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コネタ

コネタ971
 
缶スープの粒つぶ飲み干し修行
あーもー! 舌でぐりぐり探り中

果たして日本で何パーセントの人が缶のコーンポタージュスープに入っている粒つぶを飲み干しているのだろうか。

おそるおそる最後の一口を含んだときに缶内に残る粒と目が合う悔しさ。私は生まれてまだ一度もあの粒を完全に飲み干せたことがない。

粒の飲みやすさを求め、近頃ではペットボトルのように開閉できる大きな飲み口のものやプラスチックコップ(カフェラテがよく入っているようなタイプ)タイプのスープも増えているらしい。

たが、私はあきらめたくないのだ。あのプルタブの飲み口で粒を飲み干す夢を!

(text by 古賀及子

この瞬間が楽しみで頑張れました

頼んだぜ、相棒よ

もうコツ分かっちゃってるんじゃん!

飲み干すための修行、開始

そういったわけで今回は、とにかく缶のポタージュスープをマメに飲み続け、コツをつかみながら全粒飲み干しを狙いたい。

毎回飲んだあとに缶を缶切りで開け、残りの粒数を数えて確かめることで自分の成長ぶりを記録していこう。果たして最終的に私は粒を制覇できるのか。

さて、開始にあたって、スープの銘柄はひとつに絞ることにした。缶内のコーン量が一定でないと、上達ぶりの判断が難しいと思ったのだ。修行であるからにはストイックに厳正に行いたい。

銘柄は自宅と会社の近所のコンビニに常備されていたポッカの「じっくりコトコト煮込んだスープ・つぶたっぷりコーン」に決めた。

ヒントは缶に

で、この缶。実は最初から「つぶを上手に飲むコツ」というのが表面に印刷されているのだ(左下の写真参照)。じつはこの修行のためにパッケージをまじまじと見ていて初めて気がついた。

なんだ、この通りやれば楽勝なんじゃんか! と腰を砕きつつ缶をジャガジャカ振って飲んだ、チャレンジ第1杯目。

1杯め 残り粒 6粒

“よ〜く振”って“軽く回しながら”飲んだのにも関わらず6粒も残っていた……! そうなんだ、「よく振って飲む」「缶を回しながら飲む」これぐらいだったら、以前からやっていたじゃないか。やはり、飲み干しには修行が必要なのだ。

お、おおおおお
立派に一口ある……

一気に何杯も飲んで上達したいところだが、おいしいけれどあんまり飲み過ぎたくないタイプの飲み物である缶スープである。修行は毎日3〜4杯飲むことを目標に行った。

修行・1日目

会社で、自宅で、だいたい30回〜50回よく振り、一口ごとに缶を回しながら飲む。が、まあまあのスコアをたたき出すもなかなか飲み干すまでにはいたらない。

3杯めが2粒とハイスコアだ。このときは、夜買いおきしたものを翌朝飲んだのだが、偶然にも一晩中缶を逆さにして立てておいていた。それが良かったのか。


2杯め 残り粒 5粒

3杯め 残り粒 2粒

4杯め 残り粒 3粒


1日目は、缶を缶切りで明けて見るのが楽しみで、ぐいぐいハイスピードで飲んでしまった。これもよくなかったのかもしれない。

今日1日で分かったことをまとめよう。

1,とにかくよく振る
2,缶を回しながら飲む
3,あまりごくごく飲まず、ゆっくり飲む
4,もしかしてひっくり返して一晩置くといいかも

修行・2日めと友人のアドバイス

じつは、私が師匠と呼ぶ友達がいる。短大時代の友人なのだが、彼女は短大在学当時独自の飲み方で粒を一つも残さず飲むことで有名だったのだ。そのときはなぜか方法を教えてもらおうとはしなかったのだが、今こそ弟子入りを志願したい。

だが、短大卒業以来1度しか会っていない彼女。なかなか連絡がとれない。

その間にも2杯飲んでみたが、リーチ1粒の結果を出すも、やはり全部は飲み干せなかった。(6杯目は2杯目のように一晩さかさにしてみたが結果は残り3粒……)


5杯め 残り粒 1粒

6杯め 残り粒 3粒


がんばってがんばって、なんとかようやく連絡がとれたのは修行2日目の夜。よかった! 女友達に必死に久々に連絡をとる理由が「こんど結婚するんだー」とかそういうんじゃないというのはすごく誇らしい。

師匠直伝のコツは、こうだ。

・よく振る
・ちびちび、軽く缶を回しては飲む
・残り半分ぐらいになったら、ぐわんぐわん缶を回す
・そして、反動をつけて一気に飲む
残り半分は3口ぐらいで豪快に飲む
・反動をつけ、ほぼ垂直に缶を立てるぐらいの勢いで飲む

思わず太文字の赤字にしてしまった。前半と後半に明らかに飲み方に違いがあったのだ。

そして、それを忠実に守った7杯目、いきなりである。

7杯め 残り粒 0粒

飲み干せた。飲み干せたのだ。後半はグッと勢いを付けて体を反らせるように缶を直角に立て、そして反動を使って瞬時にもとの体勢に戻る。これがコツだったのか!

せいやっ

缶スープの飲み干しには腹筋と背筋が必要だった。

修行3日め・たちはだかる壁

人生初(多分)の飲み干しを経験し気分的には満足なのだが、あとは何度も練習を積んで完全にこの技を習得しなければならない。


8杯め 残り粒 0粒

9杯め 残り粒 0粒


その後も順調に飲み干せてはいたのだが、ここへきて新たなる壁が私の前に立ちはだかった。

飽きてきたのだ。スープに。

好きだとはいっても3日に1度飲むか飲まないかだった缶のスープをここのところは日に3,4杯のんでいる。上の写真、9杯目は友人宅でみんなで鍋を囲んでいるときの1枚である。キムチ鍋に缶のコーンスープは残念ながらまるで合わなかった。

修行4日め

飽きてしまったものの、さすがに3日で修行を終えるのでは格好がつかず。完全に「ひっこみがつかなくなった」状態になってしまって途方にくれながらも着々と飲み干していた4日目。

夜、通算13杯目を飲んでいたときのことだ。

すでにスープが生活の一部に

飲みながらうっかりテレビに夢中になってしまい、気がついたら1本飲み終わっていた。粒を飲み干すように意識していなかったので、もしかしたら粒が残ってしまたのではと思ったのだが

13杯め 残り粒 0粒

なんと飲み干せていた。「……悟りを開いた………」そう思った瞬間である。

どこで区切りをつけてやめようかと思った修行だったが、これで一旦終了できそうだ。

無理矢理4日間も飲み続けてみましたが、基本的には友人が教えてくれたコツをきちんと守れば、無理に飲み続けずとも飲み干しは可能だったんじゃないか。そんな結果に終わっているものの、私は満足です!

飲み干せると気分いいぞ

 
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