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Y.M.O.のお宝フィギュア。150万円也
 

1978年から83年にかけて日本のミュージックシーンを盛り上げた伝説のテクノポップバンド、Y.M.O.(Yellow Magic Orchestra。メンバーは細野晴臣氏、坂本龍一氏、高橋幸宏氏)。音楽だけでなく、80年代のファッションやカルチャーに大きな影響を与えた3人組である。僕も色々と影響を受けているのだが、中でも人気ラジオ番組「スネークマンショー」とのコラボ作品「増殖」が大好きで、未だにふと思い出した時にCDを取り出して聞いている。

このアルバムのジャケットには、Y.M.O.の3人を模したフィギュアがずらーっと並んでいてかなりのインパクトがあるのだが、このジャケットに使われたフィギュアが大変な価値を持っているらしいのだ。

(text by 住 正徳

Y.M.O.「増殖」
「増殖」フィギュア
後ろから
やや俯瞰で

一時は350万円の値をつけた「増殖」フィギュア

Y.M.O.をこよなく愛する「東京テクノ会」という集団がある。Y.M.O.のメンバーや関係者も名誉会員として名を連ね、80年代のテクノカルチャーを現在に伝えるべく活動している。

今回、Y.M.O.などのアートディレクションをされていた奥村靫正氏の紹介で、その東京テクノ会のメンバーである某氏とお会いする事が出来た。某氏はかなり熱心なY.M.O.アイテムのコレクターで、あの「増殖」フィギュアも所有しているという。

某所のお宅に伺うと、ダイニングテーブルの上にフィギュアが用意されていた。想像していたよりも大きい。高さにして40センチ程度だろうか。ジャケットの写真ではもう少し赤っぽい印象であったが、実物は真っ黒だった。

実物を目の前にして、某氏に改めて尋ねる。この「増殖」フィギュア、果たしてどれくらいの価値があるのでしょうか?

「一部のオークションサイトでは350万円で売りに出された事がありました。最近ではテレビ番組「開運!なんでも鑑定団」で、150万円と鑑定されてます(2005年12月6日放送分)」

これ3体で車が買えてしまうのだ。新車で。

「さすがに、どんなに熱意があっても350万円じゃ、ちょっと無理ですよねえ」

と某氏。では、某氏はどうやってこのフィギュアを手に入れたのか?

「今から3年前、実際にこの人形を作られた人に会いに行ったんです。造形士の市田喜一さんという方で、その方の事務所に伺ったら1セットだけ残っていて」

あの人形を作られた方にお会いしたい!ただそれだけのピュアな心と熱意が伝わったのか、

「持っていっていいよと言われて。最初は遠慮したんですけど、それでもいただけると言うのでありがたく頂戴して来ました」

20年以上もY.M.O.アイテムを集め続けてきた某氏なのだ。時にはそんなラッキーな事があっても罰は当たらない。



細野晴臣氏 高橋幸宏氏
坂本龍一氏 メガネもリアル

富士カセットの広告
フィギュアの元デザインのツアー衣装を真似て仕立てたスーツとシャツ

実はアルバムのジャケット用ではなかった

「この人形、富士カセットの広告用に撮影されたのが最初なんです」

まず広告用に撮影された写真をアルバムのジャケットに使ったのだという。
撮影用に300体のフィギュアが用意されたらしく、その中には、FRP製、ソフトビニール製、キャスト製と素材の違いで3種類あって、東京テクノ会の某氏が所有するこのフィギュアはFRP製のものだった。

「増殖のジャケットだと、最前列の坂本さんのベルトが白で着色されているんですが、僕が所有しているのは色がついていない分なんです」

細かい話ではあるが、マニアにとってそういうディテールはとっても大事なのだ。

「これは余談ですけど、去年、自分たちの主催するパーティが、あってその時のスーツやブーツをこの人形と同じステージ衣装のデザインで仕立てたんです」

肩パットなどは現代風にアレンジしたらしいが、かなりのディテール素材、そしてテーラー屋にまでこだわって作ったという。

その情熱、脱帽です。

 

今回は「増殖」フィギュアのみの紹介で終わってしまいましたが、東京テクノ会の某氏は沢山のレア・アイテムを所有しています。写真は「國際画報」('80年末 Y.M.O.コンサートのパンフレット)のイメージ・カット用に作成されたY.M.O.招き猫。奥村靫正氏によって製作 された1体。オリジナルは当時、4体のみ製作なので、さらにレア!?

ロシア・アヴァンギャルド風

 

 

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