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たき火入門
もーえろよもえろーよー♪

私が小さい頃、昭和の時代は、火を燃やす機会が、たくさんあった気がする。
実家の裏にも、学校にも、焼却炉があった。ビニールを燃やすと有毒物質が出るとか、そんな話がポピュラーになる前のことだ。家のゴミも学校のゴミも、ごんごんと燃えていた。白くて細いケムリが、煙突からにょろりとあがっていた。
秋冬は落ち葉を集めて、焼きイモ大会もやった。焼けるまで炎をじいっと見つめていた記憶がある。

いま都内に住んでいるのだが、確かにこんなに住宅が密集していたら、たき火をするのは難しいな、と思う。
都会の皆さんは、ひょっとしたら、たき火の火を見つめることが、無いのかもしれない。それはちょっと悲しい。

そうだ、たき火をしようじゃないか。暖をとろう。イモを焼こう。
そして炎を見よう。原始人のように。

(text by 大塚幸代


材木屋さんで角材ゲット。

たき火の師匠、石原さん。暗いところでもたきぎが拾えるように、ヘッドライト完備。

こんなに大きいのをゲット。

たき火マスター登場

今回たき火をするにあたって、先生をお呼びした。たき火を愛好する人の集まり「たき火の会」を主催する石原さんだ。
たき火の会は「風流」をモットーに、炎を見て思索にふけり、後で反省会をするような真面目な団体らしい。イモを焼くことなどは禁止。
「でも今回は、たき火の会の主催じゃないし、イモ焼きたかったら、焼いてもいいですよ。
あ、なじみの材木屋さんに、いらない角材をもらえるように電話しときましたから」
ありがたい。さすがたき火マスターだ。
何か準備するものはないですか、ときくと
「特にないですねえ………ええと、僕、小さなラジカセ持って行きますから、かけたい懐かしいテープがあったら、持ってきてください。カジャグーグーとか」との回答。
しかしウチに音楽テープはなかった。私はイモだけ持って、集合場所に急いだ。

材木あつめ

材木屋さんで角材をもらって、目的地の都内某所に到着。
まず、燃やす枯れ木を集める。
探すと木の下には、意外なほど枯れ木が落ちている。何の理由で折れたのか分からない枝が、ぽろぽろと落ちている。
昔話「ももたろう」のイントロ、「おじいさんは山へしばかりに」の「しば」は、こういった枯れ木のことなんだよな、と思いながら拾う。

たきぎを拾っているうちに、あたりが暗くなり、温度が下がっていった。
切実に火が欲しくなる。
「点火は日没時、っていうのが美しいんです」
石原マスターの言う通り、日没を待つ。
しかし、さ、寒い………。


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