値段は近所のコンビニ・スーパーでの値段です。
前回、チョコレートのパッケージに書いてある英語に注目した。(「チョコレートに書いてあること」)
あの記事を書いて一息ついてビールを飲んでいるときにまた気づいた。
ビールにも変なこと書いてある。
またかよ! と思われるかもしれませんが、今回も懲りずにサブリミナルみたいに小さく書いてある英語を追います。パッケージで静かに訴える世間の無意識を照射できれば幸いです。(林 雄司)
シーンを語る系
チョコレートでも多かったが、味ではなくそれを飲む状況を説明する文章のパターン。ビールを飲んで一息ついてね、要はそんなことなのだが、ついつい英語だと大きくでがちである(僕の翻訳が大げさという可能性もあるけどね)。
キリン 淡麗 グリーンラベル 152円
キリン 生黒 131円
心を励まされたり、どんな状況でも楽めと言われたり、とビールの域を超えていま流行の自己啓発本のようだ。まだ入ってるのに次のビールあけちゃったり、飲み終えて踏んづけたりしている缶に人生のヒントが書いてあったとはまた人生のようである(適当書いた)。
しかし「いままであじわったことのないほろ苦さ」が怖い。
キリン 淡麗 生 152円
アサヒ マイルドアロマ 228円
「真の休養!」って大正時代の新しい芸術活動の呼びかけみたいでかっこいいですね。「完全なる調和」もモダーンな感じです。まろやかでスムーズなものがあなたを満足させる。ってどこかいやらしい気もします。
!で強調してる系
!をつけて言い切っているタイプもある。これはチョコレートにはなかった。どうせあいては酔っぱらいだ、多少強引なことを勢いつけて言っても通るかもしれない。酔ってるときに限らず、会社員としても大事なことである。勢いつけて言う。
サントリーダイエット生 152円
キリン 淡麗アルファ 163円
ダイエット生は箱買いしているので空き缶が家に山ほどある。空き缶を入れた袋を足でひっかけると「カンカラカンカラカシャーン!」とまるで忍者屋敷の仕掛けみたいな音が鳴る。その缶ひとつひとつに Discover! って書いてある。まったくなんて21世紀だ。
がんばって作ったぜ系
いちばん多かったのがこのタイプ。厳選された材料と素晴らしい技術でこのビールはできています。というもの。なかでも気になった表現があったのがこのふたつ。
キリン のどごし生 131円
キリン ラガービール 208円
「深く泡だった頭」はないだろう、と思う。もとの文章では "DEEP FOAMY HEAD"だ。きっとビールの泡のことを言っているのだろう。調べたらビールの泡立ちのことをこう呼ぶみたいです。でももうイラスト描いちゃった。すいません。
イメージ
アサヒは全ていっしょだった
アサヒビールは同じテイストのデザインで、商品ごとに色がちがっている。そこに書いてある英語はほとんどいっしょだった。それが発泡酒であろうが、糖質をカットした商品であろうが「純粋栽培したイーストと先進の醸造技術」だ。
アサヒ スーパードライ 208円
アサヒ 本生 152円
アサヒ 本生ゴールド 152円
アサヒ 本生アクアブルー 152円
堂々としている。色が違うとなんか別のことかいてあるんじゃないかと思った自分が恥ずかしい。ゴールドでも値段がいっしょであるのも発見だった。こんどからゴールドにしよう。
ビールの味がさっぱりわからない
ビールは好きなのだが、味が分からない。氷を入れてわざと薄くして飲んだりする。銘柄にこだわったりうんちくを語る正統派の酒好きからはいちばん遠いところにいる。
そんな僕でも楽しめるのがパッケージの英語だ。
人と飲んでいて、ビールの味についての話になりそうになったら、パッケージの英語が面白いんだぜーと言ってごまかしてゆきたい。力強い味方である、英語。
ビールがたくさんあってうれしい