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日本一長い直線道路をゆく

北海道札幌市と旭川市をむすぶ国道12号線には、「日本一長い直線道路」があります。
直線部分は、距離にして29.2km。
車で時速60キロで走ったら、約30分ほどかかる距離です。

「30分間カーブなし!」

そのまっすぐさを体感しに行ってみました。

(text by 加藤 和美

国道12号線の直線部分は、美唄(びばい)市〜奈井江町〜砂川市〜滝川市と、4つの市町にまたがって延びているとのこと。
まずは美唄市のスタート地点へ。


直線スタート地点。「直線道路日本一29.2km」と書いてある。
関係ないけどいい天気だ。

ここから「日本一長い直線道路」を体感していこう。


約3キロおきに、助手席から道路を撮影。
まずは約3キロ地点。
約6キロ経過。
2車線になって、左右にお店が多くなってきた。
約9キロ経過。
あちこちで道路工事中。
北海道では、雪が降る前に道路工事が多い。
約12キロ経過。
写真を一部拡大してみた。道路はまっすぐだが、高低差があるので、こんな風に道路に段差が見える。

ここでちょうど半分までやってきた。
路肩にちゃんと看板まである。


「直線道路日本一29.2km中間点」

中間点に「ハウスヤルビ奈井江」という道の駅があったので、寄ってみることにする。


一直線道コンビニエンス
ふーどぱーく一直線道
らーめん一直線道
一直線道ビアガーデン
一直線道六地蔵。道路に関係ないのが一人いる(右端)。

「ハウスヤルビ奈井江」は、あちこち一直線道だらけだった。
では一直線道に戻ろう。

再び直線道路に復帰。約15キロ経過。
ただひたすらまっすぐ。
…としかコメントがつけられない。
約18キロ経過。
写真右側にある矢印の標識は、「ここに中央分離帯があるよ」というしるし。
なぜならば、真冬になると道路が雪におおわれて、中央分離帯の位置がわからなくなるから。
約21キロ経過。
このあたりから猛烈に飽き始め、同行のドライバーとの会話も「まっすぐだね」「そうだね」としか言わなくなる。
約24キロ経過。
ただひたすらまっすぐに進んでいると、ワンポイントとなる赤信号が妙にありがたく感じる。
約27キロ経過。
正直、直線はもう「直線はごちそうさま」気分。
あと少し、あと少し…。

ついに「日本一直線道路」のゴール地点に到着!
あれ?「ゴール」の看板はないの?
キョロキョロしていたら発見。


木製だった!
「直線道路日本一29.2km終わり」
「ゴール」でも「終点」でもなく「終わり」というところが、ちょっと詩的だ。

■直線道路との戦い

もともと北海道の道路は、広くてまっすぐだ。
郊外に出ると、まっすぐな道なんてたくさんある。
だから最初はあまり驚かなかったが、しかし…実際に車で走ってみると、小一時間のあいだ一切曲がらないというのは、ちょっと特殊だ。

私たちは直線道路の最終地点まで着いた後、すぐUターンして、また同じ道をそのまま戻ってきたのだが、無事ゴールしたという安心感からか、復路では猛烈な眠気に襲われ始めた。

以下、同行してくれたドライバーが運転しながら言った言葉の記録。
「なんか眠くなってきた」
「あー、すげー眠い」
「ガムちょうだい。キシリトールの」
「ガムちょうだい。そっちの黒いやつ」
「もう直線は嫌だ」
「頼む、俺を曲がらせてくれ」
「そこの交差点で曲がっちゃだめ?」
「やった、直線終わった!」
「わーい、カーブだー!」
「こんなカーブじゃだめだ!」
「もっと角度のきついカーブを曲がらせてくれ!」

このドライバーの言葉のはしばしに、「日本一長い直線道路」のすごさが見え隠れしていると思うのだが、どうだろうか。

「眠るなよ 長〜い 長〜い 一直線」

 

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