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コネタ


コネタ1039
 
ビフォア・アフター雪まつり
気温は寒いが、関係者の方々は熱い。

札幌の冬の一大イベントといえば「さっぽろ雪まつり」
今年は約198万人を集客し(ちなみに札幌市の人口は187万人)、最近では海外からの観光客も増加の一途。

がしかし。
そのわりに、周囲の地元民は雪まつりには無関心な人が多いのです。むしろ「この時期、観光客で街が混んで大変なんだよね〜」と困り顔。かくいう私も道外から来た友人につきあって見に行くか、通りすがりに眺める程度……自主的に見に行くことはあまりありません。

ここはひとつ、地元民らしく『雪まつりができてゆくさま』と『雪まつりの終わり』をお届けしたいと思います。

(text by 加藤 和美

■1月17日(火) 気温マイナス4度 雪まつり開催まであと20日

雪まつり実行委員会によると、メイン会場である大通り公園の設営は、1月7日からすでに始まっているとのこと。
大通り公園は、テレビ塔のある1丁目から、西にのびる11丁目までの長いエリアが会場になる。
テレビ塔のあたりから西に向かって歩いてみたが、大雪像は、まだ足組みに雪を積み上げている状態。
公園内は関係者以外立ち入り禁止で、おまけに脇の歩道は積雪で歩けないため、道路を挟んで観察するしかないのがもどかしい…!


大通り公園周辺は、雪を積んだトラックがガンガン通っている。
大雪像…の足場。この状態では何ができるかさっぱりわからない(事前の調査ナシ)。
4丁目。重機が雪山の高いところまで登っている。つくづく道路越しでしか見れないのがもどかしい。
大勢の自衛隊員のみなさんが作業をされていた。足場はかなり高く、危険な作業だ。なぜかスピーカーからヒップホップが流れていた。
木枠に雪を詰めているみなさん。おそらく固めてブロック状にして、大雪像の細工に使うのではないかと。エプロンが魚屋さん風。
10丁目あたりで急にふぶいてきた!真っ白で何も見えない。オフィス街のド真ん中なのに。しかも午後1時でこの暗さ…。

 

■1月25日(水) 気温0度 雪まつり開催まであと12日

前回は吹雪にみまわれて、あまり写真が撮れなかったけれど、今日はうってかわって晴天。
日差しも強く、気温も0度と暖かい。
天気がよければよいで、雪像が溶けてしまうのでピンチなのだが…。


3丁目の中雪像。雪にスプレーでアタリがつけてある。
4丁目の大雪像。今日も遠くからしか見れないけど、何かができかけている!左は木っぽい。右は人の頭か。
5丁目の大氷像。大通り会場には、雪像だけでなく氷像もいくつかある。どうやら氷塊を積んでいるようす。
ずらり並んだ墓石…ではなく、小雪像用の四角い雪。完全に未着手。これは木枠に雪をギュウギュウ詰め込んで作るそう。
10丁目の大雪像。
おお、何か人影らしきものができてきている!
12丁目。ずらりと市民雪像が並ぶはずなのに、ここにはまだ何もない。

 

■2月1日(水) 気温マイナス4度 雪まつり開催まであと5日

この日、さすがに大雪像はほとんど完成に近い状態。
足場やビニールシートはまだ片付けられていないので全貌は見えないが、作業をしている人はあまりいない。
代わりに観光客の姿がチラホラ見える。雪まつり開催中は混むし高いので、直前に観光に来るのが流行っているのだとか。

完成が近づいた大雪像にくらべ、市民雪像(市民がつくる小さな雪像)の制作は、1月31日に始まったばかり。
雪まつりの目玉の大雪像もいいが、市民雪像も個性があってじつは面白い。プロ顔負けのベテランチームから、初心者チームまで、いろんなチームが参加している。
雪まつり実行委員の方によると、今年の市民雪像の数は136基。それに対して応募は567グループ。意外にも(?)参加希望者が多い。なお選ばれるのは完全な抽選だそうだ。


看板やお店もできてきた。こうなると一気にお祭り気分が上昇。
4丁目の大雪像。明らかに完成してはいるが、足場が邪魔でよくわからない…。
作業の様子や、班の構成などを紹介しているパネル。雪像制作の他にも、「雪輸送班」「型枠班」「雪練班」「安全班」などさまざまな班がある。
8丁目の雪像は秘密のベール(布やシート)で中が見えない。アップで撮影してみたら、各隊の垂れ幕が下がっている。フォントはなぜか勘亭流。
 
市民雪像制作は、これからが本番!子供もがんばっている。しかしこの雪像、首が細くてあぶなっかしいな…。
雪像作りの経験豊富な先生が指導してくれる。真剣に先生のレクチャーを聞く人々。スコップやら道具も豊富。

 

■2月5日(日) 気温マイナス3度 雪まつり開催まであと1日

前日は新千歳空港で200便が欠航したという大雪だったが、今日は快晴。
明日から雪まつり本番、今日の夜は前夜祭ということで、観光客もけっこう多く、お店もほとんど開店して、すでにお祭りスタートといった雰囲気だ。

昨日の大雪のおかげで雪像には雪が積もってしまっている。
大雪像は補修したらしくきれいな姿だったが、市民雪像の作業期間は昨日までだったので、ほとんどの市民雪像に雪が積もったままだった。
暖かいと溶けるし、雪が積もれば形か変わるしで、雪像は作ったあとも手がかかる。

大雪像ステージでは、イベントスタッフが大急ぎでマイクやスピーカーなどの音響機材をセッティングしている。
なお、大雪像についてくわしくは、本家「さっぽろ雪まつり」の公式サイトをどうぞ。雪像ながら、絵画のような芸術っぷり。


お店だけでなく、臨時派出所もできていた。プレハブだけどちゃんと赤ランプもついている。
氷と触れ合えるコーナー。子供が遊んでいる横では、スタッフがチェーンソーで氷塊をバリバリ切ったり、運んだりしていた。
ベテラン市民雪像チーム。細かい!パーツを別に作っておいて貼りつけるという、プロの仕事だ。
国際雪像も制作開始していたが、全然進んでいないチームがあった。ロシア・ノボシビルスク市チーム。これ、明日までに完成できるのか!?
 

 

■2月9日(木) 気温マイナス8度 雪まつり開催4日め

雪まつりの真ん中あたりで、雪像補修の日があるというので言ってみた。
大雪像の補修は真夜中なので見るのをあきらめ、市民雪像の補修を見に行ってみたら…やってない!
今日の夜やってるって、運営委員の人に聞いたのに。
ガッカリしながら、市民雪像を鑑賞する。


タイトルは「リラッ○マ」。しかし実物は、どう見ても「ガチャ○ン」。これを見た親子連れが、「わー、リ○ック…マ…?」と戸惑っていた。
こっちは本物のリラッ○マ。
でも地面から直に首だけ!こわい!

 

■2月13日(月) 気温マイナス3度 雪まつり最終日翌日

今年の雪まつりは12日(日)で終了。
雪像の取り壊しは、翌日すぐ行うというので、行ってみた。巨大な大雪像が、重機でバリバリと容赦なく壊されていくのが、快感なようなもったいないような…。
この日も観光客が多く、取り壊しの様子を見物していた。


キリンもようのかわいいシャベルカーが、遠慮なしに大雪像を…!
ステージ部分をサクサク削る重機。固めた雪も、重機にしてみればケーキのように柔らかい。
雪のカタマリの上から重機が覗く。その周りを普段通りに車が走る。一晩明けて、すっかりお祭りから日常に。
こちらも2台の重機がサクサク取り壊し中。そのすぐ横をビジネスマンたちが歩いていく。大通り公園にビジネスマンが返ってきた。
このとき、唯一無傷だった大雪像。今まさに取り壊し始めるところで、その瞬間を大勢の人が待っていて、まさに「雪像解体ショー」。
その裏で片付けをする自衛隊のみなさん。おつかれさまでした!

■雪まつりの次にくるものは

長い時間をかけて準備された会場や雪像は、あっというまに片付けられて、いつもの大通り公園に戻っていった。
あれだけ巨大な雪像が、数時間でなくなってしまうのは残念だが、そのはかなさがまた雪のお祭りらしくていいのかもしれない。

「雪まつりが終わると札幌に春が来る」というフレーズをよく聞くが、札幌もやっと春らしくなりそうだ。

…なんてキレイにまとめたのはいいが、とにかく会場は寒くて、取材のたびにカゼをひきそうになっていた。
将来雪まつり観光をしようとお考えのみなさん、防寒対策と転ばない対策をしっかりしてからお越しください!ホントに!

撤収作業をする人々と、ハト。
大通り公園にハトも帰ってきた。

 

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