一時は350万円の値をつけた「増殖」フィギュア
Y.M.O.をこよなく愛する「東京テクノ会」という集団がある。Y.M.O.のメンバーや関係者も名誉会員として名を連ね、80年代のテクノカルチャーを現在に伝えるべく活動している。
今回、Y.M.O.などのアートディレクションをされていた奥村靫正氏の紹介で、その東京テクノ会のメンバーである某氏とお会いする事が出来た。某氏はかなり熱心なY.M.O.アイテムのコレクターで、あの「増殖」フィギュアも所有しているという。
某所のお宅に伺うと、ダイニングテーブルの上にフィギュアが用意されていた。想像していたよりも大きい。高さにして40センチ程度だろうか。ジャケットの写真ではもう少し赤っぽい印象であったが、実物は真っ黒だった。
実物を目の前にして、某氏に改めて尋ねる。この「増殖」フィギュア、果たしてどれくらいの価値があるのでしょうか?
「一部のオークションサイトでは350万円で売りに出された事がありました。最近ではテレビ番組「開運!なんでも鑑定団」で、150万円と鑑定されてます(2005年12月6日放送分)」
これ3体で車が買えてしまうのだ。新車で。
「さすがに、どんなに熱意があっても350万円じゃ、ちょっと無理ですよねえ」
と某氏。では、某氏はどうやってこのフィギュアを手に入れたのか?
「今から3年前、実際にこの人形を作られた人に会いに行ったんです。造形士の市田喜一さんという方で、その方の事務所に伺ったら1セットだけ残っていて」
あの人形を作られた方にお会いしたい!ただそれだけのピュアな心と熱意が伝わったのか、
「持っていっていいよと言われて。最初は遠慮したんですけど、それでもいただけると言うのでありがたく頂戴して来ました」
20年以上もY.M.O.アイテムを集め続けてきた某氏なのだ。時にはそんなラッキーな事があっても罰は当たらない。 |