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コネタ


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人工イクラで巨大軍艦巻き
 

深紅に輝く丸い粒、イクラ。それが乗っているだけで3割は高級に見えるんじゃないかと思われる料理の数々。
そう、イクラは高級だ。そのため、人工イクラが普及した程だ。

その人工イクラ、簡単に作れるってご存知でしたか?

これはもう作ってみるしかないでしょう。ムッフー!

佐倉 美穂

だし昆布にとろろに…

そろそろ薬品棚が欲しくなってきた

イクラの輝く赤は難しい…

身の回りのものでできないか

用意するものはアルギン酸ナトリウムと塩化カルシウム。
「こんな物質名、とっつきにくいなぁ」と思われがちだが、アルギン酸ナトリウムは昆布のぬるぬるの成分だし、塩化カルシウムは湿気取りの粒だ。
化学は身近に落ちている。

作ったイクラは食べる気でいるので、塩化カルシウムは純正のものを用意した。
問題はアルギン酸ナトリウムだ。昆布からとれるなら、その方が風味も良いし、安上がりで一石二鳥じゃない? と思い、家にあるだけの種類の昆布を煮込んで一晩おいてみた。

出来た液体は、緑茶のような色の、「うん、これは歯触りのない昆布だね」というくらい昆布エキスが抽出されたものだった。

それを食紅でイクラ風に赤くし、塩化カルシウムの中に滴下したのだが……失敗。
ただの赤い水が広がるばかり。
やはりアルギン酸ナトリウムの抽出は昆布を溶かす勢いでやらなければダメらしい。


化学的にアプローチ

しょうがなく純正のアルギン酸ナトリウムを用意した。
塩化カルシウム溶液にアルギン酸ナトリウム溶液を垂らすと、瞬時に膜ができ、カプセルのようになるという。
製品の人工イクラは垂らす液体に油や風味、味を加え、本物そっくりに作っている。

個人では何を加えたらいいのかわからなかったため、色だけイクラっぽく赤くしてみた。

さて、その赤い液体を塩化カルシウムの液体に垂らすと……。

 

ストローからぽたりと落とすと
溶液中で固まりに!

 

できるできる

水面に衝突した勢いで、まるでクラゲのような形になってしまったが、それでも溶液に落ちた瞬間に固体化する。おお、まるで新しい命を生み出す産卵のようだ。おもしろいように固まってゆく。
そのものを見ただけではただのゼリーのようだが、自分で作っているとまるでルビーを作る錬金術のようで興奮する。


できたツブツブ。ゼリーっぽい。

その粒を口に入れてみたが、さすが味を付けてないだけあり、ただの薬品くさいグニュグニュだった。丸い粒になってくれなかったため、口の中で弾ける感触も楽しめなかった。残念。
むしろ甘味が似合う食感だ。

これ、美味しいのができるのだったら、子供の遊びながらのお菓子にぴったりではなかろうか。「ねるねるねるね」みたいな。

さて、せっかく自分で人工イクラを作れるのだから、ちょっと遊んでみようじゃないか。
というわけで巨大イクラを作ってみよう。
ストローで垂らしても小さい粒しかできないので、スプーンですくった赤い液体をそのまま塩化カルシウムに入れてみる。

おお、固まった固まった。これもなぜか中身までゼリー状になってしまったが、原理としては人工イクラと同じである。

それを使って、イクラ一粒の軍艦巻きを作ってみた。


どーんと一粒

これが美味しいイクラだとしたら、ちょっと食べてみたいと思いませんこと?
土産屋などで、よくご当地の巨大お菓子があったりするが、直径2cmの巨大イクラの瓶詰めがあったら話題によくないかい? 私なら買って帰るね。

日の丸弁当かと思いきや、イクラだったり。

本物なら美味しいかも

 

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