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コネタ


コネタ1021
 
名前入りタワークレーン・愛

高層建築に使われるクレーンをタワークレーン、もしくは、建物が高く建て上がって行くに従って自身も登っていくので、クライミングクレーンともいわれる。

日々必ずどこかで高層ビルが建設され、また最近は高層マンションも増えており、タワークレーンを目にする機会がひんぱんにある。そんなおり、取材の合間に何となくクレーンを見上げていたら、ふと、あるものが目に留まった。何か掲げてある。なんだ、あれ。建設会社の看板じゃなさそうだ。えーと、・・・ジャック?クイーン?

というわけで、今日も元気に働く「名前入りクレーン」を集めてみました。

乙幡 啓子

外国人

冒頭のジャック&クイーンは、横浜のみなとみらい21地区を歩いているときに出会った。


2つ並んだクレーンの前面に、緑色の幕が。

Oh!ジャック!
Hi!クイーン!

ご丁寧に絵入りだ。

「未来型都市」を標榜し現在も進化の過程にある みなとみらい。その中にあって、こんな名前入りの重機(しかも垂れ幕)を見ると、なんというか、人の心は時代が変わっても・・・いかん、まとめに入ってしまうところだったぁ!さ、次、次行きましょう。

 

テツ型

実は私が「名づけられたクレーン」に興味を持ったのは、新宿駅のこの物件がきっかけだった。


はじめて見たのは〜あずさ2号で〜(狩人のように)
次に見たのはその兄貴、かいじ1号。

これはだいぶ昔のもので、今はもうない。当時、ホームで写真を撮っていたら、周りの人も「なんだぁ?あ、『あずさ2号』だ!」と、そこで初めて気づいたようだった。そのとき各所に取材を申し込んだのだが、「うちではなくてどこそこに聞いてください」「いえ、うちじゃないんですよ」ということとなり、「あれは一体なんだ」という疑問はうやむやになってしまったのだった。

あれから2年ほど経つが、この前新宿に行ったときに新顔が出ているのを見かけたので、あらためて写真を撮りに行ってみた。


中央本線特急のホームから・・・
日光1号が見えたんです。
お、今回もうひとつ発見。
きぬがわ5号かー。だんだんマニアックになってきたような・・・

いつの間にか、番号に関係なく増殖していた。

ところで、JRなのに、東武鉄道でおなじみの「日光」「きぬがわ」が使われていてどうも変だと思ったら、今年3月から新宿〜日光・鬼怒川への直通運転が始まるのだった。JRから東武に直通!時代は変わった。そうか、そのための宣伝も兼ねていたのか。はしゃいでるように見えてしたたかである。

 

無味型

調子に乗って都内を「御名入りクレーン」を求めてさまよってみたのだが、「探し始めるとなくなる」という、野球場のビール売りにも似た状態におちいり、苦戦する。クレーンはたくさん生えてるのに、なかなか名前入りのがないんですね。

かろうじて、こういうクールな方がいらっしゃった。


東京駅前にて、1号機。
弐号機。

これはこれで、まるでロボットアニメの操縦者のような気分を、操作員は味わっているのではないだろうか。それにしても、名前をこういうものにつける気持ちって、どうなんだろう。

 

もうなんでもありの趣味型

探すのに苦戦していると、デイリーの企画会議でライターのクドウさんから有力情報をいただいた。品川の某高所でワールドベースボールの祭典が、行われているという。


品川の某高所。見上げてみよう。

見えにくいが、Ichiroだ!
Godzillaだ!
え、まるちゃん?東洋水産?
え、あいちゃん?卓球?ゴルフ?テニス?バレー?

こうやって見てくると、いろいろと疑問も浮かんでくる。誰が?何のために?クライミングクレーンの最大手、石川島運搬機械株式会社さんに電話してみた。

「『誰が』ということですが、うちでは機械を入れるだけですので、請け負っている建設会社さんがそのときそのときで独自に掲げられているようです。
聞いたところでは、横浜ランドマークタワーの建設のさいは、「トトロ」「ちびまるこ」なんかが出てたそうですよ。築地の現場では『大和』『武蔵』『長門』といった、戦艦の名前を冠したものがあったようですね。
『なぜ』という点では私共もわかりませんが、まあ愛着、周辺へのアピールというところでしょうか」

「トトロ」とつける操作員もいれば、「長門」とつける建設会社もいる。よくわからなくなってきたが、ここでちょっと想像してみた。あんな高所で、しかもコクピットはちょっと出っ張っていて、たぶん乗ってみたら宙に浮いているような場所だろう。そして一旦登るとなかなか簡単には下に降りられない。そしてでかい。

しかも事故のないよう、細心の注意を持って作業しないといけない。自分の娘みたいに扱わないといけない、そんなクレーンに、何で名前をつけずにおらりょうか!といったところでしょうか。

皆さんもぜひ、工事現場では足を止めて、作業員の愛の証を目を凝らして確認してみてはいかがでしょう。


 

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