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コネタ


コネタ742
 
テニスバッグにいろいろ詰めてみる
ラケットだけじゃもったいない

もう彼らを変な目で見るのをやめたい。

それはテニサー。テニスサークルの略称で、大学サークルの花形。彼らを見る度に超楽しそう、超大学生っぽい、超うらやましい、と思う。かといって、実際僕が入って楽しめるかといえば、疑問なわけで。球技苦手だし。

僕にとって彼らをテニサーたらしめているのは、「テニスをしていること」ではなく、あの、ラケットが入った大きなバッグ。何であんなにわかりやすいものを持ち歩くんでしょうか。あれを見る度に、「あー、あの中にはラケットと、俺の知らない楽しみが…くそっ」と、底知れぬ負の感情が表れてきます。

でも、もうやだ!

(text by 藤原 浩一

テニスバッグの中身

ある日、テニスバッグだけ持って登校してる人に「勉強道具はどうしたの?」と問うた所、「このバッグの中に一緒に入ってるよ」との回答が。

あれー、そうだったんですか。あの中にはラケット以外のものを入れても良かったんですか。そういわれれば、そうなのかも。テニスバッグにテニス道具しか入れてはいけないという思い込みは極めて愚かな誤解でありました。しかし、その誤解がとけると共に、僕の脳内には一条の光が差し込むのでした。幻覚ですが。

と、いうわけで、テニスバッグの中にいろいろなものを入れてみようかと思います。なぜなら、こうすることによって、あのバッグにはテニス道具以外のものが入ってると いう可能性が証明されるわけですよ。テニスバッグを背負っているからといって、テニスをするわけではないという可能性! これで僕の訳も無く、バッグを見て嫉妬する心も可及的速やかに成仏してくれると助かります。

 

テニスバッグの構造

テニスバッグを借りてきました。大学の人に弱みを見せてはいけないので、高校のときの友達に頼みました。数多いるテニスサークルの人のうちに一人も親しい人がいなかったわけではありません。ちょっと使い込んでる感じがありますが、「大学入ってテニス始めました!」みたいな人に見られたくないのでとてもいいと思います。

さて、テニスバッグの構造ですが、僕が借りてきたのはワンショルダーで背負うタイプで、大まかに言うと、大きな袋が2つ、中くらいの袋が2つあります。大きな方にラケットやユニフォームを入れて、中くらいの方にはシューズを入れるそうで。


テニスバッグは
こんな風に開きます。

 

好きなものを入れよう

さあ早速、テニスバッグにものを入れてみようかと思うのですが、どうせ入れるなら自分が好きなものにしましょう。

どーれーにーしーよーおーかーなー

・・・。

決めたっ!


セーガー

セガから発売されたゲーム機、セガサターンとドリームキャストでございます。これがあれば、これさえあれば、何が無くとも夏が越えられる!

さてさて、これらを入れます。大きいほうに本体を1つずつ、中くらいのほうにコントローラやケーブルなど、横についてる入れ物にソフトを入れて、さあ!


だるーん

こりゃダメだ。袋が複雑骨折したみたいになってる。バッグの長さに対して、本体が小さすぎるし重すぎる。「さあ!」とかも言ったけど、向かう先が無い。

 

長くて好きなものを入れよう

仕方が無いので別のものを入れるしかありません。長さおよそ1mのバッグに入るもの…ありました。

中身が何かは後にして、早速入れてみましょう。

・・・。

できたっ!


シュレディンガーのバッグ

入りました。ぴったりサイズです。ちょっとぼてっとしている感じもありますが、これが入ったのは驚きです。写真ではテニス道具が入ってるようにしか見えないですよね? これを背負ったら、僕もテニサーにしか見えませんよね?

このバッグを持って向かう先は、荒川の川原です。何で!? いいんです! 今度こそ、さあ! さあ! さあ!


次の日花火があるみたいで、土手にはちょうちんが吊るされていました。友達連れカップルがたくさん来るのだろうか、志気が大いに下がります。花火よりセガサターンのほうが面白いのに。


ゴルゴダの丘じゃなくて荒川の土手

気を取り直して、はるばる持ってきたこのバッグの中身はこれです。


ロケットの名前は「あくしず」です

ペットボトルロケットのセット。ペットボトルロケットのみならず、空気入れまですっぽり入ってしまったのには驚きでした。テニスバッグのキャパシティはちょっとしたマジックを思わせます。

やはりペットボトルロケットは良いですね。水と空気で飛びますから、お金がかかりません。でも夢があります。こういう喜びは決して共有するもんではありませんよ。絶対そうですよっ!

まとめ

今僕は、テニスサークルの皆さんのもとから、「テニスバッグにはテニスの道具を入れる」という権利を奪い返しました。バッグはラケットを入れるためではなく、ロケットを入れるためにも使われていることもあるという可能性を示しました。もうこれは「勝ち」じゃないでしょうか。ルールは全て僕が勝手に決めましたが。勝ちは勝ち!

本当はこのバッグを背負ってテニサー軍団に混ざってこようかとも思ったんですが、このクソ暑い季節、彼らは「合宿」と呼ばれる組織集会のため、もっと涼しいところに行っているんですよね。バッグはそこに行くためのチケットではないので行けません。たはー。でも、ぜんぜん悔しくないもんね、俺の勝ちだから。

とりあえず飛ばす。忌まわしき記憶と共に。

 

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