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コネタ


コネタ791
 
マツタケごはん対決!
たとえ中国産でもマツタケはマツタケ

先日、スーパーで298円のマツタケを見た。もう一度言う。298円(税抜き)だ。

あなたは素通りできますか? …私は出来ませんでした。何も考えずに2つ購入しました。

こんなに安くマツタケが手に入るなんて、この先もうないかもしれない。ならばこの機会に、ある実験してみようと思う。自分の舌を試す試みと言ってもいい。

今回のタイトル、まるで「美味しんぼ」のようでいささか恐縮しておりますが、気持ちは山岡士郎のように熱く燃えております。

高瀬 克子

なぜ興奮するのか

実は、それほどマツタケが好物というワケではない。なのに、安く売られていると妙に興奮してしまうのは何故なんだろう。

私の場合、マツタケは家で食べるものではなく、完全に「よそいきメニュー」だった。ハレの日の特別なキノコ=マツタケという図式だ。

さらに我が家では、父の趣味が山歩きだったこともあり、秋になると聞いたこともないようなキノコが食卓に並んだ。私はそれがイヤで、たまに父がキノコに当たって救急車で運ばれるのはもっとイヤで、ずっと「ああ、普通のキノコのある家で育ちたい」と思っていた。

そんな諸々の思いが集結して「買わねば!」という、強迫観念にも似た感情が湧いてしまったのだろうか。


丁寧に汚れを拭き取ります

 

さっそくマツタケごはん作りへ

せっかくマツタケが安く手に入ったのだ、ここは普通では考えられないような量を使って、贅沢なマツタケごはんを作ってみたい。米1合に対してマツタケ2本だ! 豪勢だ!

と、さっそく手で裂いてみると…。

ショック。なんと中が茶色くなってました
もう1本は無事な模様

これが高いマツタケなら、店に抗議の電話の一本もかけたいところだが、なんたって相手は298円。私もオトナだ。「運が悪かった」で諦めることにする。ま、茶色い部分を除けて使えば、それほど無駄になる部分も出ないようだし。

どうせなら分厚く切りたかったが、ここは仕方なく全てを細くする。こんな路線変更も、298円なら余裕でオッケーだ。

細く裂くたびに、爪がどんどんマツタケの匂いに包まれていく。うっとりしながら、なんとか2本分を細く裂き終えた。

と、ここでいきなりエリンギ登場

 

エリンギはマツタケになり得るのか

キノコ界のニューフェースとして数年前から食卓に上がるようになったエリンギだが、たまに「歯触りがマツタケに似ている」という人がいる。気持ちは分かるが、実際に食べ比べてみたらどうなんだろう。私はマツタケを、きちんとマツタケとして認識できるんだろうか。

それを検証するために、出来るだけマツタケごはんっぽく炊いた「エリンギごはん」も同時に製作し、本物と食べ比べることにした。

えーと、申し遅れましたが、それが今回の趣旨です。


マツタケ味は、ご存知「永谷園」に助けてもらいます
このエリンギの中のフワフワ感は、本家にはありません

エリンギは、いかにも「栽培されました」といわんばかりに形がスッとしており、弾力もあるのでマツタケのようにブチッと切れることがない。大変従順で扱いやすいキノコだ。


左:エリンギ 右:マツタケ

とっとと裂き終え2つを並べてみたが、どうにもエリンギの白さが目立つ。そして本家がどんなに細くても「シャキッ」としているのに対し、エリンギは「ぐにゃり」だ。

ま、見た目はともかく、肝心なのは味だ。歯触りだ。


エリンギの援軍として欲しいのは、顆粒のダシ部分と乾燥マツタケの部分のみ
というわけで選別終了。これをお酒などと一緒に炊き込みます

いよいよ準備完了。さっそくお米と一緒に炊くことにしよう。2つを同時に火にかけ(炊飯器はスイッチを押し)た。


マツタケには敬意を表して土鍋を用意
申し訳ないが、エリンギにはいつもの炊飯器で頑張ってもらおう

先にブボボボボと音を立てながら湯気を上げたのは、土鍋のマツタケだ。いやー、ものすごくイイ匂いがする。換気扇が回っているにも関わらず、つい台所の窓を開けてしまった。(近所の方にも嗅いでもらいたくて)

続いて炊飯器のエリンギも、ブババババと白い湯気を上げ始める。こちらもイイ匂い。匂いだけなら負けてない。いいぞ、エリンギ。

…どっちを応援してるのか(そもそも応援するような試みだったのか)よく分からなくなりながら、数分後、両者無事に炊き上がった。


マツタケ、堂々の炊き上がり
対するエリンギ。…キミら、エノキか?

皿に目印まで貼ったのに
どっちがどっちか一目瞭然
ボロボロこぼしながらの試食です

ブラインドで食べ比べ

当初の予定では、炊き上がりの見た目を同じにするつもりだった。どっちがどっちか分からないようにして食べ、どちらがマツタケか当てよう、という心積もりだったのだが。

もう、見た目からして違う。味付けの段階でダシの色も揃わなかったし、エリンギが思った以上に縮んだこともあり、キノコの細さも段違いだ。バレバレだ。

「自分で作ったんだもの、どっちがマツタケかなんて目隠しして食べるんならともかく、すぐに分かる」

…ん? 目隠し? そうか、目隠しして食べればいいのか。という訳で、実際に目隠しをして食べることにした。

目隠しをしたまま、まずは先に手に触れた方の皿から口に入れる。…あ、おいしい。そしてキノコの噛み応えがすごい。マツタケの匂いも、ものすごくする。

この皿を手探りで端の方に寄せ、続いてもう一方の皿を手に取り、食べた。

……嗚呼。「私マツタケですけど、何か文句ありますかっ!」と声高に主張している。それがかえって怪しさを醸し出しているとも知らず「マツタケです!」と叫んでいるのだ。

いや、十分おいしいのだが、全体的になんというか、わざとらしい。キノコの噛み応えも、さっきの皿に比べればない。

結局、ブラインド状態で食べても、その差は歴然なのであった。

別々に出されたら分からないかも

結果、マツタケの圧勝に終わった今回の試みだったが、もっと分量や作り方を工夫すれば、エリンギは十分マツタケの代替品になれるんじゃないかと思った。

…いや、うん、なれる。味覚が敏感な人は無理かもしれないが、私ならダマされる。別々に食べたら確実だ。

それにはまず、永谷園の量を加減することと、エリンギは食感を残すために炊き上がりの10分前に入れること、だろう。

食べ比べ、面白かったですが、エリンギには悪いことをしたかもしれません。ごめん。キミは悪くないよ。次はもっと上手に炊くよ。で、次は一緒に人をダマそう。な。

ちゃんと土鍋で炊くよ

 

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