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コネタ


コネタ1089
 
ピチピチすぎる磯だより

 何が起きたのか知らないけど、磯に行ったらかなりすごいことになっていたよ。

(text by 小野 法師丸

なじみの磯がおかしくなってる

 海のそばに住んでいる筆者。中でも磯になっているところでは、デイリーポータルZの記事でもタコをつかまえたりスベスベマンジュウガニを探したりしてきた。


いつもお世話になっております

 今日も穏やかできれいな景色だ。潮の満ち引きで現れたり隠れたりする浜辺の岩たち。その潮だまりには、素人でも気軽に観察できる海の生き物たちの姿がある。

やけに水の色が青いぞ

 それにしても今日は水の色が濃い。ごく浅い潮だまりなので、こんなに青色が濃く見えるはずはないのだが。

 おかしいなと思ってよく見ると、大変なことになっていた。


どうなってるの〜

 なんだか知らないが、魚がやけにいっぱいいるのだ。いや、いっぱいいる、とか冷静に言っていられるような感じではない。そこにある海水全てが魚で埋め尽くされているといった方が正しいかもしれない。


どわーっ
おりゃーっ

 確かに磯ではいろいろな生き物が見られるのだが、それは甲殻類や軟体動物系であって、魚というのはメインのものではない。

 なのに今日は、過剰なくらいにフィッシング。


わけがわかってから見るともらしそう

 青く見えているのは水の色ではなく、密集した魚の色だったのだ。なんだなんだ、何が起きたんだ。

 

リアル系おさかな天国

 あまりの過剰さに、魚自身も混乱している様子が見られた。


興奮しすぎだよ
岩の隙間にわっせわっせ

 勢いあまって水からあがろうとしているかのようにも見える者、狭い隙間に団体で押し寄せる者、かなりのフィーバーぶりが魚からも読み取れる。これはたいへんだ。


そういえば見たことある顔かも

 初めて見る感じではないぞと思いつつ、あとから図鑑で調べてみると、どうやらこれは「カタクチイワシ」という種類の魚であるらしい。

 地元千葉・房州では「背黒イワシ」とも呼ばれるこの魚。土地土地によってさまざまな愛称があるようだが、煮干やチリメンジャコとしてもなじみがあるものでもある。


水の中だときれいな青

 「背黒イワシ」とも呼ばれるように、陸にあげて見ると確かに背中が黒いのだが、こうして水中を泳いでいるのは美しい青色に見える。不思議だねえ。

 

●魚以外も盛り上がります

 ふと沖の方に目をやると、やはりいつもの感じとちょっと違っていた。


あの黒い影は
きみたちの祭りでもあるよね

 鳥たちがいっぱい集まってきているのだ。えさとなるイワシがたくさん来ているのを知ってなのか、グエーグエーとここでもフィーバー。

 調べたところによると、磯に大量の魚が押し寄せる現象はたまにあることらしい。原因はいくつか挙げられるようだが、最も一般的なのはブリなどの大型魚の群れに追われて迷い込む、というケースとのこと。

 群れのリーダーがぼんやりしていた、ということも考えていたのだが、調べた中ではそういう原因は挙げられていなかった。普通に大変だったんだね、イワシたち。

 ここでちょっと実験、群れているところに石ころを投げ入れてみた。


ボチャン

「おわっ!」

「なんだなんだ!」

「マジびびったぜ」

 これで反応がなかったら相当なとぼけぶりだと逆に感心したのだが、やはり敏感に反応したイワシたち。びっくりさせてごめんよ。

 それにしても群れとなって動く様子は不思議で見事。


ぞわーっ

 自然ってすごい。そういう普通のことしか言えない。自然にはそんなすごさがある。自然ってすごい。それしか言ってない。

斜に構えられないきれいさ

限界までがまんしました

 自然ってすごい。マジすごい。おしっこに行きたくなるくらいすごい。

 すごさのたとえがおかしいかもしれないが、実際そうだったのだから仕方がない。がまんしながらシャッターを切った。ここに載せたのはそういう写真でもある。

 そしてそんな尿意をがまんさせ得るのがまた自然のすごさ。ほんとにそればっかりだが、ほんとにそう思う。


 

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