですか?」と訊ねたら、「父がアメリカ大統領のワシントンにちなんでつけたんです」。
ぎゃぼー! 大統領の名前とな!
ごめんなさい、ワシントンDCには行けませんでした。
長いアメリカ横断の旅、ラストを飾るのはニューヨークだ。 アメリカ最初の首都にして、経済文化の世界的中心地。
でも自由の女神てマンハッタンじゃなくてリバティ島というところにあった。そして吉祥寺の女神は、ちょっとふっくら気味だった。
ギャンブル系ニューヨーク
ロウワーイーストサイドにはチャイナタウンがあって、香港ライクに活気あふれる街並み。アメリカにももちろん麻雀はあって、七対子はアメリカルールなんですと。 そういえば「麻雀放浪記」でも進駐軍の人が打ってたなー。 東京駅高架下にあるこの店も、相当歴史がありそうだ。
パチンコとニューヨーク。 なんかイメージ結びつかないんですけど、パチンコのルーツは1920年代にアメリカから輸入されたコリントゲームだという。確かにピンボールとかもパチンコだ。
入浴系ニューヨーク
まあダジャレ系とでもいいますか。 ダジャレたくなる気持ちは十分わかる。 風俗店、けっこう入ったことがあるのだが(取材で!)ソープランドは行ったことない。中はどんなんなってんだろう??
根岸といえば林家一門。ダジャレはむしろ歓迎の方向かも。 入浴=ニューヨークのダジャレは『ドラえもん』でも使ってたよな。 それでは私、『喫茶ニューヨーク』で定食たべてそろそろ帰国したいと思います。
やっぱアメリカ、広いわ。3日かかっても回り切れません。 またいつか訪れるその日まで…… グッバイ・アメリカ!
“アメリカ”な店