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コネタ


コネタ860
 
携帯屋さんがどんどんプロレスショップになっていく
 

僕の会社の最寄り駅は麻布十番なのだが、駅から事務所までの途中に不思議な携帯ショップがある。何が不思議なのかというと、携帯と一緒にプロレスグッズを販売していて、日を追う毎にプロレスのスペースが増えているのだ。最近ではお店の半分がプロレスグッズ販売に割かれている。ここは携帯ショップなのか? プロレスショップなのか? 分からない。

ずっと気になっていたので話を聞きにに行った。
するとそこは、オールドプロレスファンの聖地だった……。

(text by 住 正徳

タニ・エンタープライズ

その携帯ショップ。
このように、一見普通の携帯ショップなのだが、



店頭にザ・デストロイヤーの等身大パネルが飾ってあって、良く見ると顔の大きさと体のバランスが悪い。

近づくと…、



多分、坂口憲二さんの等身大パネルの上に、ザ・デストロイヤーの写真を貼っているのだ。



更に、クリスマスソングに合わせてクネクネ踊るデストロイヤー人形の横を抜けて店内に入ると、



右半分は普通に携帯ショップ。
もちろん3キャリア対応である。

でも、店内の左半分は、



プロレス関係のフィギュア、Tシャツなどが所狭しと陳列されている。

やっぱり不思議だ。
不思議なので、思い切ってお店の人に聞いてみた。

「あの〜、ここは、携帯ショップなのでしょうか? プロレスショップなのでしょうか?」

話しかけた人物は谷村さんという男性で、ここの社長さんだった。

「私はね、デストロイヤーの日本代理人なんですよ」

携帯ショップを営みながら、デストロイヤーの代理人も引き受けている関係上、現在の様なお店の状態になったという。

僕はプロレスが大好きなのでもっと詳しく話を聞きたい、とお願いすると、お店の奥にある別室に案内された。


お店の奥の部屋に案内してくれた谷村さん(後ろ姿)

その部屋にはデストロイヤーのお宝グッズが山の様に眠っていて、そこはまさにデストロイヤーファンの聖地とも言える場所だったのだ。



「この茶箱の中に色々入っているから」

と谷村さんが取り出してくれたお宝グッズの一部を紹介しよう。


あの力道山も獲れなかったUSヘビー級チャンピオンベルト。「大きなベンツが買えるくらいの価値があるらしいよ」とは谷村さん 覆面十番勝負で優勝した時のチャンピオンベルト。このベルトでデストロイヤーはマスクマン世界一の座を獲得した。どちらのベルトもかなり重かった
試合用コスチュームセット。マスク、パンツ、ニーパット、ソックス 試合用シューズ
今から42年前、初来日時に持っていた旅行鞄 最近まで使っていたスーツケース
35年前のポスター うわさのチャンネル」で被っていたヘルメット。この番組でデストロイヤーはコメディアンの才能も発揮した
日本中が熱狂した力道山との戦い。写真はデストロイヤーの必殺技「足四の字固め」が決まっているところ その力道山戦で被っていたマスク
ジャイアント馬場さんが亡くなった時に書いた色紙。「ババサン シンダ」の中にデストロイヤーの悲しみが凝縮されている 力道山の銅像の前で猪木氏と


「古い写真もいっぱいあるよ」
と見せてくれた写真の一部が以下。


自分の結婚式(再婚)でスピーチするデストロイヤー。結婚式でも覆面ははずさない 参列者と挨拶。覆面ははずさない
読売ランドでのイベント。左がミル・マスカラス選手、右がデストロイヤー。真ん中でヘルメットを被っているのは谷村さん そのイベントでの試合の様子
谷村さんの子供をあやすデストロイヤー。やはり覆面は被ったまま 谷村さんのお店の前でガッツ石松さんと

もともと、谷村さんは今と同じこの場所で免税のカメラ屋さんを創業した。1ドルが360円の時代だった。その後、電気屋さんに商売を変え、今から約10年前に携帯ショップになった。


谷村さんとデストロイヤー

デストロイヤーと谷村さんの出会いは東京オリンピックの頃にさかのぼる。谷村さんは当時大学1年生で、それ以来現在までデストロイヤーと家族の様な付き合いを続けているのだ。

「彼の人柄のおかげだね」

と谷村さん。
デストロイヤーは今でも年に4、5回は来日し、このお店にもやって来るという。

「今度彼が来たら遊びにいらっしゃい。君も今日から僕たちの仲間だから」

と言ってくれた。
その時は是非、本物から「足四の字固め」をかけてもらい、コネタにしたいと思います。


ちゃんと携帯電話販売の仕事もしていました。


 

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