デイリーポータルZロゴ
このサイトについて

コネタ


コネタ1024

 
食品サンプルを巡る一考察
食品サンプル。(喫茶店のミックスサンド)

食品サンプルというのは、蕎麦屋や定食屋や喫茶店の店先にある、料理の見本のことだ。写真ではなく、立体物である。

はじめて行く店に入ろうかどうしようか迷うとき、我々はこの食品サンプルを少なからず参考にする。どういう料理を出してくれるのかの手がかりになるからだ。

つまりお店にとっては重要な広告塔なのだ。

今回は、そんな店頭の食品サンプルと、実際に出てきた料理を見比べつつ、そのギャップにせまることにしました。

梅田カズヒコ

考察−T 近所の蕎麦屋の場合


天ざるの食品サンプル。これがこのまま出てくるとすればあまり注文したくはない。


食品サンプルを前に思う

上の写真は近所の蕎麦屋の食品サンプルである。

失礼を承知で書かせてもらえば、正直あまり魅力的なサンプルではない。蕎麦はなにやら焦げめのついたやきそばのように茶色くなっているし、「天ざる」の文字のせいで、そばの横に何がついてくるのかが分からない。天ざるの「天」の字が消えかけているのもなんだか気になる。

しかし、サンプルはあくまでサンプル。実際に注文したらおいしい天ざるが出てくるかもしれない。

勇気をもって店内に入って、天ざるを注文してみた

うまそうだ!

これが実際に出てきた天ざる。店頭のサンプルとちがってうまそうだし、実際うまかった。エビ、イカ、のりの天ぷらがついてきて、薬味にはうずらたまご。豪華だ。

正直今まで店頭の食品サンプルを見てこのお店に入るのを敬遠していたが、僕は食品サンプルのイメージにしばられすぎていたのかもしれない。

つゆの染みた天ぷら。うまい!

そば湯もいただきました。

考察Tのまとめ

 

食品サンプルの具合によって、そのお店のポテンシャルは測れない。もし皆さまの家の近所にサンプルが汚いからと言って敬遠しているお店があったら、試しに入ってみると新しい発見があるかもしれない。

そして、勝手ながら言わせてもらえば、これだけおいしい蕎麦屋なんだから、食品サンプルも凝ればいいのに、と素人ながら思ってしまいました。そば、うまかったです。


考察−U 近所の喫茶店の場合


喫茶店の食品サンプルのコーヒーゼリー。
今度はおいしそうなんだけど、上に乗っている生クリームが大きすぎないか?

食品サンプルを前に思う

今度はおいしそうなサンプルだ。

普段僕はあまりコーヒーゼリーを注文しないが、食品サンプルを見てたまにはコーヒーゼリーでも頼んでみようか、という気分になった。
つまり、このお店の食品サンプルは広告塔として成功していることになる。

ただ、気になるのが、ゼリーの上に乗っている生クリームのようなものである。あまりにも大きすぎないだろうか。本当にこのサイズの生クリームが出てくるのだろうか? ひょっとして大げさなサンプルをだしているのかもしれない。だとすれば悪質だ。大げさ、紛らわしいとしてJAROに訴えなくては。

さっそく中に入って注文してみることにした。


出てきたコーヒーゼリーはこちら。

サンプル通りのものが来た!

これはすごい。正直サンプル通りのものが来るとは思わなかった。そして、サンプルを見て「大げさだ」と思ってしまった自分が、なんでも疑ってかかる悲しい大人になってしまった気がして申し訳ない気分になった。


生クリームだと思っていたのですが、アイスクリームでした。

考察Uのまとめ

 

当たり前だが、サンプル通りのものが運ばれてくることも多い。



考察−V 職場の近くの中華料理屋の場合


チャンポンのサンプル。ホワイトソースがかかっているような不思議な色合いです。

食品サンプルを前に思う

これは見る人によるかもしれないが、僕らのまわりでは評判があまりよくないお店だ。誰かが食べてみてまずいと言っていたわけではない。食品サンプルがなんだか変な感じだからだ。

ちゃんぽんにとろとろの真っ白なソースがかかっている。本当にこんなちゃんぽんが出てくるんだろうか?

今まで足を踏み入れたことはなかったけど、店の前を通るたびに気になっていた。そこで、勇気を持って入ってみた。

サンプルよりおいしそうなものが来ました!

これまたサンプルよりはるかにおいしそうなチャンポンだ。具材もたっぷり入っているし、ホワイトソースがかかっているなんてこともない。
路地裏にあるお店なのでお店もいい具合に空いている。穴場のいい店を見つけた。さっそくこれから昼休みに通うことにしよう。


サンプルの100倍ぐらい美味そうなみため。

850円で、具の中には牡蠣も入っていた。豪華だ。

考察Vのまとめ

 

考察Tと同じく食品サンプルより実際の料理のほうがうまそうだし、実際うまかったです。ひょっとするとまずそうな食品サンプルを出すお店のほうがうまいものを提供してくれのかもしれません。
うーん、だんだん分からなくなってきました。



考察−W 再び近所の博多ラーメン屋の場合


最後は近所のラーメン屋の「博多めんたいラーメン」の食品サンプル。

食品サンプルを前に思う

このサンプルは何が気になるかと言うと、写真右の「赤い固まり」である。このラーメンの名前は「博多めんたいラーメン」だから、きっとこの「赤い固まり」はめんたいこなんだろう。
しかし、めんたいこと言えば、ある程度高級品。本当にこれだけの量のめんたいこが入っているんだろうか? 確かめてみることにした。

本当にめんたいこが「赤い固まり」になってやってきました

今度はまたサンプルに忠実な料理が出てきました。サンプル通り、めんたいこが赤い固まりになっています。


めんたいこの固まりをとろうと思ったら湯気でカメラが曇ってしまいました。でもうまそう。

わかりにくいですが、食べていくとスープがピンク色に染まってしまいました。

考察Wのまとめ

 

今度は考察Uと同じパターン。

正直、誇大広告であると当たりをつけていたのですが、サンプル通り大量のめんたいこがでてきてびっくりしました。めんたいこ3個分ぐらいの固まりが豪快に麺の上に乗っています。

 

 

街中にあふれる食品サンプル、身近なようで、実は奥が深い

今回は自宅や職場の近所で食品サンプルがあまりおいしくなさそうだから、あるいは食品サンプルが大げさだから、という理由で注文していなかったお店について、長年の誤解を解くべくお店に足を運んでみた。

結果は
「ひょっとすると食品サンプルがおいしくなさそうなほど、実際にはうまいのかもしれない」
という逆説的な感想を抱いた。いずれにしても店頭の雰囲気の先入観で入らないでおこうと思うのは間違いなのかもしれません。

ファーストフードは入口が入りやすく、店内では長居しづらいような内装がほどこされているらしい。
今回訪れたお店はその逆で、入口の雰囲気は入りづらそうなんだけど、中に入れば居心地のいいお店が多かったです。でも、おいしくなさそうな食品サンプルを飾るぐらいなら、料理の写真を飾っておけばいいのにな、と勝手ながら思ってしまいました。すみません。


 

▲トップに戻る コネタバックナンバーへ
 
 


個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.