デイリーポータルZ新人賞 結果発表!
ご応募ありがとうございました。
3年ぶりのデイリーポータルZ単独の開催だったため、デイリーポータルZらしい作品が多かったと思います。
身近なところでトンチをきかせて面白がる作品です。
インターネットのコンテンツがどんどんリッチになっていますが、そんなことをしなくてもちゃんとワンダーは出せるぞと教えられた思いです。
入選されたみなさん、ダムでお待ちしています。
記事部門には全部で135本の記事がエントリーされました。その中から賞に輝いた優秀作は4本+佳作11本!最優秀賞と優秀賞の記事は、5/3〜6にかけて、デイリーポータルZに掲載させていただきます。
【編集部コメント】
- 一見地味な企画だけど、実際、地味です。なぜこれが大賞なのか。
まず、自分がいる場所で視点を変えることで興奮を作っていること。 距離や規模に頼らない興奮こそデイリーポータルZが目指していることでした。
ほかにも、以下のポイントが高評価でした。
・3人同行者がいるけど名前を出してないこと(友だちの名前を出すと一気に記事が内輪うけトーンになってソリッドさが消えます)
・「ゴリラまで3分」「漏れ動物」などわかりやすいフレーズがあること
・それでいてデビュー前の動物を集めた施設を見つけて情報に着地している
もちろんこれらをおさえているという足し算ではなく、全体バランスがよい作品でした。 (林)
【編集部コメント】
- まずこの調査力!全応募作品の中でも圧倒的でした。たった1泊でこれだけ調べ上げただけでもすごいんですが、そのうえ追記であと2回も行ってるんですよ。このしつこさというか執念というか、応募作としてすごいというより、完全に僕も見習わねばと思わされました。ただしつこさでゴリ押ししてるかというとそうでもなくて、ちゃんと念入りに聞き込みしたり、図書館で文献に当たったりと持ち駒の多さも感じさせてくれます。
あとやっぱり読んでいちばん面白い記事って、その人が本当に好きなものについて書いてる記事だと思うんですよ。その点でこの作品は本当に情熱的で、ぐいぐい引き込まれるものがありました。これだけは小手先のテクニックじゃないんですよね。あふれ出ていました。(石川)
【編集部コメント】
- なぜかベトナムから秀逸な応募が集まりがちな当コンテスト(2年前の同賞、グランプリが現在ライター参加しているのネルソン水嶋さんによるベトナムネタでした)、今年もたまんないやつが来ましたね。ありがとうございます。
ホーチミン情報サイトということで「日本人にとって珍しいホーチミン事情を伝える」という姿勢がブレずにビシッとしていて読ませます。「(ちなみにたこ焼きの前は韓国のトッポギの屋台が流行っていました)」←こういう在住者でないと伝えられない情報のぬかりのなさがバシバシ入ってくるのがたまりません。
流行ものだけあってたこ焼きといってもどこも自由すぎ大胆すぎのアレンジで笑いました。たくさん取材できているので次から次へと流れるように紹介されることもあって食べた結果がネガティブでも明るく書けているのがよかったです。
ちょこちょこ気負わず自然に入ってくる街の描写、えぐいやつもさらっとポップに書いてあって堪能しました。(古賀)
【編集部コメント】
- 中間発表で取り上げたときにも書いたのですが、この場所自体は過去にもデイリーでも取り上げてて、僕は知ってるんですよ。でも切り口でおもしろく読ませてるところがすばらしいなと思いました。かつ、これが個人の夢の話だと、ふーんっていう感じなんですけど、「みんなが同じ夢を見てる」っていうところで俄然面白くなりますよね。そういうところまで含めて抜かりなかったです。 『初めて使う自撮り棒を警戒している筆者』『「普段から集めてるシール付きウエハース」と、うっかりガチの買い物をしてしまった。』みたいな気の効いたフレーズもあり。このままレポートで終わるかと思いきや、さいごの下りでまた夢の話に戻ってくるあたりもミステリアスでよかったです!(石川)
【編集部コメント】
- 日常周辺から着目したネタを技術と足を使ってスケール大きめに発展させていてわくわくしました。
最大限のロマンを感じさせるネタなのに対象が「牛丼屋」。俺たちは牛丼屋にこんなにロマンを込められるんだぜざまあみろというスカッとした気持ちです。
企画記事は取材力や文章力はもちろん大事なんですが、いかに動機の時点でほころびがないかというのが重要です。ウソ(ビジネス)でも、ウケ狙いでもない、心の底からわきあがっている動機であればあるほど強いです。そういう意味では「僕は牛丼が好き過ぎて吉野家とすき家と松屋をヘビーローテーションしていますが」という動機はものすごく身近なのにちょっと狂っててしかも切実で最強でした。
プログラムの部分、「楽しいですが、はたから見ると全く面白くないので割愛します」と視点に客観性があって、美味しいところだけ読ませてくれるので気分がいいです。
最終的に得られた成果が「吉野家とすき家と松屋をワンフレームに収める事ができました」というどうしようもなさも(最初から分かっていた結果なのですが)愛らしかったです。
ちょっとだけ残念だったのは、目的を達成して我にかえってしまったところですよね。せっかく目標を達成したので最後くらい読み手を置いてけぼりにした深い感慨があってもいいような気もするのですが、でもここもウソではない気持ちが書けているということなのかなと思います。 (古賀)
マルチメディア部門には全部で18本の記事がエントリーされました。しかし協議の結果、残念ながら今回は最優秀賞該当作品なし…! 優秀賞1本、佳作1本を選ばせていただきました。こちらも優秀賞の記事は、5/7に記事として掲載させていただきます。
【編集部コメント】
- 本気のアート作品ですよね。恵比寿の写真美術館とかでやってそうなインスタレーション展示みたいの来た…と身構えたのですが、見ているとチャーミングで可笑しかったです。単純に笑いました。
水やりのおっちゃんのかわいさや、花のついた植木が植わったときの花自体がかもす能天気さみたいな日ごろ見ない確度からものを見させられます。あとは3:50くらいで急にヤシみたいの持ってくるんですよ。「えっこれ!?」ってなるじゃないですか。遠慮のない展開につい吹き出しました。
最後、ついに2人がかりで大きな鉢をわっせわっせと搬入してきてそこで終わるのはめちゃめちゃにエモーショナルだしカタルシスありました。
実際はメッセージの込められた作品なんですがぼんやり見ているだけで理屈抜きでやっていることがよく分かってその上ちょっと笑っちゃう、おもしろ動画でした。(古賀)