●銭湯巡り 麻布十番「越の湯」
麻布十番商店街にある天然温泉の銭湯。
営業は15時からで僕が着いたのは開店15分前、外で開店を待っているおばあさんがいた。佐々木ミトさんは昭和6年から麻布に住んでいて、この銭湯には毎日通っているらしい。「ここのお湯は赤くていいのよー」って言っている。ミトさんと話をしていたら続々とおばあさん達がやって来る。みんな顔見知りみたいで
「最近見ないから心配したわよ」
「ちょっと風邪をこじらせちゃってね」
なんて会話をしている。午前中の病院みたいだ。
僕はおばあさん達の間で「カメラのお兄さん」って呼ばれるようになってしまった。
開店前に店の前で並んでいたのはおばあさんばかりだったが、開店すると男湯にもどんどんお客が入ってきてほぼ満員。
お風呂はミトさんが言うように赤いお湯で「炭酸水素ナトリウム泉化石水」だそうだ。舌噛みそう。お湯の温度は思ったより熱くなくちょうどいい感じ。下からブクブク泡が出ている。昼間に飲むビールが効くように、昼間の温泉は骨身にしみる。
お風呂から上がって外に出るとちょうどミトさんも上がっていて
「ね、いいお湯だったでしょ」
ってお風呂あがりで頬を赤らめていた。おばあさんはもっと長湯かと思ったが以外と早い。
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