昔の電気コードを思い出して欲しい。今と違い、なぜか布で巻いてあるものが多かっただろう。
なぜいきなり昔の電気コードのことなんか思い出したかというと、またある手芸を始めて、「そういえばこれ、昔のコードみたいだなあ」と連想は広がり、とうとうここにコネタとして昇華することとなったのである。
その手芸とは「ヘンプ編み」。自分の手で、コードを巻いてみようと思う。たいした理由はなく、単に思いつきだ。
(乙幡 啓子)
これこれ!
昔の電気コード、最近は見かけないものでも秋葉原にはあるだろう、しかもばら売りしてるに違いない、と踏んで、クリスマス近い寒さの中、にぎわう街へわざわざ出かけていった。
あったあった。やはり駅のそば、ラジオセンターの中のコード屋さんの軒先に、2種類もかかっていた。
ところが、家に帰ってもしやと思い、上京時に持ってきた古い電気ストーブを出してみたら、これも布巻きコードだった。しかもベージュ。
青い鳥、みたいな話だ。探していたものは身近なところにあったのだ。「幸福が」、じゃなくて「電気コードが」だけど。
ネタ抜きでハマった、ヘンプ
さて、その手芸とは「ヘンプアクセサリー」である。「ヘンプ=麻」。麻のひもを編んでミサンガやネックレスが作れる、トライバルな手芸だ。
前に別件で手芸店ユザワヤに行った折、このヘンプのコーナーに引っかかってしまい、一気に材料を購入、仕事もそっちのけで(いや、並行して)編み続けた。ネタ抜きで、取り付かれたように編んだ。白鳥に変えられた兄弟のためにイラクサでチョッキを編むエリザのように。
自慢になるが、上右写真のとおり、かなりうまくできた(本のおかげですが)。かなりの時間を編みに費やしつつ、そう、「昔の電気コードに似てるなあ」と念仏のように頭の中で繰り返していたのである。
では巻いてみましょう
ならこれで現代的なケーブルを懐かしい感じにしてみよう。
本には「三つ編み」「フィッシュボーン」といった聞きなじみのある編み方から、「丸四つ組」「左ねじり結び」「ダブルねじり結び(クロス)」「8本組玉留め」など、プロレス技のような編み方までさまざま載っている。その中から、一番布巻きコードっぽい「丸四つだたみ」を選んでみよう。
あてずっぽうに、黒い糸3本、白い糸1本を3mくらいずつ用意。これでひたすら、バターになっちゃうくらい巻きまくり!
「ガキの使い」を見ながら作業していたら、いつの間にか「ズームイン麻」じゃなくて「ズームイン朝」になっていた。
そして結果はこちら!
ぜんぜん糸の長さが足りず、1/3くらいしか巻けませんでした。 でもあまり糸を長く用意すると、編みにくいんですもの・・・。でもなんだかそれっぽくなってないか?
言い訳をさせてもらえば、芯が麻糸のときと違いつるつるのケーブルなので、編み目がすべってすべって大変苦労した。
デジカメからPCにデータ転送してみる。おお、ふだんと変わりなく転送できた。そらそうだ。
というわけで、ちょっと不完全燃焼だったが、「人の手の加わったUSBケーブル」にすることができた。
「ITに人のぬくもりを」。いや、こういうことではたぶん、ないはずだ。こんなものは機械でざーっとやるに限るね。