点火成功!
火は小枝を燃やし、炎になって、他の枝を燃やし始めた。
小さな炎を消さないように、ゆっくり枝をくべていく。
火はだんだん大きくなる。
「あ、あたたかい………」
炎を見つめながら、しばし無言で火に手をかざす。
「冬場にたき火をやってると、路上生活者が、火に当たりに来たりもしますよ。
この前は、見知らぬ外人が寄ってきたので、国際交流しました」と石原さん。
たき火には誰もが集まる。たき火に言葉はいらない。
火はきれいだ。火はあたたかい。火は見てて飽きない。
「じゃあ、せっかくだから、たき火の会の歌のテープをきいてください。僕が作詞たんです」
石原さんはラジカセをオンにした。
しゅうごうはにちぼつ〜いちじかんまえ〜(中略)われらたきびのか〜い♪
ストーンローゼスの「ゴーイングダウン」にも似た、なかなかいい曲だった。
「実はもう1曲あるんです………たき火音頭っていうのが」
焼きイモ不可の、哲学的な団体のわりには、非常に楽しそうだ。
私はごそごそと、アルミホイルとイモを準備し始めた。
イモのほかに、フランクフルト、イシイのハンバーグ、めざし、食パンなども用意しておいた。全部、アルミホイルにくるんでいく。
火が安定したところを見計らって、イモを投入していく。果たしてうまく焼けるんだろうか。
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