これまで、夏バテに無縁の人生を送ってきた。ああ、それなのに。
食欲不振、貧血、立ちくらみ、だるさ等々…。これってもしや、世に言う夏バテか?
ああツライ。ものすごくツライ。夏バテって、こんなにツライものだったのか。はっきり言って、今までナメていた。すまなかった。
そんなわけで、夏バテ対策メニューを考えてみた。ご登場願うのは、ニンニクです。
(高瀬 克子)
国産は立派です
最近のスーパーは、ためになるウンチクで溢れている。たとえば、ゴーヤ売り場には「ビタミンC豊富です」と書いてあり、豚肉コーナーには「ビタミンBで疲労回復」と書いてある。
そして、ニンニク売り場で見た文句がコレだった。 「ビタミンBと一緒に摂ることで、疲労回復・強壮作用あり」
おお、これぞまさに今、私が求めている効能じゃないか! というわけで、売り場でひときわ大きなニンニクを買ってきた。
ちなみに中国産は1ネット(4個入り)で98円だったが、私が買い求めた青森産は1個298円。値段が3倍以上する。…いや待て、違う
な、中国産は4個で98円だ。…ということは10倍以上か。
かように夏バテは、頭の回転までをもニブくする。ご注意ください。
このニンニクがとにかくデカイ。今度スーパーで意識して見ていただくとお分かりいただけると思うが、国産ニンニクは中国産をはるかに凌ぐ大きさなのだ。
それにしてもデカイ。これまでもニンニクは国産の物を購入してきたが、これは今まで買ったなかでも、たぶん一番デカイ。
さっそく調理だ
明日は特に人に会う予定もないし、1個丸ごと油で揚げようかとも思ったが、ここで思い出すのがニンニク売り場に書いてあった「ビタミンBと一緒に食べることで…」の例のアドバイスだ。
「うーん、ビタミンBといったら豚か。豚とニンニクの組み合わせで簡単に作れるものといったら、アレがいいんじゃないか…」
えー、というわけで、何を作ろうとしているのか、予想しながらお楽しみいただければと思います。
「予想しながら…」なんて書いてしまったが、パン粉とひき肉が出てきた時点で、目指す料理がハンバーグであることが丸わかりだ。
そうです、作ろうとしているのは、玉ネギの代わりにニンニクを使ったハンバーグです。きっと味的にも間違ってはいないハズです。
むせかえるようなニンニク臭に包まれているハズなのに、鼻がマヒしたのか、さほどニオイを感じない。果たして、いいことなのか悪いことなのか。健康になるにはここまでしないとダメなのか、それにしたって、やり方が間違えてやしないか、大丈夫か。
いつもと違う感触の肉(なんせニンニクがゴロゴロしている)をコネながら、ついつい余計なことを考えてしまうが、とにかくもう後には引けない。焼こう。
予想以上の味でした
焼けました。
調味料には普通のハンバーグと同じように、塩・胡椒・ナツメグなどが入っているので、何も付けずに、まずはひとくち。
…ああ、これは見た目はハンバーグだが、味はどこまでいっても「ニンニク featuring 肉」だ。ニンニクの主張がものすごい。どことなく暴力的な印象さえある。いや、凶暴と言ってもいいかもしれない。
凶暴な味のハンバーグ。…それ、ハンバーグとして失格だろう。
結局、3個全部を食べた。よっぽどのニンニク好きなら「パンチのあるハンバーグですね」と喜んでくれるかもしれないし、健康な状態の私なら喜んで食べだだろう味なのだ。ビールにもよく合うし。
でも、今の私にはヘビーすぎた。なんだか胃がもたれるのだ。次に作る時はニンニクの量を半分に減らしたい。3分の1でもいい。いや、4分の1でも。なんなら5分の1でも。
量に気をつけましょう
翌日、さらに体調が悪くなった。というか、お腹を壊した。「夏休みの初日がトイレ籠城ってどういうことだ?」と不審に思いながらネットでニンニクについて調べてみると、なんと驚くべきことが書かれてあった。
「効き目が強いので、一度に摂り過ぎると胃粘膜を傷つけたり貧血を起こすことも。生なら1片、加熱したものなら2〜3片程度が適量」
うわー! そりゃ腹も壊すさ! でも理由が「効き目が強いから」ってスゴイな。さすがだな。
というわけで「過ぎたるは及ばざるが如し」の見本のような結末となってしまいました。張り切りすぎは禁物、何ごともほどほどに、ということなのでしょう。…肝に銘じます。