デイリーポータルZロゴ
このサイトについて

コネタ


コネタ623
 
イカで書く光るイカ
イカをさばいてイーカ?

なぜだろう、人は大概光るものに惹かれる。
蛍、夜景、夜空一面の星。光るキノコしかり、光るコケもしかり。

そして今回の題材は「発光バクテリア」だ。目に見えない大きさで、培養すればどんどん育ち、そして暗闇で神秘的な青白い光を放つ。

そんな発光バクテリア、イカから採取できるらしいのですよ。

佐倉 美穂

必要なのは、水洗いがあまりされていない、新鮮な刺身用の生イカ。
今まで自然に食していたものに、そんな魅惑の生物がくっついていたなんて。


まな板の上のイカ。ぐんにゃり。

そのイカにあまり雑菌を付けないよう、極力触らず、温度を上げないように手早く切り、3%の塩水に一晩浸けて冷蔵庫で静置培養だ。

3%食塩水というのは海水とほぼ同じだから、いつもイカがいるような環境で静かに増えろよバクテリア、という感じなのだろう。
アサリならよく砂を吐きそうな条件だ。ざー。

それにしても台所は精密な実験にはむかない。
もうこんな台秤で数gのものを量るのはうんざり。


お菓子作りじゃないだから

ああ、ずらっと並ぶメスシリンダーにフラスコ、ピペットに電子天秤が自宅にも欲しい。

さて、今回はイカでイカと書いて光らせてみようという試み。
手袋をして手早く切る! 「斬る!」という意気込みに近い動きでイカという文字を作り、それを上の条件で培養してみた。
念のためタコも作っておいた。イカだけだと寂しいし。保険のためのタコである。


見た目も材質もどこをとってもイカ
関係ないが、まな板の野菜面で生ものを切っている

皿に塩水でラフに培養

一晩が経ち、闇での撮影ができる時間となった。
どれ、もう一度イカと並べたまな板を闇に持ってゆく。

その結果は……!


その闇、呆然とする程

こんなの全然イカじゃないー!
表題に偽りあり!
とちゃぶ台をひっくり返したくなる結果になってしまった。
よく目をこらすと、右の方にぼんやり青っぽくみえなくもない、という存在があることはあるが。

一応バクテリアは発光したのだろう。しかしとてもじゃないけど文字通りにはいかなかった。タコは全くの暗闇だった。

今回の実験、本当に大失敗です。ごめんなさい!
売られていた時点で洗われていたのか、まな板での作業に不備(触りすぎ、時間かかりすぎ)があったのか、今となってはわからない。
こうなったら自分でイカ釣って培養するどー! という気持ちになりますね、失敗すると。本当に悔しいです。

期待させてしまったみなさま、本当に申し訳ありません。
光は手に届かないから美しい、ということのメタファーということにしておいてください。

成功すると、こんな感じに光るそうです。ああ、こんなにはっきりと発光するイカが見たかった……!


写真は「青少年のための科学の祭典」から

実験に使ったイカは、その晩イカ大根として調理され、美味しく胃に収まりました。とほほ。

タコの「タ」。イカは崩壊してしまった

 

▲トップに戻る コネタバックナンバーへ
 
 


個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.