デイリーポータルZロゴ
このサイトについて

コネタ


コネタ1041
 
時速70kmで疾走するソリ

一見すると何だか解らない写真

今年は冬季オリンピックイヤー。
様々な種目がある中で、何気に注目しているのがボブスレーです。
ボブスレーとは、ジェットコースターのような氷のコースを4人もしくは2人乗りのソリで疾走するという競技。
映画「クールランニング」でご存知の方も多いと思います、かくいう筆者もその映画を見てから注目するようになりました。

なんと長野には、そのボブスレーを体験する事ができるコースがあるというではないですか。
電話して話を聞いてみると、団体競技のボブスレーは無理でも、スケルトンなら体験できますよとの事。
早速、トリノオリンピック開幕より5日早い、2月5日にスケルトンの体験会に行ってきました。

ちなみに、電話の時点では失礼ながらスケルトンって何だ・・・?

(text by 上杉 天馬

今回のコースを模型で確認

ボブスレー・リージュパークへ

今回スケルトンの体験会が行われたのは、長野市街から車で30分程の飯綱高原にある、ボブスレー・リージュパークという施設。

ちょうど8年前の長野オリンピックの時に、ボブスレーとリージュの試合が行われた由緒ある場所です。
ボブスレーとリージュだけ・・・?今回体験するはずのスケルトンは・・・?
長野オリンピックではスケルトンは公式種目から外れていました。
しかし、ご安心を(誰に・・・?) 、前回のソルトレークより公式種目となり、今回のトリノオリンピックでも公式種目です。

 

スケルトンに初遭遇

この日は体験会とは別に、スケルトン長野県選手権大会が行われていました。
体験会まで時間があるので、見学する事に。

コース脇を歩いていると、早速スケルトンがスタートした様子。
せっかくなので、写真に収めようとカメラを構えて待つ。
山の上の方で聞こえるガッガッという音と共に、何かが近づいてくる気配。
ザッザッーという音をあげながら、猛スピードで通り過ぎていったのは、なんか平べったいモノ。
一瞬の事で何が何だか解らない・・・

写真にも写っていませんでした

あまりの速さに写真に納める事もできませんでした。

実は、体験会申し込みの電話をした時、体験時の写真撮影許可を聞いてみると、写真に撮るのは難しいんじゃないかとの答えだったんです。
言っていた意味が解りました。

まだまだ続いて来るようです。
ガッガッ、ザッザッー、パチリ!前回よりも少しシャッターを押すタイミング早めてみるが、失敗。
ガッガッ、ザッパチッ!更にシャッターを押すタイミングを早くするが、やっぱり失敗。


また写ってない・・・

またまた写ってない・・・、オービスが必要かも


目視してからシャッターを押したのでは間に合わないと判断、風が動くかすかな気配を感じ(たつもりで)撮った4枚目・・・

写ってた!

やっとの事で撮影に成功はしたものの、それでもイマイチ何だか解りません、よね・・・。


 

結局、スケルトンって何だ・・・?

さて、ここまで読んで頂いてスケルトンという競技が理解できた人はほとんど居ないのではないでしょうか。

スケルトンは簡単に言うと、頭を前にして腹ばいで乗るソリ競技。
ボブスレー・リージュ・スケルトン、3種ともそり競技であり、使用するコースも一緒ですが、乗り方に違いがあります。

・スケルトン・・・平たいソリに1人乗り、腹ばい頭を前にして滑る。
・リージュ・・・平たいソリに1人乗り、仰向け足を前にして滑る。
・ボブスレー・・・ロケットのようなソリに2人乗りor4人乗り、1列に並んで座って滑る。

これがスケルトンの乗り方

足から滑るリージュに比べて、よりエキサイティングな乗り方のような気がします。
子供の滑り台遊びでも、あたま下の腹ばい滑りは1ランク上の滑り方でした。

最高速度はなんと、時速120km〜130km。
先ほど、筆者の横を、ほぼなまみの人間が120km以上のスピードで通り過ぎていったんですね・・・。
日常では絶対ありえない、かなりレアな体験でした。

 

スケルトンの試合観戦

スケルトンはスタート時、走って加速をつけてソリに飛び乗ります。
この時、どれだけ加速できるかが、勝負の鍵。


ワンハンドスタート(多分)

トゥーハンドスタート(恐らく)


片手でソリを押すやり方、両手で押すやり方、スタートの仕方は様々。


コースはヘアピンカーブの連続

歩道橋の上で観客達が盛り上がるに違いない


15のカーブを抜けゴールまで疾走。
1360mのコースで1分を切る早さで走り抜けます。


ゴールの瞬間

ゴールの瞬間といえば、選手にとって気持ちが最高に高ぶる瞬間。
ガッツポーズなんかがあるかと思ってましたが、そういったものは無く、そのままゴールを超えて走り抜けて行ってしまいました。
スピードに乗ったソリが止まるには、もう少し走らないといけないらしい・・・。


自分の手でブレーキをかける選手

クッションまで突っ込んでやっと止まれる選手


ゴールしてから止まるまでの距離も結構ある。
スケルトンの競技はゴールするまでではなく、止まるまで続いています、家に帰るまで続く遠足と同じようなもの。

 

ドキドキのスケルトン初体験

さて、スケルトンがどういった競技か十分理解できたし、スケルトンの試合を見ることもできたので、帰りますか・・・、というわけには行かないのです。

今回、ここにはスケルトンの体験に来ているんですから。
ジェットコースタなんかが苦手な筆者は少し緊張気味。
時速120kmまでは出ないとしてもそれに近いスピードで、頭から行くんです、とても恐い!


このソリで滑るんだけど、やけに小さく見える・・・

スケルトンのソリを手渡されて、更に緊張と不安が増す筆者、だって狭いし短いし・・・。
ちなみにこのソリかなり重くて、30kg以上あるそうです。


当然ヘルメットは着用

初心者なのでこの状態からスタート

ついに走り出してしまいました・・・


ヘルメットを着用して、初心者なのでソリに乗った状態からのスタート。

滑り出す前に指導員からの説明。
「手で取っ手を掴んで、絶対離さないでくださいね。
「走ってるときはつま先を下ろさないでくださいね。」
「肩をあげたり、肘をソリの外に出さないでくださいね、壁にぶつかりますので。」
「はい、それじゃ行きます。」

えっ・・・?それだけ?
壁にぶつかるって、重大な事をさらりと言ってますね・・・。
走り出す直前で、筆者の不安と緊張は最高潮。
それでも、ソリは走り出してしまいました。

すぐにトップスピード、 そして最初のヘアピンカーブ。
凄いG!頭がもげそう。


何とか無事にゴール

2回滑れるうちの1回目はワケが解らないうちに無事に、そしてあっという間に終了。
前を見る余裕など無く、ずっと下を向いてました。
カーブは7つ、その度にとてつもないGがかかる。
なので、吹っ飛ばされないように、しっかり手でソリの取っ手を掴んでました。
腹ばいで頭から行くという滑り方を知った時、スーパーマンやウルトラマンの真似をして滑ろうなんて思ったけど、絶対無理ですね。
選手の人も、ゴールの瞬間にガッツポーズをしないのも納得。

1回目を無事に滑って、余裕が出てきたので、今度は前を見て滑る事に。
「前を見るには、顔をあげるんじゃなくて、上目遣いのように視線だけ前に向けます。」
それを守って見れたものは、迫り来る氷の壁。
わーっぶつかる、と思った瞬間には、ググッと体にGがかかり、かかっていたGが緩むとすぐに新たな壁の出現・・・、そんな感じで2回目の滑走もあっという間に終了。

きっとこんな風に華麗に滑っていたはず

2回目は、なんと最高速度71.3km出ていたそうです。
あのちっちゃなソリだけで、東京ディズニーランドのスペースマウンテンよりも速度出てたんですね、体感速度は2倍超なんて話も聞くので150km以上・・・?

スケルトンの体験会を終え、その感想は?と聞かれれば、月並みな表現になるが、ジェットコースターのよう。
乗り方と乗るものが違うだけで、本当にジェットコースターのようなので、そう表現するしかないんです。
もう一つ違う点は 、ジェットコースターのように高い場所を走るわけではないって事。
これは高所恐怖症の筆者にとって重要な点です、スピードと疾走感だけを楽しめるので。
スケルトンの初体験で、病みつきになりそうな快感を得る事ができました。

4年前のソルトレイクオリンピックより公式種目として復活したスケルトンだが、日本国内での選手登録数は78名。
まだまだ日本ではマイナーな競技と言わざるをえない。
しかし、だからこそのメリットもある。
今から始めてもオリンピック選手となれるチャンスが大いにある。
聞いたところ、27歳の筆者が今から始めても十分代表選手となることが可能だという、また実際に20代後半から始めて代表となった女子選手もいるとか。
選手寿命も長く、40歳くらいまでは活躍できるそうだ。

今から始めれば、4年後のオリンピックに間に合うかも・・・、4年後は無理でも8年後、12年後と、現在27歳の筆者には3回もチャンスがある・・・
筆者がオリンピック出場を狙うならスケルトンかもしれない、そして始めるなら今かもしれない。
スケルトン自体は楽しかったしね。

長野県ボブスレーリージュ連盟
https://www.valley.ne.jp/~bobluge/


4年後に向け、公園でスケルトンの練習
 

▲トップに戻る コネタバックナンバーへ
 
 


個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.