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イラストで見る 人それぞれのポンキッキ

 子供の頃よく見たテレビ番組『ひらけ!ポンキッキ』。今でも名前を少し変えて放送中だ。

 確かに楽しい番組だった。でも、幼少の頃からずっと解決されないのは「ポンキッキってなんなんだ」という疑問。

 ひらけ!と言われても、ポンキッキがなんなのかよくわからない。

 実体不明のポンキッキ。ならば自由にイメージしてもよいのではないか。今回は、人それぞれが思うポンキッキをイラスト化してもらいました。

(text by 小野 法師丸

●ポンキッキの実体

 ポンキッキの語源については諸説あるが、ここでは仮に「意味や実体のない造語」としておきたいと思う。(こちらでの解説が詳しいです)

 その実体についての噂を聞いたことがある方もいらっしゃると思う。中でも最も流通していると思われるのは、「『ひらけゴマ』から来ていて、『ポンキ』はサンスクリット語でゴマを意味し、その複数形が『ポンキッキ』」という説だろうか。

 私もこの説を信じていた時期があったのだが、調べてみるとサンスクリット語でゴマを示す言葉は他にあるらしい。いかにもそれらしいうまい説だが、どうやら正統なものではないらしい。

 そういうわけで、とりあえずここではポンキッキは自由にイメージしてよいものと考えておくことにする。

 ではまず、言いだしっぺである私が思うポンキッキから。


※クリックすると画像みえます。

 トゲトゲつきの球体、素材はゴムといったところだろうか。「ポン」のやわらかくはじけた感じと、「キッキ」のするどさとが合わさった物体なのだと思う。いろんな色や大きさがあっていい。

 これが開いて、中からいろいろ楽しいものが出てくる。こうして書いてみると、あんまり共感してもらえない気が高まってくる。

 

●団塊世代のポンキッキ

 続いては義母が描いてくれたポンキッキ。私の意味のわからない注文に「ポンキッキっていうのは、漠然としていて具体性のないものだと思うのよね」と話しつつも、無理やり実体化してくれた。


※クリックすると画像みえます。

 輪郭があいまいな、でもなんとなくかわいい生き物といったところだろうか。「もこもこしていて、耳があるのよ」とのイメージらしい。

 この生き物自体が開いてしまってはまずいことになるので、この生き物がいろいろなものを開いて、そこから楽しいものが次々に登場するというタイプの「ひらけ!ポンキッキ」になるのではないかと思う。

 輪郭があいまいな、でもなんとなくかわいい生き物といったところだろうか。「もこもこしていて、耳があるのよ」とのイメージらしい。

 この生き物自体が開いてしまってはまずいことになるので、この生き物がいろいろなものを開いて、そこから楽しいものが次々に登場するというタイプの「ひらけ!ポンキッキ」になるのではないかと思う。


 もう一人の団塊世代、実母にも頼んでみる。「たまに電話をしてきたと思ったら、そんなわけのわからない注文か」と、ぼやく母。

 注文して数日後、ポンキッキがファックスで送られてきた。自宅のファックスは紙に印刷する前に付属の画面で内容を確かめることができるので、まずはそこで確認してみた。


なんだこれ

 うーん、何かの間違いかな。念のため、電話をして確かめてみる。


「あ、もしもし、ファックス送ってくれたみたいだけど」
「そうそう、届いた?」
「えーと、ポンキッキってことでお願いしたと思うんだけど…」
「そうよ、ポンキッキ」

※クリックすると画像みえます。

 母の言をまとめると、こういうことになる。

  • 自分でもよくわからない
  • とにかくこれが、精一杯のポンキッキ
  • ずっと「ああ、早くポンキッキ描かなきゃ」と思っていた
  • 肩の荷が下りた
  • だから嫌だって言ったじゃない
  • あんまりお母さんを追及しないで

ポンキッキは自由にイメージしていいと思っていた私だが、その想像を超えたポンキッキの登場にうろたえる。自由をなめていた。

「えーと…これは、傘を持ったサルが台風に吹き飛ばされそうになってるところ、ってことでいいかな?」
「そうね」
「それがポンキッキ?」
「そう、ポンキッキ」

 これ以上言葉のやりとりを費やしても無駄なのだと思う。現象としてのポンキッキ。人間の想像力ってかなり広い。もうひらくとかひらかないとか、そういうことは気にしなくていいのだ。

 

●普段から絵を描いている人のポンキッキ 

 ここまでの例は特に絵の心得がある人たちの例ではなかったので、画力という意味では課題があった。では普段から絵を描いている人たちの頭の中では、ポンキッキはどうなっているだろうか。

 そういうわけで登場のイラストレーター陣、まずはZくんの生みの親・ウェブマスターでもある林さんのポンキッキだ。


※クリックすると画像みえます。

 おお、やっぱり色がついていると楽しさが出てくる感じがするなと思いつつ、横から生えてる顔に目がないところに毒も感じられるだろうか。

 これまでのイラストでは全体としてポンキッキだったのに対して、林さんの場合は「ポン」と「キッ(が2つ)」と分かれているのも特徴的。うん、これはポンキッキだなと思わされる。

 実母のポンキッキショックのあとということもあり、実に安心できるポンキッキ。わけがわかる。

 林さん曰く、「純粋な気持ちになろうとしたんですが、こうしたほうがうけるかも、と心の片隅で思ってしまいました」とのこと。人を楽しませることを意識したポンキッキでもあるようだ。


 続いては、いつも楽しくもうっすらと毒のあるイラスト記事でおなじみのべつやくれいさん。どんなポンキッキが頭の中で広がっているのだろうか。


※クリックすると画像みえます。

 個人的にはかなり予想外のポンキッキ。ちょっと声をかけづらい。

 林さんのところで「やっぱり色がついていると楽しさが出てくる」と書いてしまったが、やっぱり色と楽しさとは別かな、と思わせるポンキッキと言えばよいだろうか。

 …いや、じっと見ていると楽しい気もしてくる。その楽しさがわかるまで少し時間のかかる、味わい深いポンキッキなのかもしれない。

 胸の小窓も気になる。見れば見るほど謎が深まる。

 人の心に様々なものを去来させるポンキッキ。番組をテレビで見ているであろう子供がこんなポンキッキを前にしたとき、その心に与える影響も気になるところだ。

●イラスト化したところで余計に深まる謎

 ひとつひとつを見たときにはそれなりに納得した気になったのも多かったポンキッキたちだが、こうして並べてみるとまたわからなくなってきた。余計なことをしてしまったなと思う。

 人間の想像力は自由だ。個性豊か過ぎのポンキッキたちを見て、改めてそう感じる。

 「知識より想像力が大切だ」というアインシュタインの言葉がある。今ネットで検索して知ったのだが、同時にゲーテが「私の言う想像力とは、実在しないものを空想するようなあやふやなものではない」と言っていることもわかった。

 むりやり変に結論めいたことを出すことなく、終わりにしたいと思います。

じゃあね〜

 

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